診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

怪しげな宣伝 明治プロビオヨーグルトR-1 『 医師の 94.9 % が奨める?? 』

2024年11月01日 | ブログ

連日、『 医師の 94.9 % が奨める 』 なんてでかでかと数字を出して如何にも健康に良いの買って下さいみたいなテレビ CM や新聞広告。ヨーグルトブームの火は消えず、あの手この手と手法を変えて過大広告を平気で出す時代には閉口する。誰しもがこの CM を観て製品以上に『 94.9 % 』 という凄い数字に驚くことと思う。いわゆる CM のインパクトである。調べてみると、約 1,000 人ほどのヨーグルト愛好者の医師からとった Web による誘導的アンケートのようである。無料で試供品として製品を提供し、それについてのアンケート調査である。これはよくある手法である。内科 67 % (うち循環器内科は 7 % のみ)であり、内科系以外が 33 % であった。最早この時点でサンプリングの仕方に問題があることに気付いていない。このアンケートの集計のデザインミスである。本来であれば愛好者 1,000 人を対象にするのでなく、非愛好者を含む 1,000 人(できれば 500 人 vs 500 人)の医師でアンケートを取るべきである。スタートの時点で論文として失格である。このような偏ったサンプリングの結果として『 医師の 94.9 % が奨める 』 なんてしてしまうとインチキ商法と捉えられても仕方ない。ヨーグルト非愛好者にも試供品を提供して感想を聞くべきであり、アンケート調査に参加させるべきである。当然、ヨーグルトの医学的メリットの乏しさを知る医師は多数いるはずで、全く奨めたくないというアンケートデータが多数でると思われる。百歩譲ってせいぜい、『 ヨーグルト愛好者の医師の 94.9 % が奨める 』 とするべきであって、本来なら愛好者、非愛好者両グループをまとめて医師とするべきで、そうすると『 医師の ○○%が奨める 』という見出しになり、○○%は推測ではあるが 60 ~ 80 %に大きく下がる値になるであろう。そもそも、この調査では対象者が医者である必要がないような内容である。まあ、世の中には詐欺みたいな商法が次から次へと湧いてくるものである。それを疑うことも知らず買わされてしまう人々も能天気なものである。このような表示 CM を『 景品表示法違反被疑 』というのであって、消費者庁に情報提供を行った。最も、この数字を無視して買うことには何ら非難することもなく、御自由にといったところである。


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