綿内克幸FSP BLOG

シンガー/ソングライター綿内日記

デニス・ウィルソンとフー・ファイターズ

2008-05-13 00:02:56 | MUSIC SELECTION
 ビーチ・ボーイズで唯一サーフィンが出来た男~ウィルソン兄弟一の暴れん坊、故デニス・ウィルソンが30年前に出した唯一のソロアルバム「Pacific Ocean Blue」が、未発表に終わった幻のセカンドの音源とセットでもうすぐ日米両方で再発される。

 初めて登場するその幻の方の訳詞を担当させてもらったのだけれど、かなりラリってて意味不明+豪快な部分と、ピュアな部分が同居していて、溺死というかたちで最期を迎えたことと相まって、何だかちょっと切なかった。ああ蒼い海。

 又、ビーチ・ボーイズ印のついた美しいインスト曲に、デニスの大ファン(たぶん)であるフー・ファイターズのドラマー / テイラー・ホーキンスが歌詞をつけ、歌ったヴァージョンも収録されている。しわがれ声がもうそっくり。BBマニアの先生方は納得するのか知らないけれど、若い人達が聴くきっかけになるかもしれないな。
 

Coldplay / Violet Hill

2008-04-30 18:24:40 | MUSIC SELECTION
Coldplayのニューシングル「Violet Hill」が、彼らの公式サイト上で一週間だけ無料ダウンロード出来るようになっている。僕はこのバンドのファンなので、さっそく聴いてみた。装飾過多だった前作より潔い雰囲気はプロデューサー・ブライアン・イーノ効果だろうか。どことなくスコット・ウォーカー(「Old Man's Back Again」)を思わせる渋い曲だ。

http://www.coldplay.com/ にアクセスし、「Song」をクリックし、メアドと適当な郵便番号と国を入れると、info@coldplay.com からダウンロードアドレスが送られて来る手順。スパムメールと間違われてはじかれてしまう場合があるから、あらかじめアドレス帳にinfo@coldplay.com を加えておくと良いそう。

『遠い渚』

2008-02-19 00:44:47 | MUSIC SELECTION
 ちょうど10年前、「シールズ&クロフツのサマー・ブリーズみたいな切ない曲で」という指示の下、某事務所の某アイドルグループにいた青年用に書き下ろしたものの、結局自分で歌うことになった「遠い渚」という持ち歌がある。刹那的な愛の詩で、この曲のエンディングはメンバーの演奏がとても映える部分なので、やっていていつも静かに熱くなる。

 で、話の主役は自分の曲ではなくてこのアルバム(写真)、チャド&ジェレミーの「遠い渚」。英国のサイモン&ガーファンクルと言われた二人組が1966年に出した名盤で、サイモン&ガーファンクルというよりピーター&ゴードンをよりソフトロック~バロックロック化した感じの美しきポップス集だ。タイトル「遠い渚(Distant Shores)」にピッタリなジャケットも良い。久し振りにこの辺の音を聴いて、あまりの心地良さにうたた寝して風邪を長引かせてしまった。僕がうたた寝するアルバムはみな優れた作品ということなのだ。退屈なのではなくて、心地良くて入り込んでしまうから。夢先案内人だね。

 ちなみに、僕の方の「遠い渚」のタイトルは、このチャド&ジェレミーから拝借したんではなくて(今回、紙ジャケにリリースに当たって「浜辺のシルエット」から「遠い渚」に改題)、エヴリシング・バット・ザ・ガールを組む前のトレーシー・ソーンが1982年に出したアルバム「遠い渚(A Distant Shore)」から拝借したものだ。ネオアコに敬意を表して。

 

 

るびるびるびるべ~♪

2007-09-13 01:33:57 | MUSIC SELECTION
 ここのところ、家で一番流れているCD。英国人気バンド、カイザー・チーフスのセカンド「Yours Truely, Angry Mob」。シングル「Ruby」のサビの♪るびるびるびるべ~♪が頭から離れない。シャワー中に♪るびるび、トイレ中に♪るびるび、ラーメン屋に行っても♪るびるびだ。思わず口をついて出るという点では、ザ・クロマニヨンズのギ~リ~ギ~リ~ガガンガ~ン♪といい勝負かもしれない。

 ブラーにちょっと感じが近いと思ったけれど、彼らよりは下町っぽい。そこが良い。

7月の夜に聴く音楽

2007-07-10 01:41:25 | MUSIC SELECTION
 というか最近買ったCD。一枚は現在米国最強シンガー/ソングライター、ライアン・アダムス(しつこいけどブライアンじゃないよ)のもう出し過ぎて何枚目かよくわからない新譜「Easy Tiger」。傑作「Gold」以来の外向きな音。外向きなので屈折度が低く、カントリー色強し。したがって夏の日にラク~に聴ける。ちなみに昨年末、ブクロのバー「ポルカ・ドッツ」で弾き語り来日公演を行ったニール・カサールさんがギタリストとして参加しております。

