店に入ったとたん、目に飛び込んできたんだよ。
退屈そうにさ、唇を尖らせてカウンターに座ってたんだ。
まっ黒色の髪と、灼けた肌。
ああ、そうだな。
一目ぼれだったのかもな。
だから、声をかけたんだ。
変な女だと思ったよ。
ニコリともせずに、俺の顔をじっと見て。
妙にでかい目で、何だか吸い込まれそうな妙な気持ちになったもんさ。
『初めて会った 汚れたクラブのバックドア
あの娘の場所だけ 輝きをおびてた
そこで言ったのさ「後で会わないか」
これが二人の物語の始まり』
俺もアイツもイカレてたからな。
話は合ったよ。
それに、喋ってみると思ったより子供っぽくて素直でさ。
笑ったりすると、ほんと子供みたいでさ。
へへへ。
可愛いと、思ったよ。
『中古レコードショップ 寄り道をして
RMONESにあわせ 踊った』
夢中になったよ。
アイツに。
一緒にいるのが楽しかった。
くっつき合って街を歩いた。
寒かったけど、俺達はよく歩いたよ。
なじみの店を冷やかしたり。
地下道に座り込んで話し込んだり。
映画館で夜を明かしたりさ。
アイツはいつもくすくす笑ってて。
『24時間は ハイスピードで過ぎる
オールナイトシアター ほおばるポップコーン
ラブストーリーのヒロイン 現実離れのエンディング
外は寒かった でも二人は熱かった』
アイツの手はいつも冷たかった。
それが何か頼りなくて、俺はいつもアイツの手を握ってた。
でもさ。
初めてアイツとKISSして知ったんだ。
アイツの唇はヤケドするくらい熱かった……。
変な女だよ。アンバランスでさ。
『握り合う手と手 乗り込む地下鉄
明日への約束と KISSを』
俺たちみたいな頭の悪そうなカップル。
嫌な目で見るヤツもいたさ。
まぁ、確かに俺素行も悪かったしね。
ヤツらの目には不良のお遊びにしか見えなかったのかもな。
いや、違うな。
ヤツらは俺たちのこと虫けらみたいにしか思ってなかっただろうな。
俺たちのことなんてどうも思わなかったろうさ。
ただ、通りを汚す、邪魔なクズたちだってさ。
でも、俺達は恋をしてたんだ。
本当の恋をしてた。
『俺達は恋をしてた 本当の恋をしてた
時代の外にはじき出された
黒いレザーに抱かれた ロメオとジュリエット』
いいことばっかじゃないんだよ。
悪いことが続くこともある。
くだらないケンカをしたり、友達に騙されたり。
仕事もクビになって。
現実は厳しいぜ。
どんなに楽しくてもアイツと朝から晩までKISSしてるわけにはいかねぇんだ。
所詮俺は頭の悪いクズ野郎だから。
落ち込み荒れる俺を。
アイツは何も言わず、悲しそうな目で見てたっけ。
こんなに好きなのに、アイツにあんな悲しそうな顔させてるって思ったら。
余計に自分が腹立たしくってさ。
アイツを笑顔にしてやりたかったんだ。
アイツのあの子供みたいな笑顔が見たかった。
だから、アイツの誕生日祝ってやりたくて。
安物の指輪のひとつも買ってやりたくてさ。
気がついたらナイフを手に、深夜のドンキホーテの前にいたのさ。
所詮俺は頭の悪いクズ野郎だから。
こんなことしか思いつかなかった。
『仕事をクビに あの娘の顔も翳る
現実の風が 不安を打ちつけていく
今夜はあの娘と二人 初めてのBIRTHDAY
足 が自然と 深夜のストア襲わせる』
それで終りさ。
全ては終り。
俺はいい子になるにはタフすぎた。
でも悪党になるにはケチすぎた。
何も盗れないままパトカーのサイレンに追い回されて。
無様に警官に小突き回されて。
手首にかけられる重くて冷たい手錠。
街から俺っていうクズが一匹消えた、ただそれだけの話。
ああ。
結局、アイツの笑顔、見れなかったなぁ。
『追いかけるサイレン 捕まれる両腕
遠ざかる あの娘の姿……』
俺達は恋をしてた。
本当の恋をしてた。
