いつの時代からなのか、高血圧の薬を一度飲んでしまうと二度とやめられないという戯言(たわごと)が世に出回ってしまっている。先日も半年前に高血圧が気になりクリニックを受診されたYさんが、「 先生、暫くは血圧は安定していたのですが2か月ほど前から150mmHg以上がちょこちょこ出るようになってきました。治療は必要でしょうか?」「血圧手帳を見せてください。」「 確かに140mmHg未満の日は少なく、140~150mmHg以上の日が多くなってきましたね。そろそろ降圧剤の服用が必要かもしれませんね。」「 でも先生、血圧の薬は一度飲んだら一生やめられないのでしょ!?」「・・・?? 」 血圧の変動は、早い人で40歳前後、平均的には60~65歳あたりで高血圧と言われる値(140/90)を超えてくることが多いですね。中には80歳になっても全く血圧が上昇しない人もおられますがこれはごく一部の人達です。生活習慣がどうのこうのと立派な先生方は言われますが、私は加齢現象のひとつと考えています。顔に皺が増えるように、髪の毛の量が減るように血圧は加齢とともに上昇するものです。一部の人を除いて、いつか 血圧が 140/90 を超える時が来て、当然年々歳は増える訳ですから血圧はさらに上昇していくわけで、血圧の薬は必要となり、年々、やめれるどころか増えていくことになります。高い血圧を無症状だからと放置しておくと、脳や心臓をはじめ全身の動脈の病的変化(動脈の狭窄や閉塞、変形、瘤形成など)がおこり、7~10年後あたりに突然救急車の世話になって最早元の体には戻れない状態になってしまう危険性が高いことを覚えておかれるべきでしょう。