家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

床暖房

2005年11月16日 | 我が家のスペシャルな仕様
床暖房のやんわりとした暖かさが気に入っている。
この暖かさの質は温度計の数字ではわからない。
足元が暖かいということではホットカーペットも同様のはずだが、やはり暖かさの質は違う。もっと芯から暖めてくれる感じ。
何かの住宅本に「借金してでも入れる価値あり」と書いてあったが、納得してしまう。
とはいえ、「そもそも借金を前提にした家づくりなんだけど」とは突っ込みたくなったが・・・。

空の絵

2005年11月12日 | 我が家のスペシャルな仕様

夫婦の部屋の南側窓から見た風景。

この窓はいろいろな空の風景を切り取って見せてくれるのが面白い。
先日紹介した雪見障子と同様に横に細長く、パノラマか蒔絵のような見せ方をする。

今回はいい天気の雲の風景だが、夜に、月がこの枠内に入っているときも風情を感じる。
きれいな夕焼けも見たいのだが、残念ながら、私はその時間にいる時は少なく、まだ見ていない。

家の中の階層

2005年11月09日 | 我が家のスペシャルな仕様
我が家の2階はステップフロアになっている。
やや緩やかな14段の階段を上ったところが両親の部屋とテラスの階層で、そこから4段上って子供部屋ワークショップ夫婦の部屋の階層となっている。1階とあわせると3層、テラス上の涼み台とあわせると4層となる。
単純に床レベルの階層数と考えてみると、玄関土間と同じ高さのミシン室まであわせれば5層、そして玄関土間より低い駐輪場分を加えたら6層になる。

実は前の家も2階はステップフロアだった。
元からあった2階部分に、建て増しした部分が中2階と上2階といった感じに3層あった。
階層数という意味では、1階にも古屋と、取り壊した旧家屋に1段の差があって2層。
これで5層。さらに店舗土間部分が1層あったので、やはり全部で6層だった。

行き当たりばったりで付け足した旧家屋と、建築家が練った新家屋が同じ階層数になったのはなんとなく面白い。もっとも建築家が旧家屋を見たとき、ステップフロアになっていることを面白がっていたというようなことはあったが・・・。

ところで、ステップフロアという言い方とスキップフロアという言い方があるようだが、どちらが一般的なのだろう。どちらも和製英語のようなムードもあるが・・・。


雪見障子――雪が無くとも楽しい建具

2005年11月05日 | 我が家のスペシャルな仕様

雪見障子って誰が考えたものなのだろう。
昭和初期に考案された、というところまではネットで知ることができたが、どこで誰がということまではまだ調べきれていない。
誰が考えたのかは知らないけれど、私はその人を賞賛したい。

日本の建具は西洋の建具と違って、あいまいに空間を区切る。だから開けっ放しという状態も、なんら違和感がない。閉じていても開けていてもいいというところが優れた点であると思う。
雪見障子のすごいところは、そこからさらに細やかな区切り方をするところだ。
普通の建具は閉めたら空間が分断され、開ければ空間がつながる。雪見障子は閉めても小障子を上げれば風景をつなぐ。普通のガラス戸も風景をつなぐが、そっちは開けても閉めても風景をつなぎっぱなしだ。

雪見障子のすぐれているところは風景の切り取り方でもある。腰板と障子に挟まれた風景は横長のパノラマのようになる。それは建具に絵が描かれたようでもある。しかも四季ごとにその絵は変化する。

雪見障子、誰が考案したかは知らないが、名前からして少なくとも雪が降る地方の人間だろう。
当地方は残念ながら雪が滅多に降らない。たまに降ったときは降ったこと自体がうれしくて、犬のように庭駆け回り、家の中から雪の庭を楽しもうという発想をしなかった。ゆえにこの雪見障子越しに雪を見た経験は皆無である。

次は絶対に逃すまいと心に決めている。



どこかしら共通点があるような気がして、朝妻さんのエントリにトラックバック。


干し柿をつるす

2005年10月23日 | 我が家のスペシャルな仕様
 
柿の収穫期である。
我が家にも親戚や知人から、あるいは購入して柿が集まってきた。
父と母はいつのまにか干し柿を作ることを決め、勝手に縁側の上に柿をつるしてしまった。
こういうことは事前に相談してほしいものだが、結果オーライということで良しとする。

