忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「終戦の日」はなぜ8月15日?「戦争が終わった日」は国によって異なる?

2022年08月15日 | 忘憂之物





2021年のGDPランキング。みんな大好き韓国は12位。台湾は21位。ちなみに4位にドイツ、7位にイタリアが入る。大東亜戦争前の「枢軸国」が上位10位以内に入るのも皮肉なものだが、もちろん、フランスやイギリス、カナダなんかもいる。オーストラリアは惜しい。13位だった。ロシア11位の下だ。

大学生で「世界史が好きです」という有望な若者でも「第二次世界大戦前に独立国だったのは日本とタイくらい」みたいな話をすると、往々にして、そうなんですか、くらいの反応がある。そうなんですよ、と答える他ないが、日本が収奪しまくったという「植民地支配」の憂い目に遭った朝鮮半島も台湾も、いま、経済大国となって久しい。朝鮮半島の下半分はなにかとアレだが、それでもナウル共和国やツバル(190位・191位)と比せばGDPは雲泥の差だ。韓国のGDPはツバルの27,343倍になる。

例えばツバルはイギリスの植民地だった。ナウルはドイツ領だったが、戦争が始まるとオーストラリア軍に占領された。戦後はオーストラリア、イギリス、ニュージーランドの施政国として国際連盟委任統治領になった。他の東南アジア諸国にしても、長年、欧米列強の植民地支配を受けていたフィリピンやベトナムなど、GDPに関して言えば台湾の後塵を拝している。

帝国主義時代、アメリカもイギリスも自由と民主主義、法の支配、自由経済などの西欧的価値観を植民地には適用していない。平たく言えば差別心丸出しで見下していた。冗談でもなんでもなく、アジア人は劣等人種だと真顔で言っていた。圧倒的な武力をもって制圧し、他国の人々を管理下において徹底的に収奪した。教育も伝統も社会も経済も破壊した。だからいまでも「世界GDPランキング」の下位はアフリカ諸国、中東諸国、東南アジアで占められる。

「途上国の子どもたちを救ってください」として寄付を募るポスターにある子供に白人は使わない。いないからだ。何故に腹を空かせて、学校に通えず、清潔な水が飲めないのは黒人の子どもばかりなのか、という理由はここにある。西欧諸国に国を蹂躙された。歴史も文化も破壊されたからだった。その国の民など知ったことではない。植民地支配とはそういうことだった。

例えば第一次大戦のあと、イギリスはイラクを委任統治していたが、その際、部族の襲撃などについて「その記録を提出すること」によって認めている(「民族とナショナリズム」アーネスト・ゲルナー著)。つまり、面倒臭い。そんなことでイギリス人が怪我をしたり死んだりすれば元も子もない。植民地の治安維持などに興味はない。植民地からは獲れるだけ盗るしかない。

当時の日本も「帝国になるか植民地になるか」の選択を迫られることになった。結果、欧米列強の植民地にならぬ、として日清、日露も戦って「大日本帝国」になった。いまの腹いっぱいで安全な時代から断罪する愚は避けたいが、それでも大日本帝国は「共存共栄」を言った。理念、指針として「大東亜共存圏」を挙げていた。つまるところ「自由で開かれたインド太平洋」だ。警戒する相手が欧米列強か中国共産党の違いだけだ。


毎年のことだが、今頃になるとテレビで特集をやる。NHKもずっとやっている。「日本はなぜ、あの無謀な戦争に突き進んでいったのか」みたいなことを77年以上やってもまだわからない。もうそろそろ「NHKにもやっとわかりました」という特番でもやればいいが、わからないのは真面目に考えていないからだ。

日清戦争のときでも清の国力は日本の倍からあった。大東亜戦争時のアメリカとの国力は数倍以上。「なぜ無謀な戦争に~」という疑問についても、池上彰的な思考からは、たぶん、一生わからない。

NHKは毎年、日本軍が劣勢となってからの話が好きだ。初戦はさらっと流してミッドウェーやガダルカナル、インパール作戦から沖縄戦、無差別爆撃に原爆投下で玉音放送という流れを毎年毎年延々とやる。たまには大和沈没や特攻隊もやるが、いずれも「無謀」「悲惨」「軍部の暴走」。そして「国民は騙されていた」。

戦後何年経ったのか数える気もない阿呆は今年も阿呆なままだ。立憲民主党、泉代表は「終戦の日・談話」として「アジア諸国に損害と苦痛、深く反省」と戦後骨抜き教育の洗脳成果を堂々と発している。公明党と社民党、れいわや共産党は「9条」に「外交」で日本の平和を守るらしい。公明党はそこに「日米安保で」も入っていたが、日本の国防には興味ないらしい。

そして岸田自民党は「世界の平和と安定に積極寄与」だが、談話の冒頭は「唯一の戦争被爆国として、『核兵器のない世界』の実現に向け、現実的な歩みを着実に進めるべく国際社会をリードしていく 」だった。相も変わらず安っぽくて空っぽ。綿菓子の如くふわふわと軽い。何も言っていないのと同じことを長く言う、いつもの岸田政権だった。


上皇陛下は「忘れてはならない4つの日」とされて、沖縄慰霊の日(6月23日)広島原爆の日(8月6日)長崎原爆の日(8月9日)終戦の日(8月15日)を挙げられている。宮内庁のホームページにも記載されている。

「忘れてはならい日」の理由を「悲惨だったから」だけにするから、戦後77年過ぎても朝日新聞やNHKは「なぜ、あの無謀な戦争に~」から先がない。日本は大東亜の共存共栄を建前にしてアジア侵略を正当化した、平和に暮らすアジア諸国を蹂躙して、無謀にも西欧諸国に対しても戦争を仕掛けた、なぜなのか~から本当の答えは出てこない。前提が安っぽくて空っぽだからだ。

8月15日。この日は日本の戦争の大義を語る日だ。そこから考えれば、NHKが毎年、この時期になると視聴者に問う「なぜあの無謀な戦争に~」の答えがわかって、腹にすとんと落ちることになる。だから今年の靖国神社も参拝者がたくさんいた。暑い中、地元の護国神社にもたくさんの人が訪れる。

晴天の空の下、静かに目を閉じて、想いを馳せる。

すると、湧き出るような力を感じる。己の日々を見つめ直し、研鑽や鍛錬が足らないと反省する。傲慢で怠惰な自分を恥じ入る。それから親兄弟や恩人、家族や友人を思い浮かべる。祖父母の顔も浮かぶ。

心に滲み出る言葉は感謝しかないはずだが、朝日新聞やNHKはこれが77年過ぎても意味不明なのだ。思想がなく、思考がアベガ―と同じようなものだ。

ちょっと哀れだと思わないか。





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