 もう一枚は感涙の再結成、クラウデッド・ハウス12年振りの新譜「Time On Earth」。陽気なキャラクターで愛されながらも亡くなってしまったドラマーのポール・ヘスターが引き寄せたかのような再結成、と言っていいだろうか。12年経った分、まったりした曲が多いけれど、ニール・フィン節健在の一曲目から胸がきゅ~んとなってしまった。ニール・フィン大好きのジョニー・マー大先生のギターも聴けて尚嬉しい。頑張って曲作らなきゃなって気にさせられる。

 さて今週はニューヨークの闇の帝王INTERPOL(略してインポ)の新譜を買って来よう。7.21ブクロのバーでのライヴ選曲もせねば。

Love Is Hell

2007-01-11 23:06:05 | MUSIC SELECTION
 愛は時々地獄だよなぁ・・・でも時々実に天国だな。

 な~んてただのアルバムタイトルだよ。ニール・カサールを年末に観た後、久し振りにライアン・アダムスを聴いている(ニールはライアンのバンドのギタリストでもある)。風邪も治ったし。

 ちょっとのやさぐれと色気を併せ持った歌声、米国ルーツ音楽を取り入れたセンスの良さ、曲の良さ、多才、多作、多情、おまけに偏屈・・・この人は色んな意味で現代米国ロックのヒーローの一人だな。
 オマエ出し過ぎってくらい実に多作で、一昨年は年にアルバム3枚発表してるし(ストックもすごいらしい)、基本カントリーロックなんだけど内省的なオルタナっぽさも見せたり、突然80年代バリバリギターサウンドを披露したり、リアム・ギャラガー以上の悪態つき(相当ひどいぞそれは)という評判だったり、何だかすごい若干30歳。
 多作なところは彼の爪の垢でも煎じて飲みたいところだけど、悪態の方は別にいいや。多情の方は微妙です。

 というわけでいつも他人の作品を紹介するお人好しな私であるが、良い音楽は一人でも多くの人に聴かれるべきだと思っている。

 ●入門編として彼の作品で一番明快なのは「GOLD」。いい歌のオンパレード。米国ロックの良心。それを陽とするなら陰にあたるのが上の写真「Love Is Hell」。オアシスの名曲「Woderwall」のカヴァーは絶品(グラミーにノミネート)で、夜中に聴くなら内省的なこのアルバムの方が胸に迫るものがある。
 ザ・バーズ~グラム・パーソンズのカントリーが好きなオヤジには一昨年の三部作の真ん中「Jacksonville City Nights」もしみじみ良いなぁ、ソロ転向前にいたバンドのWhiskeytownなら「Pneumonia」が良いなぁ、三部作の第一弾の二枚組「Cold Roses」も捨てがたい・・・出し過ぎなのでよくわからなくなってきた。

GOLD Jacksonville City Nights Pneumonia
 

The New Orleans Social Club

2006-10-04 22:43:21 | MUSIC SELECTION
 手にする量は減ったけど、それでもCDは果てしなく増えていく。自分で買う以外に時々、「綿内君が好きそうなものを」と、まとめて頂いたりもする。
 今回、その中で真っ先にCDプレイヤーに乗せたのがこれ、「The New Orleans Social Club / Sing Me Back Home」。昨夏のハリケーン(カトリーナ)で大打撃を受けた音楽の町・ニュー・オーリンズのミュージシャン達による「わが町を鼓舞する応援アルバム」だ。
 ネヴィル兄弟、Dr.ジョン、盲目のファンキー・ピアニスト~ヘンリー・バトラー等が参加した、カジュアルさが何とも心地良くて癖になる一枚。またあの町へ行きたくなる。

 ニュー・オーリンズ独特のビート‘セカンドライン’は、確か元々埋葬行進曲の発展形だったはず。人が死んだってのに、弾んだビートで送り出すなんてちょっと素敵ではないか・・・・・。

 話はニュー・オーリンズから長野市へと思いっきりそれるが、あれは5年半前の親父の葬式でのこと。葬儀センターだったので、それはそれは何から何までスムースにことが運んだ。商売だから回転率上げてナンボなんだなぁと、坊さんのお経を聴きながらぼんやり思った。高校生の時、結婚式場でアルバイトをしていて、新郎新婦が「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう・・・」と涙ながらに語るクライマックスの扉の裏で、残飯を片付ける為に僕らアルバイトボーイはポリバケツを持って待ち構えていた。それを思い出した。

 葬儀が始まる時、いかにも悲しげな音楽が流れていた。あまりにいかにもなので腹立たしくなって、「これは故人の意に沿わないだろう」と思い、進行役の女性に「止めてくれ」と言い、遺品として飾られていた親父の好きだった哀愁のトランペッター「ニニ・ロッソ」のテープに変えてもらった。「どうだ?これなら少しは気分良くあの世に行けるだろ?」と、僕は心の中で呟いた。

B.G.M. Somewhere / Henry Butler
 

 

「White Bread Black Beer」

2006-08-20 09:39:55 | MUSIC SELECTION
 残暑にグリーンの声・・・ぴったりだった。迷っていたスクリティ・ポリティの新譜「White Bread Black Beer」をようやく購入。変わらぬ「声」含め、素朴で浮遊感いっぱいで、涼しげな好盤だった。