以前、家の建築中に「干し柿をつるしたら」というエントリを立てていた。
家の外観がごちゃごちゃするので基本的にモノをぶらさげたりはしたくないのだが、古い農家は干し柿がつるされていて絵になるということもあるので、必要なものは似合う家になったらいいなあ、というような考えを綴っていた。

今回の干し柿は中庭側につるしたため、外部の人からは見えないが、内部から見た風景はそんなに悪くない。
というか、なんとなく和める。古屋と重なって見えるからだろうか。

照明の工夫--10月21日は「あかりの日」

2005年10月21日 | 我が家のスペシャルな仕様
10月21日は「あかりの日」らしい。
1879年にトーマス・エジソンがはじめて実用的な白熱電球を発明した日だそうだ。
これにかこつけて我が家の照明について書いておくことにする。

はっきりいってウチは照明器具には金をかけてない。
そして、エジソンの恩恵をたっぷり受けているといっていいほど、白熱電球が多い。それもごく普通のやつ。
ソケットは碍子の汎用品である。被いや笠があるような照明はひとつもない。

写真のように壁付けにしてある。
壁を四角にへこませている(これもニッチ利用?)ところとあわせ、建築家の意匠である。
壁付けの利点は空間を広く見せること。吊り下げ式の照明だと、照明器具の存在感の大きさから、その位置まで天井が下がっているかのごとく感じることがある。しかし、壁付けだとそういうことはない。
我が家の場合、天井の照明もダウンライトで、空間を大きく見せる工夫がしてある。
蛍光灯も使っているが、間接照明の光源として電灯自体は隠れている。
贅沢な照明器具を使わなくとも、安っぽくならないように設計してくれていると思う。
プライスが直結するハードの豪華さではなく、配置の仕方というソフトの工夫でプライスレスな価値を生んでいる。
こういうところが、ローコストでできるだけ大きな価値を生む建築家のテクニックなのだと思う。

ただ、必ずローコストで済むかというと微妙な部分もある。
我が家の壁は漆喰塗り仕上げなのだが、左官さんがぼそっと話していた。
「こういう風に照明つけられちゃうと、光のあたり方で塗りの巧拙がはっきりでちゃうんで大変だ」
我が家には、蔵の壁もやっているというベテランの左官さんが動員された。
この様式とすることで、見積もり段階から左官の労力が意識されると、左官工事費は多めに請求される恐れがあるかも。木の壁とかなら影響はないだろうけど。
一方、手抜きできない仕様ともいえ、職人さんがプライドからいい仕事をやらざるをえないという安心感もある。

ニッチの利用

2005年10月16日 | 我が家のスペシャルな仕様
LaLaLa♪な節約家計簿の「壁厚の利用」にトラックバック。

はてさて我が家にもニッチを利用した部分があるので紹介。
写真は夫婦の部屋としている和室の壁である。

和室ということもあって、ニッチの位置は50cmほどの高さ。対面にある吊収納の底辺と高さを合わせて統一感をとっている。
機能的なニッチ利用というよりは、壁にアクセントをつけたという感じ。
奥行きは5cmしかないが、卓上時計やカレンダーくらいは置ける。
私は寝るとき、ここにメガネを置いている。

苔のその後

2005年10月14日 | 我が家のスペシャルな仕様
家の建築中に、父と母が根付かせた庭の苔についてすこしばかり紹介し、竣工後の庭づくりで苔の帰還のことを書いた。

で、最近の苔の様子(写真は先週末撮ったもの)。
「苔の帰還」のエントリの時には虎刈り感があったが、ここのところはしっかり勢力を増し、定着してきている。
雨が適度に降ると、苔はうれしそうに緑を色濃くする。

