<本社ヶ丸山頂から三ッ峠を望む>
笹子:本社ヶ丸登頂
(山旅スクール特別企画)
2008年3月7日(金)
<地形図>
使用地形図:『笹子』『河口湖東部』
エリアマップ:『大菩薩嶺』(昭文社)
<地形図>
※プリントすると綺麗に見えます。
升目は1km四方。磁北線を表示。
<プロフィールマップ>
<山行概要>
■八王子駅集合
山行を頻繁に繰り返している私にとって,何時も気がかりなのは,今日の天候である。毎月315円也を支払っている某気象会社の予報では,今日の天候は,夕方からは,どうも芳しくないようである。
天候を少々気にしながら,5時10分に家を出る。私個人の山行であれば,何時も丹沢に履いていく釣りようの長靴と,4本爪アイゼンで出掛けるが,今日は山旅スクールの山行である。皆に不快な年を与えてもいけないので,軽登山靴,スパッツ,6本爪アイゼンを準備する。
今日の山行は,集合場所がJR八王子駅である。私が電車に乗車する大船から,八王子まで,どの程度時間が掛かるか,良く分からないので,安全を見て,大船発5時59分の横須賀線電車で横浜へ向かう。面倒だが横浜,東神奈川で2回も乗り換えて,7時35分にJR八王子駅に到着する。
JR八王子駅で参加者一同が揃ったところで,京王八王子駅前に移動,貸切バスで,8時21分に,京王八王子駅前を出発する。
今日の山岳ガイドはK山さん,添乗員はI田さん。参加者は約20名と多い。その内,4名が男性である。何時もながら,男性参加者が少ない。
■変電所から登山口へ
途中,談合坂SAで休憩を取り,9時51分にJR笹子駅南西約2キロメートルの地点にある変電所(標高900m)に到着する。一同,ここで下車する。辺りには雪が沢山残っている。きわめてドライな方法で,4~5人ずつの班分けが行われる。私は親子連れの2人から,同じ班に鳴ってくれと言われる。既にたまたま後部座席に座っていた4名とチームを作ることで内定していたので,少々戸惑うが,まあ仕方がないので,親子2人と班を作ることにする。
10時03分に歩き出す。暫くは西南西に続く上り坂の林道を歩く。林道は簡易舗装されているが,路面にはベッタリと残雪がへばり付いている。私達は滑って転倒しないように気を付けながら,残雪の林道を登り続ける。
緩やかな登り坂が続く。そして,10時28分に送電線の下(標高995m)を通過する。登るに連れて,路面上の残雪が次第に多くなってくる。そして,何時の間にか,未舗装の林道になっている。
10時35分,本社ヶ丸登山口(1,020m)に到着する。ここで軽くストレッチをする。
10時41分,いよいよ登山口から登山道に入る。これまでの林道と違って,踏み跡が残るだけの雪道になる。広い沢筋を辿る山道は,硬く踏み固められた残雪が滑りやすい。登るに連れて,登山道は,次第に急勾配になり,やがて小さな尾根の急な斜面を登る九十九折りの道になる。11時10分,この九十九折り急道を登り切って尾根に出る。ここで,希望者はアイゼンを装着する。私も折角アイゼンを持参しているので,躊躇なくアイゼンを装着する。
■私も同じスクール生
道すがら,同じ班になった方が,頻りに私に質問をしてくる。少々煩くなった私は,
「私も,同じ山旅スクールの受講生ですよ・・・分かる訳ないでしょう。頼らないで下さい・・」
と軽く突き放す。事実,分からないのだから仕方がない。
私が,ガイドにいろいろと質問をする。すると,この方が,ガイドより先に,私に色々と講釈する。
実は,事前に予習した段階では,事前に配布された資料の通りに忠実にルートを辿ると,1000メートル峰の位置が不明になり,ルート作成が不能になる。さらに,黒野田林道への下りが,どこかがなかなか分からない。このことをガイドに質問すると,この方が,すぐに,
「三角形に廻って,林道を下るんでしょう・・・」
と口を差し挟む。私は思わず,
「そんなことは,分かっていますよ・・・私が質問しているには,そんなレベルのことではないんですよ・・・」
と,やや語気を荒くして,お喋りを遮る。
