忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

習氏、天安門弾圧を称賛昨年「国家守った英断」と演説

2022年01月03日 | 忘憂之物





今年は日中国交正常化50周年記念とのことだが、いまから10年前、つまり日中国交正常化40周年のときも、とてもじゃないが「正常化」ではなかった。

日本は野田政権。悪夢の終わりが見え始める頃だが、このときは尖閣諸島の国有化問題があった。当時の石原都知事が「都で保有、管理する」と言ったから、慌てた民主党政権が「(北京に)良かれと思って」やった結果だった。

北京市内で「中国国際問題研究所 」の国交正常化40周年を祝う座談会が開かれたが、当時の中国外務省、楽玉成次官補は「日本側が独断専行を続ければ、中日関係という大船は『タイタニック号』同様、座礁し、沈没する 」と冷たいものだった。河野洋平など、日中友好団体のトップが北京詣でに行っても人民大会堂にすら入れてもらえていない。許してくれなかった。

村上春樹も中国の書店で著作が引き上げられ、朝日新聞に「僕に今ここではっきり言えるのは、そのような中国側の行動に対して、どうか報復的行動をとらないでいただきたいということだけだ」と寄稿した。自分の本はともかく、日本人よ、報復はしないように、と釘を刺している。

中国からすれば、左に巻いた作家の村上でも干してやる、中国を怒らせるより仲良くしたほうが得だと思い出せ、と言いたかった。同時に日本の民主党の阿呆さ加減にも呆れていたことだろう。石原都知事には管理させません、ちゃんと国が国有化して、これからも放っておきます、というくらいの意味だったのに、国際的には「日本が国有化を宣言」になるから中国共産党も怒らざるを得なかった。

 あれから10年、そのほとんどが安倍政権だった。そしていま、元総理になった安倍氏から「台湾有事は日本の有事。すなわち日米同盟の有事」と公言されている。習近平は名指しされて「見誤るな」と言われる。10年前とは少し違う。

国際社会も足並みが揃う。習近平も天安門をして「悲しい過去だが乗り越えて前に進んできた」くらいの方便も使えない。胸を張って誇れることなら、香港のりんご日報も潰すこともない。民主派のメディアも好きにさせればいいのだが、要するにもう対外的な評価など気にしている余裕もない。金正恩が昨年をして「誇らしい勝利の年」と声明を出したのと同じだ。

ともあれ、日中国交正常化40周年のころも巷には「中国経済は崩壊する」「中国の滅亡」みたいな本が溢れていた。保守派の知識人だけでもなく、このままでは中国は危ない、滅びるしかない、と言っている人もいた。

朝日やNHKは懸命に擁護し、多くの日本人を騙すことに必死だった。自民党内にもたくさんいる親中派の議員も落選するどころか、党幹部にまでなって工作活動に勤しんでいた。国際社会や国際団体も様々な工作活動、経済でも軍事でも振る舞われて仲間になった。中国共産党の「超限戦」は教育やメディア、経済や政界にまで深く広く浸透していた。知っている人は警鐘を鳴らしていたし、気づいた人から青ざめて逃げ出した。

いま、学生運動を戦車で轢き殺した事実をして「英断」と公言する国家主席を受け入れる国際世論はない。持続可能な世界を、と言いながら300基の降雪機が降らせる「人工の雪」で行われる冬季五輪に憲章もヘチマもない。

ソビエト連邦が崩壊したのも「とあるクリスマス」。人類へのプレゼントだった。たぶん、日中国交正常化60周年は来ない。





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