野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

今日は死ぬのにもってこいの日だ

2016-05-30 21:02:05 | 登山

 今回は最近知ったこの言葉を紹介してみよう。

これはニューメキシコ州に住むタオス・プエブロ・インディアンの古老の言葉を

アメリカのナンシー・ウッドという作家が聞き書きしたものだ。

そのあとにはこう続く

「生きているものすべてが、わたしと呼吸を合わせている

すべての声が、わたしの中で合唱している

すべての美が、わたしの目の中で休もうとしてやってきた

あらゆる悪い考えは、わたしから立ち去って行った

今日は死ぬのにもってこいの日だ 

わたしの土地は、わたしを静かに取り巻いている。

わたしの畑は、もう耕されることはない

わたしの家は、笑い声に満ちている。

子供たちは、うちに帰ってきた

そう、今日は死ぬのにもってこいの日だ」

 

ナンシー・ウッドの書いたこの本は1974年にアメリカで出版され以来、

多くの人に読み継がれ、結婚式や追悼式、成人式などで朗読されてきたという。

日本では1995年にメルクマール社からそのまま「今日は死ぬのにもってこいの日だ」

という題名で出版された。僅か2か月で6刷も出されているので結構売れたのだろうが、

わたしはつい最近まで知らなかった。なおこの本は現在でもアマゾン等で求めることができる。

 

 死は本来忌むべきものではない、輪廻の流れの中でのささやかな祝祭のようなものだ。

死は厭うべきものではなくてある意味生の完成であり、新たな生の誕生でもある。

わたしたちの体を作っている物質が、かつては他の生き物の体であったように、

我々は死によって他の生き物の体の一部となって生まれ変わっていくのだ。

 こういったところが本を読んでの私の感想だ。

 

 <以下は付けたし>

奥多摩の御前山に登ってきた。ここはカタクリの山として知られているが、

カタクリの終わった5月下旬は静かな登山を楽しむことができる。

ヤマツツジが緑一色の世界に鮮やかに映えている。

 

足元には珍しいハンショウヅルの花

 

コゴメウツギもきれいに咲きだした

 

白い花穂をつけたフタリシズカ

 

葉っぱの裏にナナフシの仲間を見つけた

 

山道をふさぐ倒木

 

標高が上がってくるとヤマツツジはまだ蕾のままだ

 

これはカマツカの花。枝が強靭なことから牛殺しともいわれる。

 

日当たりのよいところで見つけたフデリンドウ

 

 チゴユリ

 

 

時折、オオルリが近づいてきて誘いかけるように鳴く

 

頂上が近くなり、ユキザサの花が目立つようになってきた

 

 

大きな葉っぱに一本だけ花茎を延ばし、その先に数輪の星形の白い花を咲かす。

 

 

辺りにエゾハルゼミの声が重なり合うように聞こえている。これはその抜け殻だろうか

 

 いつの間に頂上に立っていた。

 静かな山行だった。

この辺で。

 

 


深大寺のバラ苑

2016-05-28 17:20:32 | 植物園

 

 雨の中、調布深大寺のバラ苑(正しくは神代植物公園のバラ苑)を訪ねた。

 

ドイツのラビーニアは四季咲きのつるバラ

 

 同じくドイツのブルーバユー

 

つるゴールドバーニー、フランス

 

 これもフランスのバラ。ピエール・ド・ロンサール

 

 ピエール・ド・ロンサールは2006年にエリナとともに殿堂入りしたバラだ。

 

 アメリカのパレード

 

ベルギーのパスカリは1991年に殿堂入り

 

 アイルランドのバラ、エメラルドアイルは緑色に縁どられた変わったバラ

 

 

 イギリスの殿堂入りしたバラの一つ、エリナ

 

 ドイツのポンポネッラ。

 

 アメリカのダブルデライト。二重の喜びといった意味だろうか。これも殿堂入りのバラの一つ。

 

 ピース(仏)は最初に殿堂入りしたバラ

 

 

 日本の芳純は京成バラ苑でミスターローズとも言われた鈴木省三氏の作出したバラ。

 

 同じ鈴木氏の作ったふれ太鼓は色変わりしていくバラ。

黄色からオレンジ、濃い赤色へと変わっていく。

 

 

 ピンクパンサーはフランスのバラ

 

マチルダはフランスメイアン社で作られたバラ。

 

フランスのカリーナ

 

アリゾナは名前からわかるようにアメリカで作られたバラ

 

