第三のレクイエム
皆さんが好きなレクイエムは誰のですか?
半世紀程前では、著名人が自分の葬儀で演奏してほしいレクイエムの一番がフォーレのレクイエムでした。丁度、クリュイタンス、ディーイカウ、ロス・アンヘルスの名盤が発売された直後でしたから無理有りません。どんな演奏だったのか? レクイエムの概念から外れる程の清涼感溢れる演奏で、だいたい怒りの日が入って無いんです。入っていない事でより日本人向きに感じられたのかも知れません。死者を悼む心が切々とせまってくるような鎮魂歌でした。子供だつた私にも十分悲しみ死者への哀悼が伝わって来たのをはっきりと覚えています、
でも、私が一番好きなのはモーッアルトです。名演とされる物はたくさん有りますが、私のお勧めはアバド・ルーツェルンのライブです。アバドのは脅威の集中力でオーケストラ、合唱団、歌手たちを抑制して行きます。驚くほど清涼で美しく、優しいも哀愁を秘めた素晴らしい演奏でした。ルーツェルンは弱音の美しいオーケストラなのです。
晩年のアバドは演奏を終えると長い瞑想にはいります。この時の瞑想は一際長く、聴衆はじっとアバドの祈りを見つめ、待ち続けます。
アバドが感謝と祈りを終えて初めて拍手と歓声がわき起こります。
アバドルーツェルンの新しい演奏が聴けないのは残念で寂しいですね。だいたいルーツェルン祝祭管弦楽団はどうなるのでしょう?
ヴェルディのレクイエムは、私にとっていつも三番目でした、いつもダイナミズムに欺され、もっといい演奏が有ってよい曲だと思いながら、期待を裏切られ続けました。
でも、ようやく出会えました。
それがムーティ友情の道プロジェクトでのライブです。今でのヴェルディ・レクイエムで最高の演奏です。
第一次世界大戦で犠牲になった約10万人の将兵の遺骨が埋葬されたレディプーリア軍事墓地からのライブで、斜面に階段状に配された空間設計と巨大な構造物が圧倒的です。、
放送は少年と老人の祈りと第一次世界大戦のモンタージュで静かに始まります。バックに哀悼のラッパが聞こえいています。
ラッパの余韻が消えると同時に、ムーティの指揮棒が振らされ、静かに、優しくレクイエムが始まります。これです、私が待っていたのは。
安息を 永遠の安息をお与えください
そして、永久の光を彼らにお与えください
演奏は戦争のモンタージュが挟まれながら進みます。抑制が利きながらも緊張に溢れた、優しい演奏が続きます。
観客席の最前列の真ん中に、五人の老人が並んでいました。もしかしたら1914年生まれの人たちなのかもしれません。
前列左中間と右中間に儀仗兵とみられる兵士が直立不動の姿勢を保っています。
突然、怒りの日が始まりました。ダイナミックながら哀悼に溢れています。
怒りの日 この日こそ 世界を灰に帰する日
ダビデとシビラを証人として
世界を灰に帰する日 この日こそ
それにしても、この管弦楽団いい音だしますね。合唱団も独唱陣もなかなか素晴らしいですよ。なにりも哀惜の気持ちに溢れています。
あっという間に終曲が訪れました。
リベラメ 私を解き放ってください
スタンディングオベーションが続く中。ムーティが観客を制し、巨大なモニュメントの上で軍人が哀悼歌を吹き、放送が終わりました。
ブラボー!! 有り難うムーティ、有り難うクラシカジャシパン。
2016年11月10日 Gorou
[演目]ジュゼッペ・ヴェルディ:レクイエム
[指揮]リッカルド・ムーティ
[演奏]ルイージ・ケルビーニ管弦楽団、ヨーロピアン・スピリット・オブ・ユース・オーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/シカゴ交響楽団/トリエステ・ヴェルディ劇場管弦楽団/サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団/フランス国立管弦楽団/王立モネ劇場管弦楽団/フィルハーモニア管弦楽団/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバー、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア合唱団、トリエステ・ヴェルディ劇場合唱団、ブダペスト・フランツ・リスト音楽院室内合唱団、リュブリャナ音楽アカデミー合唱団、ザグレブ音楽アカデミー合唱団、トリエステ“ジュゼッペ・タルティーニ”音楽院&ウディネーゼ“ヤコポ・トマディーニ”音楽院の学生たち、タチアナ・セルジャン(ソプラノ)ダニエラ・バルチェッローナ(メゾ・ソプラノ)サイミール・ピルグ(テノール)リッカルド・ザネッラート(バス)
[合唱指揮]クリスティアーノ・デロステ、パオロ・ヴェロ、ペーテル・エルデイ、マルコ・ヴァトヴェチ、ヤセンカ・オストイッチ、マウリツィオ・デル・ジュディーチェ、ドメニコ・ヴェッロ
[収録]2014年7月6日レディプーリア軍事墓地(イタリア共和国フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州レディプーリア)
[映像監督]ファブリツィオ・ジュットゥーゾ・アライーモ
皆さんが好きなレクイエムは誰のですか?