縁側古屋の広縁に座って、苔を眺めながらお茶でも飲めば、すっかり和める。
たまには爺の境地に入り込むのも良し。

古屋の通風

2005年10月02日 | 我が家のスペシャルな仕様

 いろいろなエントリで古屋、古屋とけっこう引き合いに出しておきながら、古屋の具体的な紹介は一回きりしかしていないことに気づき、これから時節などに応じて少しずつ紹介していこうかと思う。
で、なぜ今日がその時節なのかというと、過ごしやすくいい天気だからである。
低気密・低断熱(低低)の建物であることは最初に紹介した。そこでは、すべての低低住宅が夏暑く、冬寒いかのごとく吹聴されている例が多いことに反発して、「冬は寒いけど夏は涼しい」と述べておいた。
では、それ以外の季節は? というわけだ。

写真は古屋の中から撮ったもの。

ぱっと見ただけで開口がとても大きいことが分かる。
今日のように心地よい風がランダムに吹くとき、戸を開けていると部屋全体で風の恩恵を受ける。
私はこのような通風の気持ちよさを知っていたので新居の通風性能を譲れなかったといえるかもしれない(関連エントリ LINK)。家の中の環境面における通風とは夏に涼しくすごすためだけではないのだ。
気持ちのいい季節は外とのつながりを大きくする。昔の日本の家はそれも考えられていたと思う。
この機能はプライスレスだ。

日本の家は庭との絡みもしっかり考えられていた。それは別の機会に。

雨宿り

2005年09月24日 | 我が家のスペシャルな仕様

我が家のガレージには庇がある。
70cmほどしか出てはいないが、急に雨が降ってきたときの雨宿りくらいはできる。

そんなことを考えていたら、ガレージの門扉が格子状(横向きだが)であることに気が付いて、急に「たけくらべ」(樋口一葉)が頭に浮かんだ(5000円札のせい?)。

「たけくらべ」では、格子門を挟んでの、美登利と信如のせつないニアミスが描かれている。そんなドラマの出現とまではいわないが、雨宿り機能と格子戸が人と人が互いを思いやるシーンに役立ったらいいなと思った。

 難点は、この格子戸が重いということ。カラカラとするっと動けば人と人がふれあいやすいが、ガラガラと音を出しながら開くため趣に欠ける。
 いやむしろ、気軽にするっと開けにくいところが、美登利と信如以上のせつないドラマを生むか。
 妄想はキリがないのである。



ベンチ――オススメの造作家具

2005年09月13日 | 我が家のスペシャルな仕様

居間にある据付のベンチ。これがなにかと重宝だ。

奥行きを60cmとしたので大人が寝転がることもできる。
我が家の居間はダイニングも兼ねているため、畳は設置せず、ソファも置いてない。こうなるとゴロゴロする場所としてベンチが有効なのだ。
端に幅20cmの肘掛をつけてあり、ここにコーヒーカップやロックグラスを置くことができ、お茶したり、酒を飲ったりする。
子供はこのベンチでじゃれあうこともあり、部屋の中の縁側といった風情もある。

ベンチの下はキャスター付の引き出し収納。普段良く使うものをしまってある。


こうした人間が座ったり寝転んだりする家具は、ミニマムな部屋のようでもある。
だから注文住宅において部屋の仕様を決めるのと同じように、造作で家族に都合よく作ってもらうというのも手だと思う。


我が家において、こういう造作のベンチになった流れを紹介しておく。

奥行きのあるベンチというのはそもそも建築家がよく使っていた意匠で、それまでの家族がソファーでごろごろしていたことを伝えつつも、私が「新居ではソファーを導入するか未定」としていたこともあって、うまく折り合った案なのである。
初期の平面図のプラン段階で盛り込まれており、そこから私が注文したのは、前述の引き出し収納と肘掛の設置だった。
写真奥に見えるのはピアノなのだが、ベンチと並べてピアノを置くことについて建築家はあまり気がすすまないようだった。居間の一辺を一直線にどーんとベンチがあるという形状にしたがった。それはそれですっきりして広々と見える利点がある。しかし、別の部屋にピアノを置きたくないという我が家の事情を優先した。

このように、ひとつのパーツでも、既製のパーツを組み込むのではなく、それぞれの知恵・要望・好みをすり合わせてゼロから検討して作り上げていくことができるのが設計事務所と組んだ家づくりの利点であろう。
逆に言えば、こうした検討項目が山ほどあるともいえ、検討すること自体を楽しめない人は疲れてしまうだろう。手が込みすぎるとコストで頭を悩ませる要因になることも指摘しておきたい。
また、いくら楽しむといってもすべてを一から十まで念入りに検討するのも気力が持たない。以前に述べたようにプロへのゆだね方を考えることも重要なことだと思う。