 フランスのデスティニー(運命)

 

 緑光は京成バラの一つ。このような緑色がかったバラは珍しい。

 

フランスのインターフローラ

 

 クイーンエリザベスはイギリスではなくアメリカのバラ

 

 

  

 これも2008年に殿堂入りしたグラハムトーマス(英)

 

 アメリカズジュニアミス

 

 バニラパヒューム(米)

 

 

 最後に開発されてまだ名前のついていないバラをいくつか

 

 

 

 

 

 

 今日はこの辺で。

 


道東紀行8

2016-05-26 06:30:17 | 旅行

 4日目の昼はネイチャーセンターの係員のお勧めに従って

根室市民の森ハイドを訪ねたのだが、ここはただの市民公園で

北海道の大自然に触れたい私にとっては期待外れだった。

 もう一つ紹介されたのがフレシマ湿原。

 

太平洋に隣接している。

 

 湿原遊歩道入り口には放牧された馬が占拠していてとても入れない。

 

 

低木も傾くほどの風の強さ、冷たさ。

 

大きな沼が見える。

 

遠くにジープがあって、釣り人がふたりいた。

 結局余りの風の寒さと、遊歩道の別の入り口が見つからないのとで、断念。

 

 午後いっぱいかけて納沙布岬付近の観光に行くことにした。

学習遠足に来ていた小学生の一団。時間が押しているのか、駆け足で見学していた。

 

4島(しま)の架け橋のオブジェと祈りの火

 

 

 

仲良く並んでモデルになってくれたかもめ

 

 思ったより間近に国後島の爺爺(ちゃちゃ)岳らしき山が見える。

  この日は風蓮湖の近くの民宿へ。同宿したのはオランダ人夫婦だけだった。

 

 翌日、道東滞在最終日。早起きして近くの春国岱へ

シルエットの鳥はオジロワシ

 

 

  反対側に回り込んだ。昨日見かけたのと同じオジロワシだろうか。

 

 あれほど強かった風も今朝は静かにおさまりかえっている。

 

 足を踏み入れることのできなかった春国岱の森。

地元の人に聞くと年々森はやせ細っているのだとか。

 

 石の上にキアシシギがいる。

 

 水際にはヒドリガモの番とミヤコドリ

 

いけない、思わず近づいて飛ばしてしまった。

 

 キョウジョウシギも餌を探してうろうろしている。

 

 孤独なウミネコ

 メダイチドリのようだ

 

 目の前には広大な春国岱の湿原と森が広がる。

 

 今日は昼までに釧路に戻らなければならない。再び訪れることは

あるのだろうか。 思いが残る春国岱を後にした。

 

 途中寄った霧多布湿原の琵琶瀬展望台からの風景

 

 山並みにはまだ春は先のようだ。

 

 飛行機までの時間が3時間ばかりあったので、帰る前にもう一度

釧路湿原を見ようと道道1060号線から243号線に抜ける道に入った。

 小高い丘に登って湿原を眺める。

 

 日当たりのよい丘にはフデリンドウが咲いている。

 

 センボンヤリとミツバツチグリ、釧路湿原にも遅かった春が確かにやってきたようだ。

 

 

 

 

 

 

 豊かな水量でゆったりと流れる釧路川。

 できればもう一度訪れ、道東の大自然に包まれたいものだ。

この辺で。

 


道東紀行7

2016-05-23 19:12:21 | 旅行

 今回は風蓮湖・春国岱の風景と水鳥たちが中心。

根室市春国岱原生野鳥公園に立つネイチャーセンター。

 

5m位まで近寄らせてくれたオジロワシ

 媚びない、いい面構えをしている。

 

木道は高潮のため、一部が通れないので通行禁止にされていた。

5つのコースのうち通れるのは海側の砂浜を行くヒバリコースとハマナスコース、

そしてキタキツネコースの一部のみ。

 

 小型のシギであるトウネン

 

カモ類はヒドリガモが多いが、カルガモやオナガガモ、コガモなども少数いる。

 

防波ブロックにはキョウジョウシギがいた

 

水際を飛ぶのはミヤコドリの群れのようだ。

 

途中から木道が通れるようになっていた。

 

 

 荒涼とした景色が広がる。

 

 身をそぎ落とした魚の骨のような倒木が横たわっている。

 

行けるのはここまで、春国岱の森にはどうも入れそうにない。

楽しみにしていたのだが、残念だ。

 

 

対岸の森にはクマゲラもいるという。

 