本当の恋をしてた。
退屈そうにさ、唇を尖らせてカウンターに座ってたんだ。
まっ黒色の髪と、灼けた肌。
ああ、そうだな。
一目ぼれだったのかもな。
だから、声をかけたんだ。
変な女だと思ったよ。
ニコリともせずに、俺の顔をじっと見て。
妙にでかい目で、何だか吸い込まれそうな妙な気持ちになったもんさ。
『初めて会った 汚れたクラブのバックドア
あの娘の場所だけ 輝きをおびてた
そこで言ったのさ「後で会わないか」
これが二人の物語の始まり』
俺もアイツもイカレてたからな。
話は合ったよ。
それに、喋ってみると思ったより子供っぽくて素直でさ。
笑ったりすると、ほんと子供みたいでさ。
へへへ。
可愛いと、思ったよ。
『中古レコードショップ 寄り道をして
RMONESにあわせ 踊った』
夢中になったよ。
アイツに。
一緒にいるのが楽しかった。
くっつき合って街を歩いた。
寒かったけど、俺達はよく歩いたよ。
なじみの店を冷やかしたり。
地下道に座り込んで話し込んだり。
映画館で夜を明かしたりさ。
アイツはいつもくすくす笑ってて。
『24時間は ハイスピードで過ぎる
オールナイトシアター ほおばるポップコーン
ラブストーリーのヒロイン 現実離れのエンディング
外は寒かった でも二人は熱かった』
アイツの手はいつも冷たかった。
それが何か頼りなくて、俺はいつもアイツの手を握ってた。
でもさ。
初めてアイツとKISSして知ったんだ。
アイツの唇はヤケドするくらい熱かった……。
変な女だよ。アンバランスでさ。
『握り合う手と手 乗り込む地下鉄
明日への約束と KISSを』
俺たちみたいな頭の悪そうなカップル。
嫌な目で見るヤツもいたさ。
まぁ、確かに俺素行も悪かったしね。
ヤツらの目には不良のお遊びにしか見えなかったのかもな。
いや、違うな。
ヤツらは俺たちのこと虫けらみたいにしか思ってなかっただろうな。
俺たちのことなんてどうも思わなかったろうさ。
ただ、通りを汚す、邪魔なクズたちだってさ。
でも、俺達は恋をしてたんだ。
本当の恋をしてた。
『俺達は恋をしてた 本当の恋をしてた
時代の外にはじき出された
黒いレザーに抱かれた ロメオとジュリエット』
いいことばっかじゃないんだよ。
悪いことが続くこともある。
くだらないケンカをしたり、友達に騙されたり。
仕事もクビになって。
現実は厳しいぜ。
どんなに楽しくてもアイツと朝から晩までKISSしてるわけにはいかねぇんだ。
所詮俺は頭の悪いクズ野郎だから。
落ち込み荒れる俺を。
アイツは何も言わず、悲しそうな目で見てたっけ。
こんなに好きなのに、アイツにあんな悲しそうな顔させてるって思ったら。
余計に自分が腹立たしくってさ。
アイツを笑顔にしてやりたかったんだ。
アイツのあの子供みたいな笑顔が見たかった。
だから、アイツの誕生日祝ってやりたくて。
安物の指輪のひとつも買ってやりたくてさ。
気がついたらナイフを手に、深夜のドンキホーテの前にいたのさ。
所詮俺は頭の悪いクズ野郎だから。
こんなことしか思いつかなかった。
『仕事をクビに あの娘の顔も翳る
現実の風が 不安を打ちつけていく
今夜はあの娘と二人 初めてのBIRTHDAY
足 が自然と 深夜のストア襲わせる』
それで終りさ。
全ては終り。
俺はいい子になるにはタフすぎた。
でも悪党になるにはケチすぎた。
何も盗れないままパトカーのサイレンに追い回されて。
無様に警官に小突き回されて。
手首にかけられる重くて冷たい手錠。
街から俺っていうクズが一匹消えた、ただそれだけの話。
ああ。
結局、アイツの笑顔、見れなかったなぁ。
『追いかけるサイレン 捕まれる両腕
遠ざかる あの娘の姿……』
俺達は恋をしてた。
本当の恋をしてた。
本当の恋をしてた。