小林少年はそんなことをいって、頭をなでてやりますと、ハトのピッポちゃんは、そのことばがわかりでもしたように、クークーと鳴いて返事をしました。
Kobayashi storoked Pippo's head, then pigeon asnwered by cooing as if it understood him.
ピッポちゃんは、少年探偵のマスコットでした。彼はこのマスコットといっしょにいさえすれば、どんな危難にあっても大じょうぶだという、信仰のようなものを持っていたのです。
Pippo is a pet of this boy detective. He had a steady faith that everything is all right in any danger if he was with this pet.
そればかりではありません。このハトはマスコットとしてのほかに、まだ重大な役目を持っていました。探偵の仕事には、通信機関が何よりもたいせつです。そのためには、警察にはラジオをそなえた自動車がありますけれど、ざんねんながら私立探偵にはそういうものがないのです。
In addition to that, this pigeon has an important mission other than being his pet. It is very important to get communication means for a detective. For that the police has radio system on their cars but unfortunately private detective doesn't have anything like that.
もし洋服の下へかくせるような小型ラジオ発信器があればいちばんいいのですが、そんなものは手にはいらないものですから、小林少年は伝書バトという、おもしろい手段を考えついたのでした。
It's perfect if there was a small radio that can be hidden under clothe but it's unattainable for him so Kobayashi got an idea that using a carrier pigeon.
いかにも子どもらしい思いつきでした。でも、子どものむじゃきな思いつきが、ときには、おとなをびっくりさせるような、効果をあらわすことがあるのです。
It was very childlike idea but sometimes child's innocent idea could work very well and surprise grownups.
「ぼくのカバンの中に、ぼくのラジオも持っているし、それからぼくの飛行機も持っているんだ。」
"I have my radio and airplane in my bag."
小林少年は、さもとくいそうに、そんなひとりごとをいっていることがありました。なるほど、伝書バトはラジオでもあり、飛行機でもあるわけです。
Kobayashi sometimes would talk to himself triumphantly. Sure, carrier pigeon is a radio and also an airplane.
さて、七つ道具の点検を終わりますと、彼は満足そうにカバンを衣の中にかくし、つぎには懐中電燈で、地下室のもようをしらべはじめました。
Now, he finished his seven tools and hid the bag under his clothe. Next, he started to check the surroundings of the basement using the flash lihgt.