関東では梅雨明け宣言以降、皮肉にも曇りがちとなりおまけに雨も降ってくれた。
おかげで暑さもほんの少しだが和らぎ、何とか一息つくことが出来た。
私は自然が好きなので、その中で出会う動植物すべての名前をできるだけ知りたいと思う。
いっしょうけんめい図鑑を調べても素人なので、細かなところまでは同定できず「〇〇の仲間」と
言って終わりにしてしまうことも多い。それでも名前を知ることは、その生き物のことを
知っていくために必要なことだと思う。名前を知ることによって、初めてその生き物と自分との
付き合いが始まっていく。名前はその生き物と自分とをつなぐ絆であり、それを通じて私の中に
その生き物を取り入れ、私はその生き物の世界に入っていける。
名前はとても大事なものであり、疎かにしてはならない、そう私は思っている。。
津久井やまゆり園の事件から一年が過ぎ、やがて裁判員制度のもとで裁判が開かれる。
裁判の際、被害者名は遺族の希望によって匿名のまま行われるのだという。
寡聞にして詳細を知らない私だが、匿名(名前を隠す事)によって事件の本質
は見えなくなってしまうように思える。事件によって奪われた19人の魂と生きざまが
匿名性の闇の中に消え去ってしまうのが残念でならない。名前を奪われた被害者たちが
血の通わない無機質な19という数字に堕ちてしまわないことを願う。
雄国沼の水は雄子沢に沿って檜原湖に流れ落ちている。雄子沢を遡る一時間余りの
山歩きは人も少なく、ブナの混じる自然林を味わうにはもってこいの山道だった。
ウリノキの花が咲いていた。
まだ若いブナの木
道沿いにはヤマアジサイが並んで咲いて涼を添えてくれた。
これはヤマブドウの花だろうか
点々と路に沿って咲いているのはミヤマカラマツの繊細な花
ちょっと大石の上に腰かけて一休みしながら、上を見たらサルナシ(コクワ)の花が咲いていた。
以前奥只見の町を歩いていたとき、この実を買って帰りコクワ酒を作ったことがあった。
適度の酸味もあって、野で採れる果実酒の中では絶品の部類に入る味わいだった。
大きな葉っぱの上で休んでいるのは渓流で見かけるサナエトンボの仲間。
サナエトンボの仲間だけでも日本には27種もいるそうで、
生憎私には細かな名前までは分からない。
苔むして茸のついたブナの老木
トチバニンジンの蕾、もう少したつと花が開き、やがて真っ赤な実をつける。
ツクバネソウは好きな花の一つだ。ユキザサや、ルイヨウボタンのような緑色の花は、それだけでもう
好きなのだが、更にツクバネソウは大きな葉と小さな花のアンバランスが良く、まだ名の由来となっている
黒い実(羽子板の羽根)がついた姿も恰好が良い。
歩いているときは分からなかった花、帰ってから図鑑で何とかコナスビと
いう名に行き当たった。
湿った山林の林床でよく見かけるギンリョウソウ。漢名は銀竜草。
葉緑素を持たない腐生植物で別名ユウレイタケともいう。
時期が過ぎるとこんな風に枯れていく。
イボタの木の花にはコチャバネセセリが夢中でとりついていた。
一時間の山道を倍の二時間かけて登った。
雄国沼を示す道標がやっと見えてきた。
この辺で。