 最近の音楽やそれが撒き散らすテンションを遮ってじっくり向き合うと、自宅録音というのもあって、シンガー/ソングライターとしての、個のグリーンに出会える。
 コーラスや曲の展開がブライアン・ウィルソン風だったり、やっぱりビートルズの匂いがするのは当然か。素朴だった初期の「Songs To Remember」の現代版といった感じかな。7年前(!)の前作「アノミー&ボノミー」より愛すべき作品になるのは間違いない。

・・・などと涼しさに和んでいたら、歌詞作業に手を付けるのを忘れてしまった。まずい。本番は木曜日だ。

B.G.M. Scritti Politti / Snow In Sun

偏愛MOD JAZZ(Edgar‘Jones' Jones)

2006-05-27 02:20:13 | MUSIC SELECTION
 ジャズ喫茶に行ったことがあるかな?薄暗い店内で客は皆俯きながら目を閉じ、ひたすら黙ってレコードを聴く、お喋りしようものならマイルス・デイビス似のマスターが飛んで来てトランペットの広がってる方で頭を小突かれる・・・というような、一部嘘が混じっているが、まぁそんなイメージの場所だ。我が故郷長野は理屈っぽい県民性のせいか、ジャズ喫茶が多い。

 ここで書くのはそんな聴き方をするんでもないし、超絶プレイに感嘆するんでもない、ロックやR&Bと同じような気分で聴くジャズ、例えば60年代にマンフレッド・マンが演ったような気分のジャズで始まるアルバムなのだ。

 90年代初頭の英国に、おバカなジャケットとアルバムタイトル及び怒涛の60年代調R&Bガレージロック(しかもモノラル録音)で、一部の人々を大喜びさせたのにたった一枚で行方不明になってしまったステアーズというバンドがあった。

 同時期に人気だった同郷(リバプール)、同系統バンドのラーズの方は「There She Goes」のヒットもあって、同じくアルバム一枚で沈没したにもかかわらずこちらは伝説化しているというのに。「メキシカンR’N’B」という意味不明なタイトルと、ポンチョかぶったメンバーが二人、もう一人は宇宙服というジャケット(バカですね)がいけなかったのか。万人向けじゃなかったかもしれぬ。
 蛇足ながら僕のファーストアルバムのレコーディングの際、プロデューサーのサロンミュージック吉田仁氏がある曲のアレンジ参考用にとこのアルバムを差し出した時は、さすが吉田仁!VIVAメキシカンR’N’B!と思ったものだ。

 あれから幾年月・・・フロントマンだったエドガー・サマータイムことエドガー‘ジョーンズ’ジョーンズが突然のソロアルバムで還って来て驚いた。
 聴いたらまた驚いた。いきなりジャズ。ジャズの他は50年代R&Bボーカルグループ、ゴスペル、スライ「If You Want Me To Stay」・・・愛情丸出しかついかがわしい。しかもステアーズ同様モノラル録音なもんだから、聴いてるとカバーだかオリジナルだかよくわからなくなってくる。なんていう偏愛ロック、モッドジャズ。

 アーティストが影響を受けた楽曲を自ら選曲したCDシリーズ「Under The Influence」のポール・ウェラーの巻(激渋好盤)を地で行くようなアルバムだ。ちなみにエドガーは近年、そのポール師匠バンドのベーシストとして来日もしているのだな。

 モッズ魂による趣味の良い音楽への偏愛が産み出した変態クールサウンド。やっぱり万人向けじゃありません。
Edgar‘Jones' Jones / Soothing Music For Stray Cats

紅白男(Jack White)

2006-05-01 19:14:11 | MUSIC SELECTION
 皆さん連休どうお過ごしかな?寒かったり突然夏日だったり、縫った歯茎の糸が勝手に抜けたり、いつの間にか5月だったり変な感じ。

 実家から母親が来ていた日は酔っ払ってソファーでガースカ眠ってしまった。いつものことだけど。そんな真夜中、つけっ放しのMTVから流れてきた妙~な音で目が覚めた。ホワイト・ストライプスの紅白男、ジャック・ホワイトがねじれポップシンガー/ソングライターのブレンダン・ベンソン等と組んだ4人組新バンド、ラカンターズの「デビュー曲」だった。

 翌日、速攻で池袋WAVEへ走った。シングルを買いに走るなんてことは今じゃそうはないから、僕としてはかなり気になったのだ。冒頭、聴こえてくるのは、すかすかドラム、もごもごベース、てろてろギター、そしていつもより大人しいジャック・ホワイトが歌う60年代マージー・ビートみたいな哀愁メロディ。良いじゃないの良いじゃないの。あ~ギター弾きたくなってきた。

 紅白男がそれぞれの色を持つ男達と混ざって、微妙な色合いを醸し出している1曲。連休はこれで行く。何をだ。


(Pic.The Raconteurs / Steady, As She Goes  衣装も紅白じゃなし。右端。)