「確かにお配りした案内文は間違っていますね・・・1000メートル峰を消すように,事務に話したんですが,消してなかったですね・・・」
とK山ガイドが私に釈明する。これで,スッキリした。
<ネズミの足跡> <色々な動物の足跡>
■生き物の証
10時31分,登山道傍らの雪の上にウサギの足跡を発見する。つづいてすぐに,ネズミが歩いた後も見付かる。ネズミの尻尾が雪の上を擦ってできた足跡(尻尾跡?)がハッキリと見える。
さらに尾根道を登り続ける。11時51分には,キツネの足跡が見付かる。改めて進行方向右側の斜面(つまり西側の斜面)を見下ろすと,沢山の動物が歩き回った足跡が沢山付いている。ネズミ,ウサギ,リス,キツネと,案外,色々な動物が,この辺りに住み着いていることが分かる。
■雪の中で昼食
11時23分,アイゼンを装着してから,再び歩き出す。ここから真南に向かう尾根筋を歩く。最初はなだらかな勾配の尾根筋も,先へ進むに連れて,次第に勾配がきつくなる。踏み跡の登山道は左右に大きく蛇行しながら,次第に高度を高めていく。それにつれて,先頭を行く班と,末尾の班との間が,だんだんとバラけ始める。
<雪深い雑木林の中を進む>
12時37分,標高約1,500メートル付近で休憩を取る。ここで昼食を摂る。私は談合坂SAで購入した握り飯を,ボソボソと食べる。すると近くに座っていた女性群から,いろいろな差し入れがある。申し訳ないが,有り難い。
昼食を終えた私達は,12時56分に,再び歩き出す。尾根の左右から小さな谷が迫っている。周囲の地形から,自分たちが,どこにいるかが容易に分かるので,進捗状況を自分で納得する。同時に,この調子では,笹子に下山する頃には,すっかり暗くなるだろうと,観念する。
13時01分,三ッ峠への分岐を通過する。この分岐はエリアマップ,地形図のどちらにも記載がない。
13時14分,不思議な木肌をした木の脇を通過する。この木肌があまりに芸術的だったので,思わず写真を撮る・・・が,植物のことがサッパリ分からない私には,一体,何という木なのか,まったく分からない。
<綺麗な木肌:木の名前は知らない>
■素晴らしい眺望
標高1,550メートル付近で,清八山山頂の北側斜面をトラバースして,本社ヶ丸に通じる稜線に出る。見晴らしが一気に開ける。本社ヶ丸に至る稜線は,結構痩せている。小さな上り下りが連続する。途中に少々危険な岩稜の上り下りが連続する。
凍り付いた残雪があるかと思うと,雪がすっかり溶けて,ガレ場になっているところもある。場所によってはアイゼンを装着したまま,岩を登るところも出てくる。なかなか変化に富んでいて,面白いコースである。
稜線からの眺望は素晴らしい。南には三つ峠がすぐそこに見えている。その先には,春霞で,やや茫洋とした真っ白な富士山が見えている。北側の目の前には,鋭く三角形に尖った笹子雁ヶ腹摺山(1,357m)が見えている。その遙か先に大菩薩嶺(2,056m)の雄大な裾野が広がっている。
「・・・遠くの山を見て,自分と大体同じ高さだなと思ったときは,自分の方が低いんですよ・・・」
とK山ガイドが蘊蓄を語る。
「なるほど!」
私は,新しい知見を得て,嬉しくなる。
<本社ヶ丸手前の稜線から富士山が見える>
■本社ヶ丸山頂
14時07分,私達は,やや嶮しい岩稜を登り詰めて,本社ヶ丸山頂(1,620m)に到着する。山頂はそれ程広くはない。私達一行が座り込むと,もう余地がない程度の広さしかない。誰かが,
「すぐに出発するんですか・・・」
とK山ガイドに質問する。
「15分程度休憩を取りましょう・・・」
という返事である。
私達は,思い思いに,山頂で写真を撮る。
14時26分に,本社ヶ丸山頂を出発する。
<本社ヶ丸山頂手前:少々厳しい岩稜が続く>
<本社ヶ丸山頂:近くに三ッ峠が見える>
■黒野田林道へ
本社ヶ丸東峰(1,541m)までは,雑木林の中を通る尾根道である。幅の広い伸びやかな尾根道が続く。14時43分に東峰に到着する。ここから真北に続く尾根道を下る。残雪深い急な下り坂である。ガイドから,
「男の人,前に来て・・・」
