二泊三日の予定で裏磐梯を訪ねてきた。新宿)から猪苗代まではJR高速バス、
これが往復7000円と安い。高速代だけでも片道7000円弱かかることを考えると破格の値段だ。
ただ、そこから先のバス代が高い。30分ぐらいしか乗らないのに800円もかかってしまう。
まあそれも地域振興へのささやかな寄与と考えると納得はできる。
10時10分新宿新南口発→猪苗代駅14時24分到着、15時路線バスに乗り換えて
裏磐梯曾原(そはら)湖前には15時40分頃に着いた。
バスを降りるとそこにはもう紅葉たけなわの世界が広がっている。
落ちかかる陽を浴びて世界が輝き始める。僅か一時間ほどではあるが、
大自然の織り成すショーの始まりだ。
湖畔のオヤマリンドウ
一つ残された橙色のコマユミの実が儚げだ。
林の中のツタウルシはすでに盛りを過ぎたようだ。
鏡面のように静まり返った水面。
やがて秋の陽は紅葉した山の斜面に、もう一段茜の色を重ねていく
重ねられた色は炎色反応を起こしたように煌めき、錦の色を放つ。
時は止まったままだ。
そうとは知れないほどの微かな風が水面を揺らし、漣を立て緩やかに時の歯車を回す。
水面には山並みの紅葉が、本物と紛うほど精細に映し込まれている。
見入っていると二つの像の硲に 異世界への扉が開かれていく。
燃え盛る紅葉に気を取られ、水面に浮かぶ水鳥には気が付かなかった。
番の白鳥は今年渡ってきたものなのだろうか
小一時間は過ぎただろうか。寒さを覚え始めた時、雲間から一瞬秋陽が顔をのぞかせた。
輝きはほんの束の間、やがて少しずつ光と色とそして熱を失っていく
そして闇の中にゆっくりと溶けていく。
まだ明るさを残した空に磐梯山が浮かび上る。
冷たい風に肩をすぼませながら人気のない道を宿まで戻った。
この日は宿で宇宙の起源と終焉についての本を読んで寝た。