野に還る

ペンタックスをザックに
野山に花や鳥、虫たちを追う。
身を土に返すまでのほんの一時
さあ野遊びの時間の始まりだ。

柳沢峠から

2017-05-29 21:00:40 | トレッキング

 朝のニュースでは「共謀罪」が衆院を通過したといっていた。その言葉が、私の耳の中で

強暴、凶暴、狂暴、今日亡(これはちょっと無理があるか)と声音を変えながら木霊していく。

 それにしてもだ、かの舌足らずな物言いの首相がどうして50%近い支持率を

保ち続けていられるのか、私には全く訳がわからない。

しかも20代から30代前半にかけての若い世代の支持率が高いのだという。

 自らを虐げている権力者をなぜ若者たちは支持するのだろうか。

 全く私にはわからない。

 

 さて、まだ5月なのにあまりにも暑いので高原を歩きたくなり、

大菩薩ラインを登って柳沢峠まで行ってきた。

 

 標高1480mの柳沢峠一帯では水源林としてブナ林が保護されている。

 

 駐車場からは暫く緩やかな登りが続く。

 

歩き出してすぐに、辺りは野鳥たちの鳴き声で満ちる。

 

 もうすぐ5月が終わるこの時期でもまだスミレが見られる。これはフモトスミレ

 

 30分歩いて展望台へ

 

ここから見られる山々は奥多摩から奥秩父にかけての山群。右端に雲取山、

左端には甲武信岳。中央やや左には多摩川の水源である笠取山が見える。

 

途中六本木峠を抜けると原生林の風景がたち現れる。苔むした岩の間を縫って行く。

 

 この時期に見られる花は白い小さな花が多い。

ミツバオウレン

 

 ヒメイチゲ

 

ワチガイソウ

 

 コミヤカタバミ

  いずれもある程度標高のある山地に、雪解け後真っ先に咲く。

 

 ミソサザイの囀りが聞こえてきた。その姿をやっと見つけることができた。

 

 

 近くにはゴジュウカラの姿も一瞬見えた。

 

 

 オオカメノキ(ムシカリ)の花を見つけた。

 

その向こうではヒガラがひっきりなしに枝の間を飛び回っている。

 

 

地上に降り立った一羽は羽を口にくわえた。

 

口にくわえているのは巣材。

 

 やがて生まれる雛たちのための巣作りのようだ。

 

  低山ではとっくに枯れてしまったミツバツツジがやっと咲き出していた。

 

 少しずつ標高をあげ2時間かけて丸川峠付近までやってきた。

 見えてきたのは丸川荘。

 

 ここのご主人とはコーヒーを頂いたときに一度だけ話したことがあった。言葉少ない気難しげな

昔気質の山男のような人だった。

 

 木彫りの地蔵人形はここの主人の生業の一つでもあるようだ。

 

この辺をぶらつく。

草の間から顔を出したばかりのフデリンドウ

 

 サクラスミレ

 

 ツクバキンモンソウ

 

 まだ雪が解けたばかり、花はこれから種類を増やしていくのだろう。

稜線の間に微かに富士が望めた。

 

 この先大菩薩嶺までは一時間と少しの登れる。が、今日はここまで。帰りは野鳥の囀りを耳に

ゆっくりと深山の霊気を浴びながら下っていくことにしよう。

 この辺で。


道央の春を行く ⑥

2017-05-24 20:34:24 | 旅行

 札幌滞在4日目の朝は、前日とは打って変わって気持ちよく晴れた。昼過ぎの

便までは5時間近くもあるので、ホテルから大通りを歩いて散歩することにした。

大通り西のはずれにある札幌市資料館は、1926年に裁判所として建てられたもの。

 

 まだ朝が早いせいか人通りは少ない

 

とても町のど真ん中とは思えない、緑の豊かさ。

 

 有島武郎文学碑があった。

 

 大通り公園はそこかしこで様々な工夫が凝らされ、歩いていて飽きない。

 

 

  公園の真ん中の大型トラックは、次なるイベント(ライラック祭り)の準備のための

机や椅子を下ろしていた。

 

 エゾヤマザクラが満開だ。

 

