野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

鶴岡市大山の下池

2018-12-15 09:59:02 | 探鳥

 長期天気予報を見ながら旅行計画を立てるのは、今では世間一般の常識となって

いるようだ。天気予報の正確さがスーパーコンピューターの導入により飛躍的に

精度を増した現代では、殆どの人がそうしていると思われる。

 

 でもよく考えてほしい、気象協会の発表する10日間予報の的中率は思ったより

低く50%を下回っているのだそうだ。例えばだが、明日の天気予報が90%の

確率で当たるとすると、10日後の的中率は0.9を9回かけ合わせることに

なるから、一週間後には50%を切り10日後には38%にまで下がってしまう。

 

 信頼度が低いと知りながらも予報を出すのは世間の要望があるからだろうが、

10日先の予報をもとに予約した宿泊客が、2,3日前の天気予報を見て

キャンセルしてしまうのだから、ホテルや旅館の関係者にとってはたまらない。

 

 せっかくの旅行なのだから、天気の良い日に出かけたいと思うのは分かる。でも

予報が悪天候に変わっても、台風や嵐は別として少しぐらいの雨や曇りなら私は

構わず出かけることにしている。晴れの日ばかりの旅行なんて何か味気ない

ような気がするのは、私だけだろうか。

 

 今回の旅行2日目の鶴岡市下池は10日間天気予報では曇り。直前になって

予報は悪化し、雨の確率は10%から80%に増えてしまった。そのおかげで

幻想的な風景に出会えたのだから、寧ろ幸いだったといえる。

 

 初冬を迎えた下池の風景には曇り空がよく似合っていた。

 

 右に池を望みながら行くと観察舎が見えてきた。

 

 下池のほとりに立つおわら愛鳥館

 

 ぐるりと池を一周することにする。この池ではマガモが多い。

 

 

 一周する間に湖面を覆う霧は場所と濃淡を少しずつ変えていく。

 

 すでに冠雪している山々が見える。あれは出羽三山だろうか、

それとも朝日連峰の峰々だろうか

 

 深い霧の中、カモたちは静かに早い眠りについている。

 

 面だけ霧を残してゆっくりと晴れ上がった。

 

 

 暫くすると再び霧が深くなる。

 

 

 深くなった霧の中に白鳥の群れが帰ってきた。

 

 

 真ん中の白いカモはカワアイサの♂

 

 湖面のグラデーションがきれいだ。

 

 中央の黒いカモはオオバンの群れ

 

 この辺りにはオナガガモが多い

 

 池を取り囲む山の斜面を、霧が駆け上がっていく。

 

 墨絵のような世界に慣れた目には、ムラサキシキブやマムシグサの

実の色はとても新鮮に映る。

 

 

 眼前には晴れ渡った日には決してみられない風景が広がっている。

 

 

 おわら愛鳥館の観察小屋の中で静かに夕暮れを待つ。霧は

晴れ上がったり、山の斜面を滝のように流れ落ちたりして変幻自在だ

 

 

 時刻は4時を回り。辺りには闇の気配が濃く漂ってきた。

 

 時折、悲しげな声をあげながら白鳥の群れが湖面に舞い落ちる。その後暫くは

互いの存在を確かめるかのように切なげに鳴きかわす。

  白鳥の鳴き声に見送られながら、日が落ちてすっかり闇に溶け込んだ下池を後にした。

 

 この辺で。

 


伊豆沼の朝

2018-12-12 09:08:22 | 探鳥

 

<前回からの続き> 宿に泊まった翌朝、起きたのは6時少し前。

窓を開けると雨の音がした。暫く布団の中でぐずぐずして6時半やっと沼に出かけた。

 歩いているうちに雨は止んできた。

 

 昨日見たハクセキレイだろうか、同じ蓮の枯れた茎の上にいる。

 

 宮城北部のこの時分の日の出は6時半ごろだから、せめて6時には宿を出なければ

いけなかった。塒立ちはとうに始まっていたようだ。

 

 それでもまだ次から次へと飛び立っていく。

 

 一頻り大きな羽ばたきの音が聞こえてきた。

 

 

 飛び立つときの大きな群れは、鳴きかわしながら小さな群れになって

思い思い餌場の方へと飛んでいく。塒立ちの栗原市公式チャンネルのサイトはここ

 