ドアがない

2005年08月11日 | 我が家のスペシャルな仕様
考えてみたら、我が家にはドアがひとつもない。

 前の家も大半が引き戸ではあったが、トイレやベランダの出口など「ドア」はいくつかあった。
それが新居ではまったくなくなってしまった。
 設計の段階で「基本的に引き戸に」と要望は出していたものの、ドアがひとつもなくなるとまでは思っていなかった。かろうじて浴室の扉だけは引き戸ではないが「折れ戸」なので、純粋なドアではない。

 いろいろなところで語られていることだが、ドアは閉めているのがデフォルトというか普通の状態である。空間をくっきりと区切る。一方、引き戸は開けっぱなしでも閉めっぱなしでもどちらの姿でもよく、あいまいな区切り方もできる。
引き戸を開けっぱなしにすれば、大きな空間にできるし、風も通る。古来、日本の住宅で採用されている使い方である。

我が家がなんとなく「和」のテイストをかもしだしているのはドアがひとつもないせいもあるだろう。

防犯対策

2005年08月10日 | 我が家のスペシャルな仕様
 何かと物騒な世の中となり、家の防犯対策の重要性がさけばれるようになっている。
 我が家の場合、敷地は長方形で角地であるため、2面は外からよく見える。交差点の対角にはタクシー会社があってそこには24時間誰かがいるので、泥棒がねらいにくい住宅だと思う。
 ご近所づきあいがちゃんとある区画であることも防犯上の効果は大きいはずだ。

 それでも、絶対に大丈夫ということもないだろうから、実は別の防犯対策も導入した。
それはなかなか想像できないスペシャルなものなのだが、中身は内緒である。

「日時計」計画

2005年08月07日 | 我が家のスペシャルな仕様
 2階デッキテラスに面する外壁に「日時計」を設置しようかともくろんでいる。

 休日、日時計でわかる程度のアバウトな時間の使い方をしてみたい。
「分」や「秒」などという概念から切り離されたら、開放的な気分がぐっと高まるような気がするのだ。
デッキテラスや「涼み台」から見える位置に掲げるべく、最初から準備はしてある(写真にあるボルトに日時計を掛ける予定)。

 日時計にはいろいろなタイプがある。
鷲見洋一さんによるこちらのサイト
http://www.ne.jp/asahi/sundial/hidokei/
では、さまざまな日時計が紹介されており、精密であったり、芸術的であったり、かなり奥が深い分野であることがわかる。日時計というものに対するイメージを一変させる興味深いサイトなので見てみてほしい。

 ウチでは垂直式日時計を自作するつもり。
せっかく作るのだから、勉強してしっかり計算された正統派の日時計にしてみようかとも考えたが、やめた。もともと精度の高さを追い求めるのを主テーマにしていたわけではなかったし、家の外壁が真南を向いておらず、夕方も早い時間から「影」を利用できなくなることに気づいたのだ。冬だと14:00を過ぎるともう使えなくなりそうだ。

 で、一時期だけ使えればいいとして、単純な方法で作ることにする。
まず、壁面に棒(ノモンというらしい)を立てた盤を設置し、普通の時計をつかって影の先端位置を1時間ごとにマークしていく。時間はかかるが誰でもできる方法だ。
マークしおわったら、盤を取り外して盤面を好みのデザインで装飾する。そしてまた壁に据え付ける。
使わない時でもちょっと面白いオブジェとして楽しめるようにしたい。

 春分の日や秋分の日あたりに決行しようかと考えているが、子供に夏休みの工作として一つやらせてみてもいいかも、なんて思い始めた。

 これから家を新築する人だったら、思い切って南面の壁に一本の棒を突き出させて、影が時刻を指す部分に直接好みのタイルを貼り付けたりしたらどうだろうか。その家のシンボルになることうけあいである。
「日時計のある家」なんて呼ばれるようになったら街のランドマークにもなりそうだ(注)。


注)我が家の場合、残念ながら設置場所が外からは見えないため、「日時計のある家」とは呼んでもらえそうにない。