<長い滝が見える>
モロッコ訪問記(14):第4日目:ツブカル小屋を目指して(2)
(アルパインツアー)
2009年6月7日(日)~18日(火)
第4日目:2009年6月10日(水) (つづき)
<石ころばかりの山道>
■石ころの斜面で一休み
昼食を終えて,13時13分にシディチャマロウ小屋を出発する.先はまだまだ長い.
直ぐに,ジグザグの急坂になる.草木は一本も生えていない石ころだらけのトラバース道が続く.前方にはアトラス山脈が迫って見えている.標高が高まるにつれて,次第に疲労が蓄積し始める.
14時丁度に石ころがゴロゴロと転がる傾斜地(標高2,685m)で休憩を取る.日差しを遮るものは何もないので,炎天下の地べたに座り込む.ただ,空気が乾燥しているので,ジメジメした暑さはまったく感じない.
<標高2,685メートル地点で休憩>
■僅かばかりの植物
14時08分に歩き出す.
緩やかな登り勾配の道が続く.時々,岩陰に黄色や淡い紫色の植物がこんもりとしたすがたで生えている.よくもまあ,こんなに水気のないところで育っているなと感心する.
■前方に三角形の岩山が見える
前方には,三角形の高峰が聳えている.誰かが,ガイドに,
「あれがツブカル山か?」
と質問する.ガイドの説明によると,ツブカル山は,まだまだ先.ここからは見えないようである.
<だんだんと高山らしい風景になる>
■素晴らしい滝が見える
岩肌に沿って,水量はそれほど多くないが,落差の大きな滝が流下している.高いところにある雪渓が融けて流れ出しているようである.
14時30分頃,私たちは次第に谷筋の高いところを歩き始めている.
■天然クーラー
14時34分,大きな岩陰のオーバーハングを利用して,飲料を売っている売店に到着する.店主がどこかへ行っていて不在である.
割れ目から吹き出す清水を利用して飲み物を冷やしている.穴を開けたペットボトルが流下する清水のホースに取り付けられている.その穴から冷たい水が噴き出している.いかにも冷たそうである.
一寸,一本購入して飲みたいなと思ったが,肝心の売り子が居ないので諦める.
14時53分,数件に掘っ建て小屋が建っている場所を通過する.辺りには人影がなく,どうやら廃屋のようである.
■まだまだ先が長い
再び見通しの良い谷間を登り続ける.ごろごろと石が転がる山道が続く.ときどき,荷物運搬のロバ(正確にはラバ)とすれ違う.当然のことながら,登山道の至る所にロバの排泄物が落ちている.
16時01分,標高3,095メートル地点で休憩を取る.前方には,これから登っていく谷間が奥まで続いているのが見通せる.日陰になるものは何もないので,強い日差しの下での休憩である.
■快調な野詩歌さん
15時07分,再び歩き出す.
山岳ガイドの直ぐ後ろには,標高の高いところでとても元気な野詩歌さんが居る.野詩歌さんは,低山と代わらない速度で歩く.高地に弱い私は,野詩歌さんの速度に付いていくのがやっとである.時々,
「しんどいな・・」
と,ついつい愚痴が出る.
もっとも,しんどいなどと言っているのは私だけかもしれない.私が最初にダウンするのではないかと心配になってくる.
<まだまだ先は長い>
■幕営地が見え出す
標高が高くなったので,窪地には残雪が見え始める.紫がかった深い青色の空に,稜線がくっきりと見えている.
やがて,登山道は東へ大きく曲がり込む.
16時46分,今夜の宿泊場所であるツブカル小屋(標高3,207m)が,前方に見え始める.かなり大きな小屋である.小屋の周辺には,ロバや人の影が見え隠れしている.小屋の手前は広いキャンプ場になっている.この辺りには水気があるらしくて,細々ながら広場一面に雑草が生えている.
■何だか疲れた
小屋が見え始めてから,小屋に到着するまで,結構な道のりである.歩いても歩いても小屋が近づかないような錯覚に陥る.
ツブカル小屋は,イメリル小屋を歩き出してから,水平距離約14キロメートル,標高差約1,300メートルの所にある.
