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少しまえのネタで失礼。
エスペランサ・スポルディングのまえのアルバムのコンサート に行ったのはもう3年もまえになってしまった。
そのときからだいたい3年経って新たにエスペランサの出したアルバム EMILY’S D+EVOLUTION が
あっと驚くイメージチェンジをしていて、
彼女の創作の泉の溢れ出るさまに恐れ入ったんである。
そして、そのアルバムの巡業 が東京に来るというので、
喜び勇んでチケットを取り、この日が来るのを指折り数えておった。
新年度に入って2ヶ月、子供たちの生活も軌道に乗った頃だろう、わたしと夫が出かけるにもちょうどよかろう、と。
チケットを取ったときに5月の末がこのようになっているとはつゆ思わなかったけれど、
そうなればこそなお、いっときを忘れてライブを楽しみたいというものである。
前回は全席指定の椅子に座って観るタイプだったが、今回は1階はスタンディングで2階が座席という形式なんである。
飲食付きで椅子に座るブルーノートみたいなライブハウスなら行ったことはあったけれど、
スタンディング、っていうのは初めてで、ネットでいろいろ作法を調べて行った。
なるほど、演者に近いところになるべく大勢客を入れようとすれば立たせるのがいちばん、というわけだ。
EMILY’S D+EVOLUTION のライブはちょっと演劇仕立てなんである。
YouTube でいろいろ動画がアップしてあるので近い感じのもののリンクを貼る。 → ★
今回もけっこうこういう舞台であった。
アルバムが発売されるまえの試聴ですでに驚きまくっていたのだが、
なんといっても崩壊寸前でカッコイイ。
どうしてこういうびっくりするようなベースラインの上にああいうメロディアスな歌を乗せられるんだろう!?
わたし音をとって譜面を作ることはそこそこできると自負しているけれど、
エスペランサのは無理だ!!!
小難しい音、というのはべつに目新しいものではなくて、
ジャズならついて行けないだろうとやたらとテンションだらけでけむに巻く感じとか、
クラシックでも不協和音ばかりの現代音楽とか、けっこうまえからある。
こうなってしまうと、分からないならもうみんないっしょ、みたいなところがある。
でも、このエスペランサの音はそうじゃない、と思う。
アルバム全体を貫くトーンが長調で、眉間に縦じわを入れる類いではない、と思う。
すごく難しいことをしていることに変わりはないけどね。
ホセ・ジェイムズのところでトランペットの黒田卓と一緒にトロンボーンを吹いているコーリー・キングを
バックコーラスに起用しているのだが、
ちゃんとこのライブにも来てくれた。
少し照れが残ったまま演技したり踊ったりするのが微笑ましかった。
素晴らしい歌声だったけれど、彼のトロンボーンも聴きたかったな…。
このアルバムはエレキギターの音が特徴だと思う。
チェンバー・ミュージック・ソサエティ みたいな音も作った人なのに、としみじみ思い返していたら、
アンコールがチェンバーミュージックの1曲目の リトル・フライ でびっくりした。
もちろんアコースティックなダブルベースは持ってきていないので、アカペラだったけど。
突然亡くなったショックがまだ癒えない時期だったせいか、
アルバム8曲目の Noble Nobles のギターの音色やハーモニーが妙にプリンスを思い出された。
エスペランサはしゃべる言葉も動作も音楽になってしまう。
この人はほんとうに天才だな、と思った。
次はいったいどんな路線を開拓するんだろう? 楽しみに待っているよ。
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そうそう、ライブ会場に行く途中で見たフジテレビ。
変な建物~
『科博に行った。』 につづく
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