 湖面に残されたのは白鳥とカモたち

 

 ハジロカイツブリの番

 

 カワアイサ

 

 

 

 そしてカワウたち

 

 厚かった雲の切れ間から日が差してきた。オオハクチョウの家族がゆっくりと泳いでいる。

 

 遠くて写真ではわかりにくいが、ミコアイサの群れだ。

 

 沼のほとりの樹の枝にはトビが一羽。

 

 

 

 怪しげな色をした湖面が次から次へと色を変えていく。。

 

 この辺で。


伊豆沼の夕景

2018-12-10 07:47:35 | 探鳥

 

 

 宮城県北部にある伊豆沼は日本最大のマガンの越冬地だ。

11月下旬の調査では伊豆沼へ飛来したマガンの数68931羽とあった。

 少し専門的になるが、環境省の渡り鳥飛来数の調査はここにある。

 

 さて電車を乗り継いで伊豆沼のある新田駅に着いたのは午後3時10分。

今夜泊まる宿に荷物を預けて、さっそく沼に向かう。

 幸い天気はいい。沼は踏切を渡った先にある。

 

 白い建物が伊豆沼農産の管理する観測所

 

 蓮の上にとまったハクセキレイが寒そうだ。

 

 観測所の前の池には餌を待つ白鳥やカモたち。

オオハクチョウやオナガガモが多い。近くの電線の上には

スズメもおこぼれにあずかろうと待ち構えている。

 

 建物の奥には広大な伊豆沼が広がる。面積は369ha 、すぐ近くにある内沼と合わせた

保護区の総面積は1450haもある。

 3時を回ったばかりのこの時間帯、まだ大半のマガンたちは餌場にいる。

沼にいるのはオオハクチョウたちとカモ類がほとんどだ。

 閑散とした伊豆沼。

 

 杭にとまっているのはカワウ。対岸に西日を浴びている建物は

宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターの建物だ。

 

 既に戻ってきている気の早いマガンの群れもいる。

 

 オオハクチョウのカップルが広々とした水面を仲睦まじげに

泳ぎ回っている。

 

 段々と日差しが弱く、暗くなってきた。

 

 マガンたちの鳴きかわす声が大きくなってきた。見上げると空は塒入りの

マガンで埋め尽くされようとしている。

 動画ファイルを貼り付けようとしたら、ブログの形式が変わったのか中々できない。

日本の音風景100選にも選ばれている音風景はユーチューブでもたくさんあるので、

そちらをどうぞ、 一例はこれ

 

 

 v字型のきれいな編隊

 

 絶えることがなく次から次へと沼を目指してやってくる。

 

 方角を少し変えただけで空の色合いが移り変わっていくのが面白い。

 

 

 沼の上空まで来ると編隊は急に乱れ、マガンたちは錐揉み状に

水面に落下していく。

 

 いつの間にか空も湖面もマガンの群れで覆いつくされていた。

 

 

 風が止み、野火の煙が緩やかに湖面の方へ流れていった。

 

 

 

 塒入りが一頻り終わると先ほどまでの喧騒が、幻だったかのように

周囲は静けさを取り戻す。

 

 

 

 

 陽が落ちた。時折立てる、鳥たちの鳴きかわす声に暫く聞き入った。

夜も暮れていき、夜気がすっかり冷たくなった。

 そろそろ宿に帰ることにしよう

 

 この辺で。


久しぶりに谷津干潟へ

2018-10-22 06:54:05 | 探鳥

 先日テレビを見ていたら、極小の釣り具でタナゴを50年間釣って来たという

ご老人がこう話していた。この釣りをしていると、時間をすっかり忘れてしま

うんです。それが何にも代えられず楽しいんですと……。

 

  そうか多くを求めるのではなく一つのことに執着することが大切なのだ。

 まだ見ぬ土地を探し求めうろつくのではなく、また今まで経験したことのない

事を一度はしたいものだとあくせくと死ぬまで追い続ける…… そんな事には

意味がないのだと。

 

 最近、変化を求めるのではなく決まり切ったルーティンを深めていくことに、

人生の意義はあるのだと思えるようになってきた。 さだまさしの歌に

人生の贈り物」というのがあるが幸せは遠くに追い求めるのもではなく、

足元にあることに気づくことなのだ。

 他に望むものは何もない そう他に望むものは何もない。

 