標高差では,丹沢の大倉から丹沢山山頂まで登ったのと,ほぼ同じである.また,水平距離は,塔ノ岳を往復するのと同じぐらいである.ただ,標高は北アルプスの北岳に相当するぐらいの高所である.
そう考えると,今日の疲労度は,まあこんな所かと納得しながら歩き続ける.
<ツブカル小屋全景>
<ツブカル小屋>
■ツブカル小屋に到着
16時52分,私たちは,無事,ツブカル小屋に到着する.
思ったより,大きくて立派な小屋である.小屋の周辺には荷役用のロバが沢山居る.ロバを扱う人たちが寝泊まりすると思われる小さな建物もいくつかある.
小屋の直ぐ下の幕営地では,派手な色のテントが何張か設営されている.
入口から小屋の中に入る.ガイドが宿泊手続きをしている暫くの間待たされる.
<ツブカル小屋に到着>
■フランス式のベッド
私たちにあてがわれた部屋は,小屋の2階の角にある大きな部屋である.1階から壁沿いの真っ暗な階段を登ると,大きな吹き抜けのある2階の広場に出る.この広場から角の部屋に入る.
部屋の真ん中に通路がある.その通路の両側に2段の大きな棚が作り付けられている.通路を挟んで,入口から見て右側が男性,左側が女性に割り当てられる.
棚には1人用のベッドがズラリと並べられている.ベッドの幅は70戦地ほどあるので,十分にゆったりしている.
数年前に,モンブランに登頂したときに宿泊したグーテ小屋の造りと,とても良く似ている・・・というより,そっくりである.
「モロッコがフランス領だったから似ているのかな・・」
と勝手に想像する.
とにかく,十分に広い部屋があてがわれたので,十分に満足である.
<小屋の内部:ベッドの寝心地は悪くない>
■立ったまま眠るロバたち
夕食は19時からである.暫くの間,時間があるので,小屋の外を散策する.まだ,まだ外は明るい.目の前にはゴツゴツとしたアトラス山脈の山々がそそり立っている.
あちこちで,ロバがボンヤリと立ったままじっとしている.
ガイドのアブダラさんに,
「夜,ロバたちはどこで寝るんですか・・?」
と聞いてみる.
「あのまんま,立ったままで寝るんです.」
「えっ・・露天でですか?」
「そうですよ・・」
アブダラさんは,どうして当たり前のことを聞くの・・というような顔をして答える.
■瞬間接着剤
散策に飽きて,部屋へ戻る.
同行者の一人が,履いてきた登山靴の靴底の踵が剥がれたとのことで,どうしようかと思案している.そこで,私は,何時も必ず持ち歩いている瞬間接着剤を,チーフリーダーに提供して,貼り付け作業をして貰う.
私の乏しい経験では,万一靴底が剥がれたときは,粘着テープなどで貼るよりも,ゴム・プラスティック用の瞬間接着剤の方が,数段長持ちすることが実証済みである.
今回も,わずか30秒ほどで,かなり強力に貼り付けることができた.
「・・・皆さんも,瞬間ペッチャク剤を常備することをお勧めします・・・これで,多分,明日一日だけでなく,まだ,まだ,この靴,履けますよ・・」
私は自分の経験から,かなり自信を持って言い切る.
実際の所,今,丹沢で履いている靴も,先端の部分が剥げ掛けていた.それをこの瞬間接着剤で貼り付けてから,ずっと愛用している.
■夕食・そして就寝
19時から夕食である.
一同,1階の長いテーブルに座って,一緒に夕食である.
メニューは,パン,スパゲティー,スープ,それにデザートにリンゴ1個.至って質素だが,山小屋だからこの程度でも満足.
私が持参した醤油が大好評だった.
20時30分頃,就寝.
長い一日が終わった.
<まずはスープ:醤油を数滴垂らすと素晴らしい味に変身する>
<メインディッシュのスパゲティ>
(つづく)
「モロッコ訪問記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/ba127487837cd97ef038ea0914a406cc
「モロッコ訪問記」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/468eb38296120c2516cf2f1b5c0727c0
「モロッコ訪問記」の最初の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/31b79faa79d02b8fe28dc5177880d2e4
「モロッコ訪問記」の索引
(編集中)
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