<美しい稜線を眺めながら歩く>
ルートバーン(14):ルートバーントレッキング第1日目(3)
(湘南カラビナ隊)
2005年1月25日(金)~2月5日(日)
第4日目:2005年1月31日(月) (つづき)
<ルートバーン概念図>
<第1日目の行程>
※再掲
13 歩き出し
<日本語が堪能なガイド>
■一番後ろから出発
2005年1月31日.月曜日.快晴.
私達日本人以外の参加者は,早々と出発してしまったようである.最後になった私達も,11時29分 ,いよいよ,ルートバーントレッキングの開始である.出発点の標高は570メートルである.
私は,ぐずぐずしていて,日本人グループの中でも最後部になってしまう.私は心の中で,
「・・何だか知らないが,いつもグループの最後になってしまうな・・」
と自分ののろまさに嫌気を感じている.
日本人グループの先頭は大阪組2人,次いで東京組の2人.その後に湘南カラビナ隊の順である.一番前のガイド,チャドさんは,ずっと先頭を歩いているらしい.外国人の集団は,私たちよりかなり先を歩いているようである.
歩き出すと,いきなり,かなり急な上り坂が続く.しかし,登山道は極めて良く整備されているので歩きやすい.
やがて,左手にデバイドクリーク(Divide Creek)のせせらぎの音が聞こえてくる.私は,日本の登山学校の山行でも,何となく最後部を歩くことが多いので,ニュージーランドでも,ついついいつもの癖が出たのか,それとものろまなのか,またもや列の最後である.
自分ののろまさ加減が気になるが,遠慮深いんだヨと自画自賛しておくことにする.
<美しい森を見ながらのトラバース道>
■大きな木
私の後に,日本語が堪能なサラさんがいる.私は英会話を実践する良い機会なので,下手な英語を使って,歩きながらサラさんと雑談を続ける.
登山道は,深い森林の中である.幹に沢山の苔が生えた大きな木が,地面から盛り上がるようにビッシリと繁茂している.
「この木,何て言うんですか・・・日本語で」
さすがにサラさんも,この木の正確な日本語は知らなかったが,ブナ(beech)の一種だという.
普段,丹沢で見慣れているブナに較べると,随分と大きく元気がよい.すばらしいブナ林の間を,ゆっくりと歩き続ける.
<苔むした大木>
<素晴らしい眺望>
■マウントリトルが見える
11時49分,サラさんが,突然,
「あそこに,マウントリトル(Mt. Little,1896メートル)が見えますよ・・」
という.私が何処に見えるのだろうかと迷っていると,
「あそこ,あそこ,木の枝の間・・!」
とサラさんが左手前方を指さす.
私は,首を左右させながら探す.なるほど,森林の枝越しに,白い切り立ったマウントリトルの山頂が見える.快晴で真っ青な空に,突き刺すように聳えるマウントリトルは神々しいほどに美しい.
「あんなに立派で大きな山なのに,何でリトル(小さい)なんていう名前なんですか・・・?」
と下らない質問をする.サラさんは,
「ああ,あの山の名前は,ジョージリトルという人の名前を取って付けたんですよ」
と答える.
続いて,ジョージリトルの業績を聞いたが,メモをしなかったので,あやふやな記憶しか残っていない.
<マンウントリトル>
■立派な滝
サラさんの日本語は半端の上手さではない.すばらしい.そこで,
「ところで,サラさん.何でそんなに日本語が上手いんですか」
と聞いてみる.
すると,彼女は,長い間,北海道で英語の先生をしていたという.また,ニュージーランドでは日本語の教師をしていた経験がある.なかなかのインテリである.
11時52分,右手に小さな滝が流れ落ちている側を通り過ぎる.小さい滝ながら,かなりの落差があり,なかなか見応えがある.私は,
「あの滝,何て言うんですか?」
とサラさんに質問する.別に名前はないと答える.
立派な滝だが,どうやら,この辺りではありふれた滝の一つに過ぎないらしい.
4人のトレッカーとすれ違う.お互いに,
「ハ~ィ」
と声を掛け合う.
<英会話の練習>
■サラさんを教師に・・
11時54分,辺りの雰囲気が少し山らしくなってきた.前方にジグザクの急傾斜が現れる.11時56分,左から右へ下り傾斜している斜面を登る.大きな谷の右岸である.谷側つまり進行方向右側の道路脇に大きな杉が傾いて立っている.直径2メートル程もあるだろうか,見事な杉である.サラさんの話では,この木の樹齢は約500年だという.
道が少しなだらかになる.私は,
「サラさんに,少し英会話を習ったら」
といって,すぐ前にいた仁王様と入れ替わる.
仁王様は,お世辞のつもりか,英単語並べ形の会話で,
「アナタ,綺麗・・・」
というようなことを言い出す.
私は個人の容姿を話題にすることに戸惑いを感じる.
すぐに,小声で,
「個人の容姿は話題にしない方が良いのでは・・」
と仁王様に進言する.
仁王様は,怪訝な顔をする.
次ぎに,ノシイカさんと交代する.ノシイカさんは,例の明るい仕草で,カレンさんと何事かお話ししている.
私とサラさんの間の距離は,もう大分あいてしまったので,何を話しているか分からないが,何時も明るいのがノシイカさんの取り柄である.
■隊列から飛び出す
12時17分,標高745メートルのところを歩いている.ここで,東京組2人と大阪組2人が疲れ始める.そして,ついに立ち止まる.この4人が,歩き始めてからずっと,あまりにもゆっくりペースで歩いているので,私たちは,随分と焦れったくなっている.そこで,12時18分,
「先に行かせてください・・・」
と断って,まずは私たち仲間の前に出る.さらに,東京組と大阪組の先へ飛び出す.私は解き放された子犬のように,そのまま,気儘な速度で前へ飛び出す.やっと自分の調子で快調なトレッキングができる.途端に大きな開放感を味わう.
なだらかな登り坂をドンドン進む.たちまちの内に,後ろの連中が見えなくなる.
12時30分,素晴らしく見晴らしの良いところに出る.万年雪が積もる切り立った山並みが前方に連なって見えている.ガイドもハイカーも近くにいないので,ノートを取り出して,辺りの風景を大急ぎでスケッチする.どの山が何んという名前かは全く分からないが,素晴らしい眺めである.さらに何枚かの写真を撮る.
私がスケッチをしている内に,12時35分,フクロウが私に追いつく.ここからフクロウと一緒に歩き出す.
(つづく)
「ルートバーン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/80070e3fa95ba38c23afe89f989728bc
「ルートバーン」の次回の記事
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