 木のてっぺんにいるのはオジロワシだろうか、その下の葦原にはエゾシカも数頭いる。

 

木道では渡れないので砂丘のような海岸線を1kmばかり先に行った。が、

どこまで行っても対岸の森へは渡れそうもない。

 

 ヒドリガモの群れが殆どだが、よく見るとカワアイサやハシビロガモなども見られる。

 

飛んでいるのはハマシギの群れか

 

 ここで一旦諦めて、納沙布岬方面を観光することにした。今日の宿は

ここ風蓮湖畔の民宿なので、夕方再び春国岱に戻ってきた。

雲は消えて晴れ間が覗いてはいるが、風がとても強く砂を巻き上げている。

 

 これは嘴も足も黄色いのでウミネコ

 

胸元の橙色が目印のメダイチドリ

 

 あわてて堤防から飛び立ったのはスズガモのようだ。

 

沖合に浮かぶ仲間たちのもとへと飛んで行った。

 

 船の上に面白い形の雲が浮かんでた。風が強いので、見る見るうちに形を変えていく。

 

 ウミアイサの家族

 

 強風に吹かれながらも木道の橋を渡った。

 

 5,6頭のエゾシカの群れが草を食んでいる。。

 

潮が満ちて小さな島となった岩礁にはミヤコドリの群れが取り残されている。

 

 まだ陽が落ちないのにもう眠り始めているカモもいる。

風が猛烈に吹いている。

 

 

 

この時間帯、気温は5度前後で風も強いので

頬や手がかじかむほどだ。

 

 原生野鳥園の入り口まで戻ってきた。

 

風蓮湖に架かる木道の橋

 

対岸の森も夕日に染まっていく

 

 

 この日はあまりにも寒いので、民宿ではストーブを焚いてくれた。

 この辺で。


道東紀行6

2016-05-22 20:01:34 | 旅行

 道東滞在4日目、朝5時過ぎに釧路のホテルを出て、国道44号線で

根室方面に向かう。春国岱(しゅんくにたい)へ着いたのは7時半ごろ。

 

 今まで遠くでしか見られなかった野生のタンチョウヅルが

すぐ目の前(といってもまだ100m位の距離)にいる。

 

 

 驚かさないように回りながら近くに寄っていく。

 

まだまだ遠い。ゆっくりと近づく。

 

飛ばないようにと、念じながら静かに近づいていく。

 

 やっといい距離まで来た。傍にいるのはヒドリガモ、

比べるとタンチョウの大きさがわかる。

 

 

向きを変えてさらにそっと近づく。頭の朱色が確認できた。「丹頂」の言葉の意味は

「頂」頭のてっぺんが「丹」赤いということ。ただ赤いのは羽毛の色ではなく

皮膚の色だということを知っていただろうか。まぁ人間でいうとハゲということ……。

 

 そんなことを思っていたら睨まれた。(というより、近づきすぎて警戒されたのだが)

 

さてじっくり写真をと思っていたら、さっと飛ばれてしまった。

 

 

 飛んでいる姿を見て、風切り羽の先も黒く縁どられているのを知った。

 

 

気を取り直して風蓮湖の別当賀川河口付近へ移動。

嬉しいことにここでも野生のタンチョウヅルをに出会えた。

 

しかもよく見ると番ではないか。回り込んで近くまで寄ってみる。

 

お願いだから逃げないでねと心に念じながら、何とか今までで一番接近できた。

 以下は図鑑で知ったこと。

 

タンチョウは雌雄の区別が全くつかない。ただ繁殖期に雄が一声(コーッ)鳴くのに対し

雌は二声(カッカッ)と鳴くので知れる。

 

 

平均体長1,4m、翼長2,4mもあり、日本でも最大級の鳥だ。うちの近くで見ることができる

ダイサギやアオサギでも90cmほどだから、タンチョウがいかに大きいかがわかる。

 

タンチョウの夫婦は生涯連れ添い、片方が死んでもその死骸が見えている間は

傍から離れないという。

 

 

子育ては雌雄交替で行い、雄も卵を温めるという。何とも模範的なジェンダーフリーな夫婦なのだ。

 

少し離れて餌をとっていても、暫らくするとすぐに近くに寄っていく仲の良さ、うーん羨ましい。

 

 それにしても見ているだけで、お互いに相手を気遣っている様子が偲ばれる。

人間の夫婦もこうありたいものだが……。

 

 わが身に思いが至ったところで、

 この辺で。