ガウスの旅のブログ

学生時代から大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。現在は岬と灯台、歴史的町並み等を巡りながら温泉を楽しんでいます。

旅の豆知識「都道府県立美術館」

2017年08月30日 | 旅の豆知識
 旅先で絵を描いている人に出会ったことはありませんか?美しい風景を前にしてカンバスに絵筆をふるっている人を見て、思わずのぞき込んでしまったなんてことが‥‥。誰でも、すばらしい山や海に臨んで、「私に絵心があったならなあ」と感動のあまりつぶやいてしまったなんてことが一度や二度はあるのではないですか?しかし、旅先で絵を描くことができなくても、美術品を鑑賞することはできると思います。               
 美術館と聞くと、古い絵画や彫刻が展示してある所と思っている人が多いかと思います。しかし、最近出来た美術館は色々な工夫が施されています。中でも、現代美術を扱った美術館は、先進的なアーティストの作品も展示していますので、興味深い方も見えるのではないでしょうか。
 特に、最近の都道府県立美術館の充実には目を見張るものがあります。規模も大きく、多彩で、近代美術から現代美術に至るまで幅広く展示しているところもあって面白いのです。そんな美術館に足を運んでみませんか?

〇「美術館」とは?
 広辞苑によると、「絵画・彫刻などの美術品を陳列して一般の展覧・研究に資する建物。」となっていました。また、博物館法では、「博物館は、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し(育成を含む)、展示して教育的配慮のもとに一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせて、これらの資料に関する調査研究をする機関である」とされていて、美術館は、博物館の一種とされています。
 日本では、1872年(明治5)東京・湯島聖堂で文部省博物館主催の美術工芸品の展示が行われましたが、1877年(明治10)に第1回内国勧業博覧会が上野公園で開催されたとき、美術品を陳列した部門を美術館と称したのが、名称の始まりでした。これが後の帝室博物館(現在の東京国立博物館の前身)となったのです。1930年(昭和5)には、倉敷の「大原美術館」が西洋絵画のコレクションを常設展示する民間最初の西洋美術館として発足しました。太平洋戦争後は、1951年(昭和26)に神奈川県立近代美術館、1959年(昭和34)、東京に国立西洋美術館が開かれ、その後、数を増していったのです。1970年以降は、地方公共団体による公立美術館の設立が続き、増大していったのです。
 日本では、現在でも美術館の数は増加傾向にあり、文部科学省の調査では、2015年(平成27)10月現在で、1,064館(美術博物館441、類似美術博物館623)があります。

☆「都道府県立美術館」のお勧め

(1)青森県立美術館(青森県青森市)
 三内丸山遺跡の隣の静かな環境に、県立美術館として2006年(平成18)に開館しました。郷土出身の芸術家、世界的な版画家棟方志功や、若い世代の圧倒的な指示を集める奈良美智、文学・演劇・映画など多方面で活躍した寺山修司、ウルトラマンや怪獣のデザインを手がけた成田亨など県ゆかりの作家の作品を展示しています。その一方で、ピカソ、マティス、クレー、シャガールなどの西洋美術の作品を収蔵していることで知られています。郷土出身の芸術家のいろいろな仕事が垣間見れて、とても面白く見学できました。
 
(2)茨城県天心記念五浦美術館(茨城県北茨城市)
 岡倉天心らの業績を記念して、1997年(平成9)に設立された美術館です。1906年(明治39)、岡倉天心が日本美術院第一部を五浦(いつうら)に移転し、ここに明治時代の日本画壇の俊英達が集まったのは興味深いことでした。岡倉天心の業績、その弟子達の活躍などこの五浦の地が日本画の発展に与えた大きさをあらためて感じさせる施設なのです。この美術館は、高台の見晴らしのすばらしい所に作られた、近代的な立派な建物で、この中の岡倉天心記念室でその業績を学ぶことができ、とても感銘を受けました。

(3)山梨県立美術館(山梨県甲府市)
 1978年(昭和53)に開館し、ジャン=フランソワ・ミレーの「種まく人」を3億円で購入して話題になった所ですが、その後も作品を買い増して、「落ち穂拾い、夏」「ポーリーヌ・V・オノの肖像」などのミレーの作品を一度に鑑賞できます。本物の迫力はすばらしく、美術ファンには一見の価値があると思います。常設展と企画展も見たのですが、なんといってもミレーの作品群がすばらしい!何度も見ているものの、感動を新たにしました。

(4)岐阜県美術館(岐阜県岐阜市)
 1982年(昭和57)開館で、県民文化の森の中の静かな環境に立地しています。館内には、岐阜県出身者やゆかりのある画家(大橋翠石、川合玉堂など)・芸術家の作品を多数収蔵する一方で、オディロン・ルドンの「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」、「眼をとじて」、ギュスターヴ・モローの「ピエタ」、ピエール=オーギュスト・ルノワール - 「泉」などの有名な西洋画も所蔵していて、なかなか見ごたえがありまりました。