と命令される。私は,指図通り,列の先頭に出る。
ガイドのすぐ後を,ラッセルしながら下り続ける。雪の表面は硬くなっているが,中はザクザクとした柔らかい雪である。雪は膝が埋まる程度の深さだが,ときどきズボッと嵌る所や,雪の直ぐしたが岩に鳴っている所などがあって,ラッセルしにくい。
15時24分,標高1,265メートル付近で,20分ほど,歩くのが遅くなった人達が下ってくるのを待つ。どうやら,遅くなる人の顔ぶれは,何時も決まっているようである。15時45分に再び歩き出す。
急な下り坂が続く。私のすぐ後に続く女性が,私との間隔を詰めてくるので危険極まりない。
「もう少し,間を空けましょう・・」
と私がお願いする。
「はい・・」
というが,すぐにまた間を詰めてくる。また,注意する。でも,直ぐにまた間を詰めてくる。
「もっと間を空けなさい! 今度詰めたら怒鳴りつけますよ」
と強く言う。
「どうして,こんな初歩的なことが守れないんですか!」
あまり言いたくはないが,こんな人とは一緒に歩きたくないとつくづく思う。
16時丁度,鉄塔の下を通過する。ここから少し下ったところで,尾根が二手に分岐する。私達は東側の尾根を下る予定だが,分岐が何処かを探すのが面白い。その後,鉄塔道を辿って,16時58分に黒野田林道に飛び出るようにして合流する。この合流点が,当初,地形図で予想していた場所より,100メートルほど東に寄った所だったのも面白い。
■笹子駅に到着
広い林道を少し下った所から,カラ沢沿いに,真北に向かう林道に入る。雪が残っている所と,砂利が露出している所が混在する歩きにくい道が続く。疲労している人達と,先頭を行く人達が,だんだんとバラけてくる。その内に,日がトップリと暮れて,辺りが真っ暗になり始める。
後続が到着するのを長い時間待ち続けて,18時02分に,ようやくJR笹子駅に到着する。
■グループを離脱して帰宅
こんなに遅くなってから,わざわざ風呂に立ち寄って,ノンビリと帰宅するのは,私の性分に合わない。そこで,JR笹子駅で,グループから離脱して,1人で笹子駅からJRを使って帰宅することにする。
幸いなことに,笹子駅発18時09分の高尾行電車に間に合った。電車は空いている。ボックス席を1人で占領する。団体を離れて,1人になり,心底からホツとする。
「やっぱり,自分には一人旅が向いているな・・・」
と改めて思う。
高尾で中央線快速電車に乗り換える。その後,八王子から横浜線,根岸線を乗り継いで,21時過ぎに,無事,帰宅する。
[ラップタイム]
8;21 京王八王子発(発貸切バス)
9:01 談合坂SA着(9:17発)
9:51 変電所着(10:03歩き出し)(900m)
10:28 送電瀬の下を通過(995m)
10:35 登山口 着(1022m)(10:41までストレッチ)
11:10 尾根に乗る(1130m)(11:23までアイゼン装着)
11:55 1300m地点(12:02まで休憩)
12:37 1500m地点(12:56まで休憩)
14:07 本社ヶ丸山頂着(1620m)(14:26発)
14:43 東尾根に入る(1541m)
15:24 1265m地点(15:45まで休憩)
16:00 鉄塔(1210m)
16:58 黒野田林道に出る(900m)
17:10 820m地点(17:15までアイゼ外し)
18:02 笹子駅着(グループから離脱)
[山行記録]
■累積登攀高度 810m
■累積下降高度 1,113m
■登攀所要時間(休憩時間を含む)
変電所発 10:03
本社ヶ丸着 14:07
(所要時間) 4時間04分(4.07h)
登攀速度 810m/4.07h=199.0m/h
■下降所要時間(休憩時間を含む)
本社ヶ丸発 14:26
笹子着 18:02
(所要時間) 3時間36分(3.60h)
下降速度 1,113m/3.60h=309.2m/h
※雪道にしては意外に早かった。
(おわり)
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