 谷津干潟は東京湾の最奥に残された干潟で、1993年にラムサール条約

指定された。シギチの越冬地、中継地として名高い。

 谷津バラ園の傍らを通り抜けると干潟が見えてくる。

 

 対岸に見えるのが谷津干潟自然観察センター

 

 看板がある。上の黄緑色の部分が大体現在の場所

 

 足指が黄色いのでこれはコサギ

 

 

 ダイサギとアオサギ

 

 うん?これはうれしい。セイタカシギのようだ。

 

 群れは5羽だが、警戒心が強いのか、交代で目を開けて

周囲を警戒している。

 

 

 網の上にはカワウとアオサギ

 

 羽を乾かしているカワウ

 

 

 日本で一番大きなサギ、アオサギ

 

 

 

 

 カモメに似ているが、くちばしの先端が赤いのでウミネコのようだ

 

 

 もう少しシギやチドリが見られると期待してきたのだが、見られるのはお馴染みの

鳥さんたちだけ。飛んでいる姿でも撮ってみよう。

        

 

 

 

 

 

 

 ちょっとワイドな画面を4つ

 

 

 

 

 

  対岸まで渡って観察センターに寄ってみた。

センターの中からはこんな風に干潟が見える。

         

 

 足元にはアカミミガメ

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

 

 茜さす干潟

 

 

 この辺で。

 


さいたま市の探鳥地

2018-10-18 06:05:52 | 探鳥

 

 修理に出していた300mmの望遠レンズがやっと手元に戻ってきた。修理代高かった!

まだ冬鳥の探鳥シーズンには早いのだが、どうしても使いたくてまだ行ったことのなかった

浦和くらしの博物館民家園を訪ねた。

 民家園の駐車場に車を止めて芝川に沿って調節池に向かう。周囲はすっかり秋だ。

 

 芝川第一調節池は池の面積90haにもなり、芝川の氾濫を防ぐための

水量調節池として計画されたものらしい。

 

 周囲には歩道があり、一周40分ほどで歩くことができる。

 

 

  秋の渡り途中のシギチや気の早い冬鳥たちが来ていればと思い、

やって来たのだが、会えたのはダイサギ、コサギ、アオサギの3兄弟と

カワウ、オオバン、カルガモ、カイツブリなどのお馴染みのメンバーだけだった。

 

  それにしても広い。初めてきたのでこんなに広いとは思っていなかった。双眼鏡でみても

 細かい鳥の判別は難しいほどの遠さだ。

 

 釣りは出来るらしくあちらこちらに釣り人の姿が見える。

 

 三脚と長い望遠レンズを持った一団が数か所にいて、どうやら猛禽類を狙って

いるらしいが、皆さん一様に今日は特に鳥が少ないとこぼしていた。

 

 ウラギンシジミが目の前に道路の上にとまってくれた。

 

 一周を終えたが収穫がないので近くの荒川沿いの大久保B地区に移動。

荒川総合運動公園に隣接するこの一帯も知られた探鳥地。

 

 サギ類はいるのだが、冬鳥たちはまだのようだ。足元をキジが数羽飛び立っていったが

すぐに草むらに入ってしまった。

 しょうがないので、セイタカアワダチソウに集まっていた虫たちを撮ることにした。

ベニシジミ

 

 正面から

 

 ヤマトシジミ

 

 細かい識別は自信がないがこれはキタテハだろう

 

 コセンダングサにきていたキタテハ

 

 イチモンジチョウ

 

 

 ヒメウラナミジャノメ

 

 

 オオチャバネセセリもいた

 

 秋型のキチョウ

 

 これもしっかりとした名はわからないがアブやハチの仲間も多い。

 

 

 ハナムグリ

 

 あとはバッタとトンボ

 

 

 

 冬鳥たちにはまだ早かったようだが、今年最後の虫たちにはたくさん出会えた。

外来種のセイタカアワダチソウも虫たちには格好の採餌場となっているようだ。

 この辺で。

 

 おまけに田んぼの中に季節外れの赤い花を見つけたのだが、どうやら

これも外来種の嫌われ者、ジャンボタニシの卵塊のようだ。苦手の方は

 下には移動しないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  <この下に見えるよ>

 

 では。