(5)愛知県美術館(愛知県名古屋市東区)
 1955年(昭和30)に開館した愛知県文化会館美術館を前身とし、1992年(平成4)に、愛知芸術文化センター内に移転新築して開館しました。国内の梅原龍三郎、安井曾太郎、横山大観、菱田春草など、国外のピカソ、マティス、クリムトなど20世紀美術を中心に収蔵・展示しています。また、木村定三コレクション(浦上玉堂、与謝蕪村、小川芋銭、熊谷守一、須田剋太など日本画家の作品、陶磁器等の工芸品、中国・日本の仏教彫刻、考古遺物など3,000点超)、藤井達吉コレクション(絵画や工芸など約1,500点)も寄贈され、重要文化財3件(6点)を含む、古今東西を網羅する総合美術館となりました。

☆日本の都道府県立美術館一覧

<北海道>
・北海道立近代美術館(北海道札幌市中央区)
・北海道立三岸好太郎美術館(北海道札幌市中央区)
・北海道立函館美術館(北海道函館市)
・北海道立旭川美術館(北海道旭川市)
・北海道立帯広美術館(北海道帯広市)
・北海道立釧路芸術館(北海道釧路市)

<東北>
・青森県立美術館(青森県青森市)
・岩手県立美術館(岩手県盛岡市)
・宮城県美術館(宮城県仙台市青葉区)
・秋田県立近代美術館(秋田県横手市)
・秋田県立美術館 平野政吉コレクション(秋田県秋田市)
・福島県立美術館(福島県福島市)

<関東>
・栃木県立美術館(栃木県宇都宮市)
・群馬県立近代美術館(群馬県高崎市)
・群馬県立館林美術館(群馬県館林市)
・茨城県近代美術館(茨城県水戸市)
・茨城県つくば美術館(茨城県つくば市)
・茨城県天心記念五浦美術館(茨城県北茨城市)
・茨城県陶芸美術館(茨城県笠間市)
・埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区)
・千葉県立美術館(千葉県千葉市中央区)
・東京都美術館(東京都台東区)
・東京都井の頭自然文化園彫刻園(東京都武蔵野市)
・東京都庭園美術館(東京都港区)
・東京都現代美術館(東京都江東区)
・東京都写真美術館(東京都目黒区)
・神奈川県立近代美術館(神奈川県三浦郡葉山町・鎌倉市)

<中部>
・新潟県立近代美術館(新潟県長岡市)
・新潟県立万代島美術館(新潟県新潟市中央区)
・富山県美術館(富山県富山市)
・富山県水墨美術館(富山県富山市)
・石川県九谷焼美術館(石川県加賀市)
・石川県七尾美術館(石川県七尾市)
・石川県立美術館(石川県金沢市)
・福井県立美術館(福井県福井市)
・山梨県立美術館(山梨県甲府市)
・長野県信濃美術館・東山魁夷館(長野県長野市)
・静岡県立美術館(静岡県静岡市駿河区)
・岐阜県美術館(岐阜県岐阜市)
・岐阜県現代陶芸美術館(岐阜県多治見市)
・愛知県美術館(愛知県名古屋市東区)

<近畿>
・三重県立美術館(三重県津市)
・滋賀県立近代美術館(滋賀県大津市)
・滋賀県立陶芸の森(滋賀県甲賀市)
・京都府立堂本印象美術館(京都府京都市北区)
・京都府立陶板名画の庭(京都府京都市左京区)
・奈良県立美術館(奈良県奈良市)
・大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪府大阪市西区)
・兵庫県公館(兵庫県神戸市中央区)
・兵庫県立美術館「芸術の館」(兵庫県神戸市中央区)
・兵庫陶芸美術館(兵庫県篠山市)
・和歌山県立近代美術館(和歌山県和歌山市)

<中国>
・島根県立美術館(島根県松江市)
・島根県立石見美術館(島根県益田市)
・岡山県立美術館(岡山県岡山市北区)
・広島県立美術館(広島県広島市中区)
・山口県立美術館(山口県山口市)
・山口県立萩美術館浦上記念館(山口県萩市)

<四国>
・徳島県立近代美術館(徳島県徳島市)
・香川県立東山魁夷せとうち美術館(香川県坂出市)
・愛媛県美術館(愛媛県松山市)
・高知県立美術館(高知県高知市)

<九州・沖縄>
・福岡県立美術館(福岡県福岡市中央区)
・佐賀県立美術館(佐賀県佐賀市)
・長崎県美術館(長崎県長崎市)
・大分県立美術館(大分県大分市)
・熊本県立美術館(熊本県熊本市)
・宮崎県立美術館(宮崎県宮崎市)
・沖縄県立博物館・美術館(沖縄県那覇市)