英語学習は続く・・

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そして原書をたくさん読んで☆
声を上げて読む〜☆

怪人二十面相 67

2023-01-01 14:42:59 | 怪人二十面相

悪魔の知恵

Devil’s wisdom

 ああ、またしてもありえないことがおこったのです。二十面相というやつは、人間ではなくて、えたいのしれないお化けです。まったく不可能なことを、こんなにやすやすとやってのけるのですからね。

Oh, impossible thing happened again. Twenty Faces is not a human, unknown monster. Unthinkable things had been done easily by him.

 明智はツカツカと部屋の中へはいっていって、いびきをかいている刑事の腰のあたりを、いきなりけとばしました。賊のためにだしぬかれて、もうすっかり腹をたてているようすでした。

Akechi strode into the room, kicked the snoring detective by the waist. He was furious being gotten better of him by the thief.

「おい、おい、起きたまえ。ぼくはきみに、ここでおやすみくださいってたのんだんじゃないんだぜ。見たまえ、すっかりぬすまれてしまったじゃないか。」

"Hey, hey! Wake up. I didn't ask you to have a rest here. Look. Everything has been taken."

 刑事は、やっとからだを起こしましたが、まだ夢うつつのありさまです。
「ウ、ウ、何をぬすまれたんですって? ああ、すっかりねむってしまった……。おや、ここはどこだろう。」

The detective sat up finally but still he was half sleeping.
"Umm. What was taken? Oh, I was sound asleep. Where is it here?"

 寝ぼけた顔で、キョロキョロ部屋の中を見まわすしまつです。

He ended up looking around with sleepy face.

「しっかりしたまえ。ああ、わかった。きみは麻酔剤ますいざいでやられたんじゃないか。思いだしてみたまえ、ゆうべどんなことがあったか。」
 明智は刑事の肩をつかんで、らんぼうにゆさぶるのでした。

"Pull yourself together. Oh, I see. You must have taken some narcotic. Remember, what had happened last night?"
"Akechi grabbed his shoulder and shook him.

「こうっと、おや、ああ、あんた明智さんですね。ああ、ここは日下部の美術城だった。しまった。ぼくはやられたんですよ。そうです、麻酔剤です。ゆうべ真夜中に、黒い影のようなものが、ぼくのうしろへしのびよったのです。そして、そして、何かやわらかいいやなにおいのするもので、ぼくの鼻と口をふさいでしまったのです。それっきり、それっきり、ぼくは何もわからなくなってしまったんです。」

"Ow? Oh, you're Mr. Akechi. Oh, it's Kusakabe's art castle here. Damn it. I was attacked. Yes, it was narcotic. At the middle of the night some black shadow thing sneaked behind me. And my mouth and nose were covered someting smelt soft and bad. After that it was all blank."

 刑事はやっと目のさめたようすで、さも申しわけなさそうに、からっぽの絵画室を見まわすのでした。

The detective seemed to wake up finally, and looking around the empty art room apologetically.

「やっぱりそうだった。じゃあ、表門と裏門を守っていた刑事諸君も、同じ目にあっているかもしれない。」

"I knew it. Then the both detectives wathing the front and back gate cam be the same."

 明智はひとりごとをいいながら、部屋をかけだしていきましたが、しばらくすると、台所のほうで大声に呼ぶのが聞こえてきました。

Akechi talked himself and ran out of the room. After a while a big shout reached here.

「日下部さん。ちょっと来てください。」
 なにごとかと、老人と刑事とが、声のするほうへ行ってみますと、明智は下男部屋の入り口に立ってその中を指さしています。

"Mr. Kusakabe, come here."
The old man and the detective went for the voice to find Akechi standing on the entrance of servant's room, pointing at something inside.

「表門にも裏門にも、刑事君たちの影も見えません。そればかりじゃない。ごらんなさい、かわいそうに、このしまつです。」

"There are no detective on both of the gates. No only that, look. What a poor thing."

 見ると、下男部屋のすみっこに、作蔵じいやとそのおかみさんとが、高手小手たかてこてにしばられ、さるぐつわまでかまされて、ころがっているではありませんか。むろん賊のしわざです。じゃまだてをしないように、ふたりの召使いをしばりつけておいたのです。

When they looked there were Old Sakuzou and his wife flat on the floor, with their hands tied and gagged. Of course it was for the thief. He bound up the two servants to prevent their intervention.