夫とデート。
目的は、「レオナール・フジタ ― ポーラ美術館コレクションを中心に」 と、OZONE 。
車は秩父に置いて、西武線レッドアローで池袋に出た。
フジタ展はBunkamura のザ・ミュージアム。
3月に オーチャードホールのエスペランサ を観に行って以来だ。
フジタはたくさん作品を残したので、全貌の分かる展覧会というものはなかなかない。
この展覧会では、
おもにポーラ美術館コレクションと、フジタと親交のあった画家の絵と、土門拳や阿部徹雄の写真と、
晩年を過ごしたエソンヌ県の議会に寄贈された 家やアトリエの模型 が展示されていた。
初公開の絵 「ピアノと娘」、というのも目玉のひとつだった。
先日、未発表作品がみつかった、というニュース があったが、
どうやらその3点とはまた異なるようだ。
戦後のごたごたで所在が不明になっていたものらしい。
大判な裸婦の絵は圧巻だ。
あの当時パリに行った日本の画家は何人もいたけれど、フジタのように現地で成功した人は他に誰もいなかった、
と林洋子氏の本で読んだ気がするが、今回観に行ってそれがどうしてか分かった気がした。
西洋をマネしては活路はない、と早くに気付き、オリジナリティを追及し、
西洋人の欲するエキゾジズムなるものを提示して、驚かしたことも大きいと思う。
絵が上手い、多作、というのはもちろんのことだが。
48年に描いた 「植物の中の裸婦」、53年の 「春」、「秋」 の、成熟した女性が、とても素敵だった。
ポーラ美術館のコレクションのうちで、子供の職人尽くし、みたいな小さな絵がとても面白かった。
かつては大判な絵を何枚も描いたが、歳をとってからは力の抜けたユーモラスな絵を描く、というのは、
なんだか芸のありよう、を示しているような気がした。
家やアトリエの模型はわくわくするものだった。 慈しんで作ったのがよく分かった。
そこを舞台にした絵も展示されていた。
心酔したり親交のあった画家の絵は、
ルソー、モディリアーニ、パスキン、キスリング、スーティンのものが展示してあった。
キスリングの 「裸婦」 がとても気に入った。
写真は阿部氏のものの方がふんわりした空気が感じられて、土門氏のものより気に入った。
お次は新宿パークタワーにある、LIVING DESIGN CENTER OZONE 。
駅からちょっと遠い。 無料のシャトルバスに乗っていく。
でっかいビルがこれでもかと林立している。
おのぼりさんには信じられない光景だ。
群馬の山奥から2時間半で、同じ日本とは思えないくらい景色が変わってしまうのだから。
ここを上ればOZONEだ。
家づくり、リフォーム、家具、その他雑貨、ものや情報を手に入れることができる。
名前をあちこちで目にするコンランショップには初めて行った。 楽しい。
いくつも入っているお店に置いている家具は、木が主体のものが多かった。
それにしても、ウェグナーの多いこと! 特に座の編んだYチェアばかり。
でも、わたしのいちばんお気に入りのウェグナーの椅子、ダイニングチェア CH29 は見当たらなかったなぁ。
ウェグナーに限らず輸入椅子も多かったのだが、いかんせん大きすぎる。
日本人より大柄の人たちが靴を履いてちょうどいいサイズを、小柄な日本人が靴を脱いで使うのだから、困る。
椅子には片っ端から腰かけてみた。
こういっちゃ手前味噌だが、夫の作る椅子 に遜色ない座り心地は奥村昭雄 氏のものとかその程度であった。
「フルスイング展」 というのも面白かった。
色紙を挟んだ、ポップでかわいらしい合板を使った家具や雑貨の展示だ。
デザインの持つ力はすごいな。デザインってなんなんだろう? などと
ある意味陳腐で根源的なことを考えてしまったんであった。
Japan creation space monova は家や家具ではなくて、日本の伝統工芸品など小物を置いている店だが、
そこの催事ブースで 「天女の羽衣展」 が行われていた。
もう信じられないくらい薄い織物だ。 透けるのに、オパールのように、まるで構造色のように、虹色に光る。
すっかり夢中になってしまった。
こんなに細い糸で織ることが、わたしにできるだろうか!?
布見本はたくさん展示してあるのに、商品が少ない。
銀座の三越伊勢丹に行けば、この柄のスカーフも置いている、とか言われたが、
帰りに銀座に寄る時間的余裕もないし、そもそも次に東京に出てくる予定もない。
でも欲しい!
帰ってからネットでいろいろ調べてみた。
日経BP、日経ビジネスオンライン、創り手たちのstory の記事が面白い。
写真では、このオパールのような煌めきが出ていない。
天池合繊株式会社 のリンクも忘れてはならない。
なんと、石川県の能登半島の七尾に本社があるそうだ。
能登半島には毎夏行くけれど、まだまだびっくりすることがいっぱいあるな!
これはフジタ展の図録。 なかなかかわいい作り。
実物には劣るけれど、思い出すよすがに。
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