中心に向かうにつれ、人通りが少しずつ増えてきた。

 

 

 4日前来たときには蕾だったライラックも咲きだした。

 

 こちらの方ではすでに満開状態で、微かな甘い香りをまき散らしている。

 

 開拓記念碑。明治34年札幌に初めてできた公園ー偕楽園から移設したものらしい。

 

昭和60年完成した野外ステージ

 

  テレビ塔をバックに記念写真を一枚。

 

 そのテレビ塔が見えてきた。

 

 昭和14年完成したつちょっとアナクロな聖恩碑

 

 

西3丁目の噴水

 

 旧北海道庁前の通り

 

旧北海道庁の建物、観光客が少しずつ集まり始めている。

 

 咲き誇るエゾヤマザクラ

 

 白と紫のライラック

 

 まだ時間に余裕があったので、裏手の北大植物園に再び寄った。

 

 巨木の下を歩いていると都会の真ん中にいるのを忘れてしまう。

 

 

 アカゲラが鳴きながら飛び去って行った。

 

 東屋で休んでいると、様々な野鳥の声が聞こえる。

  

 中国の若い女性4人連れに頼まれ写真を撮ってあげた。

 

 

 本州では山地でしか見られないキビタキもいる

 

 

 これはハクセキレイ

 

 ムラサキセイヨウブナの大木

 

 

 

 取り立てて何もすることなく、一時間余りをぼっと過ごした。

何もないけど、いや何もないからこその満ち足りた時間だった。

どうやらここでは内地では味わえない、特別な時間が流れているようだった。

 この辺で。

 


道央の春を行く ⑤

2017-05-23 20:41:01 | 旅行

 三日目は朝から天気が悪かった。風邪をこじらせたのか余り

体調も良くなかったので、近郊の野幌森林公園を訪ねることにした。

 ここは新札幌駅の近く(バスで13分)にある公園だが、札幌面積2000ha超ととにかく広い公園だ。

 

 着いたのは記念塔口。百年記念塔が出迎えてくれた。

 

 開拓100年を記念して建てられたこの塔の高さはちょうど100m、以前は展望室があり

中に入れたようだが、今は老朽化し立ち入り禁止とされている。

 窓のあるあたりが8階の展望室であったところ。

 

 今回は探鳥が目的なので大沢口へ

 

 さっそくアカゲラに遭遇。

 

 遊歩道わきの湿地帯にはリュウキンカ

 

 オオバナノエンレイソウ

 

 コゲラもいる

 

本州ではおなじみのメジロ

 

 大沢口にある自然ふれあい交流館。ここでは私的には全く情報は得られなかった。

 

 

シラネアオイ

 

 先ほどからツツドリの「ポンポン ポンポン」という声がすぐ近くで聞こえている。

暫らく姿を探すも発見できず。

 

 

雨の中カタツムリが元気に歩き回っていた。

 

 良い香りがすると思ったら桂の大木

 

道端にはヒトリシズカ

 

 

 またアカゲラに出会った

 

これは待ち望んだのシマエナガと思ったら、本州でもおなじみのエナガだった。

 

 しかもすぐ逃げられた。

 

オオカメノキ(ムシカリ)

 

 

 キツツキ類の開けた穴。四角いのはクマゲラというから、これがクマゲラの跡だろうか

 

ニシキゴロモ

 

エゾタチツボスミレ

 

 

湿地帯にはミズバショウの群落

 

 

 ミズナラの木に寄り添って咲いているこの花は、ツルシキミでいいのだろうか

 

 ネコヤナギの仲間?

 

エンレイソウの群落

 

 遊歩道をぐるっと回って15km、とても都市郊外の公園とは思えない自然と大きな

スケールを持った公園だった。ただ、自転車も通ることのできる遊歩道であるのは

私的にはどうも頂けなかった。 せっかく見つけた鳥が、自転車によって飛び去ってしまうのは

何とも残念だった。

 それにしても、クマゲラはまだしも、キツネやエゾリスぐらいには出会いたかった……ナァ。

 

 この辺で。


道央の春を行く ④

2017-05-21 10:57:08 | 旅行

  

 

 鵡川に寄った後は北大苫小牧演習林を訪ねる予定だったのだが、

ナビで迷ってしまった。結局国道235号線沿いの「つた森山林」という場所に寄った。

 

 初めは入り口だけで変えるつもりだったが、静かな雰囲気が気に入り少し歩いてみることに決めた。

 

さっそく出迎えてくれたのがオオルリ。きれいな声で囀っては

  反応を確かめるように暫らく小首を傾げて周囲をうかがっている。

 

 運がいいことに地上近くの見通しの良い枝に暫く止まって居てくれた。

 

 後姿も決まっている。

 

 湿地帯にはミズバショウが咲きだしている。国道すぐわきの平地なのに

 自生のミズバショウが見られるのはさすが北海道ならではだ。

 

 咲きだしたばかりのエゾヤマザクラ(でいいのだろうか)

 

 一周一時間ほどの散策路を歩くことにした。

 足元にはヒナスミレ。これも内地では平地で見ることはできないスミレだ。

 

 フッキソウ

 

 これから咲くユキザサの蕾

 

 

と、エゾシカが道を横切った。

 

こちらを不思議そうに見ている。

 

 コース途中にあった廃屋寸前の作業小屋。

 

 この辺りの雑木林はずっと居たくなるほど、たくさんの野鳥たちの囀りで満ち溢れていた。

双眼鏡で姿を見つけるのに疲れ、草原の上に寝転がって暫くの間聞き入った。

 オオルリ、キビタキ、、クロツグミ、コガラ、センダイムシクイ、ツツドリ、ホトトギスの声も、

時折コガラやアカゲラのドラミング、目を瞑っていると360度世界は

 野鳥たちの鳴き交わす声で満たされていた。

 

 一際さえずりが大きく聞こえたので目を開けると、すぐ近くの枝にキビタキがいた。

 

 気づいたこちらに、向こうも気づいたようだ。

 

 頻りに上空を気にしているのは、先ほど見かけた猛禽類 (尻尾の細長いオオタカほどの大きさの鳥が

オオルリを追いかけていた)を警戒しているのだろうか。

 

 そのほか姿を見せてくれたのはゴジュウカラ、コサメビタキ。

 

 

 あとは声だけで姿を見ることはできなかった。

 

 思ったより長い時間を過ごしてしまった。そろそろ日が落ちようとしている。

 

 入り口近くまで戻ってきた。傾きかけた日差しを浴び桜の木が輝いていた。

 

 この辺で。


道央の春を行く③

2017-05-20 19:43:34 | 旅行

 昼前には苫小牧を抜け、日高方面に向かった。目的地は鵡川河口。

道の駅「むかわ四季の館」に車を止めて、浦河国道を越え河口に向かう。

 歩いて5分もしないうちに、目の前にのびのびとした北海道らしい風景が広がる。

 

  頻りにカラスが飛び交っている

 

 この先が結構長かった、地図の上ではすぐ海に着けそうなのだが…

 

 広い畑に無造作に大型の農機具が放置されている。この辺は鵡川牧場の敷地内

 

 やっと鵡川河口の看板

 

 海に見えるが、ここはまだ河口への途中。川岸にはコガモが一羽所在無げだ。

 

 左に大きく折れ曲がった先が本当の河口。アオサギが見える。

 

 ハシビロガモの番

 

 そしてカラスも

 

更に砂利道を歩くこと十数分、やっと河口と海が見えてきた。

 

一面の葭原の脇を過ぎて

 

 

 鵡川河口には人工干潟の看板。かっては2.5kmにわたってあった干潟もすっかりなくなって

今は再生の途中。

 

 先客が一人だけいた。葭原の中に腰を下ろして観察。背中の色を見るとムナグロのようだ。

 

少し離れたところにはハマシギがいる。

 

 それしてもさびしい。この作られた干潟にはカモ、シギチを含めても20数羽ほどしか見られない。

 

 砂州ではカモメたちが飛び交っている。

 

 

 

 

 

 

 暫く粘ったのだが、風が強く吹き付けるようになってきたのでここまで。

 

 帰りの空の雲が今まで見たことのない、変った雲だった。

 この辺で。