半世紀程前では、著名人が自分の葬儀で演奏してほしいレクイエムの一番がフォーレのレクイエムでした。丁度、クリュイタンス、ディーイカウ、ロス・アンヘルスの名盤が発売された直後でしたから無理有りません。どんな演奏だったのか? レクイエムの概念から外れる程の清涼感溢れる演奏で、だいたい怒りの日が入って無いんです。入っていない事でより日本人向きに感じられたのかも知れません。死者を悼む心が切々とせまってくるような鎮魂歌でした。子供だつた私にも十分悲しみ死者への哀悼が伝わって来たのをはっきりと覚えています、
でも、私が一番好きなのはモーッアルトです。名演とされる物はたくさん有りますが、私のお勧めはアバド・ルーツェルンのライブです。アバドのは脅威の集中力でオーケストラ、合唱団、歌手たちを抑制して行きます。驚くほど清涼で美しく、優しいも哀愁を秘めた素晴らしい演奏でした。ルーツェルンは弱音の美しいオーケストラなのです。
晩年のアバドは演奏を終えると長い瞑想にはいります。この時の瞑想は一際長く、聴衆はじっとアバドの祈りを見つめ、待ち続けます。
アバドが感謝と祈りを終えて初めて拍手と歓声がわき起こります。
アバドルーツェルンの新しい演奏が聴けないのは残念で寂しいですね。だいたいルーツェルン祝祭管弦楽団はどうなるのでしょう?
ヴェルディのレクイエムは、私にとっていつも三番目でした、いつもダイナミズムに欺され、もっといい演奏が有ってよい曲だと思いながら、期待を裏切られ続けました。
でも、ようやく出会えました。
それがムーティ友情の道プロジェクトでのライブです。今でのヴェルディ・レクイエムで最高の演奏です。
第一次世界大戦で犠牲になった約10万人の将兵の遺骨が埋葬されたレディプーリア軍事墓地からのライブで、斜面に階段状に配された空間設計と巨大な構造物が圧倒的です。、
放送は少年と老人の祈りと第一次世界大戦のモンタージュで静かに始まります。バックに哀悼のラッパが聞こえいています。
ラッパの余韻が消えると同時に、ムーティの指揮棒が振らされ、静かに、優しくレクイエムが始まります。これです、私が待っていたのは。
安息を 永遠の安息をお与えください
そして、永久の光を彼らにお与えください
演奏は戦争のモンタージュが挟まれながら進みます。抑制が利きながらも緊張に溢れた、優しい演奏が続きます。
観客席の最前列の真ん中に、五人の老人が並んでいました。もしかしたら1914年生まれの人たちなのかもしれません。
前列左中間と右中間に儀仗兵とみられる兵士が直立不動の姿勢を保っています。
突然、怒りの日が始まりました。ダイナミックながら哀悼に溢れています。
怒りの日 この日こそ 世界を灰に帰する日
ダビデとシビラを証人として
世界を灰に帰する日 この日こそ
それにしても、この管弦楽団いい音だしますね。合唱団も独唱陣もなかなか素晴らしいですよ。なにりも哀惜の気持ちに溢れています。
あっという間に終曲が訪れました。
リベラメ 私を解き放ってください
スタンディングオベーションが続く中。ムーティが観客を制し、巨大なモニュメントの上で軍人が哀悼歌を吹き、放送が終わりました。
ブラボー!! 有り難うムーティ、有り難うクラシカジャシパン。
2016年11月10日 Gorou
[演目]ジュゼッペ・ヴェルディ:レクイエム
[指揮]リッカルド・ムーティ
[演奏]ルイージ・ケルビーニ管弦楽団、ヨーロピアン・スピリット・オブ・ユース・オーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団/シカゴ交響楽団/トリエステ・ヴェルディ劇場管弦楽団/サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団/フランス国立管弦楽団/王立モネ劇場管弦楽団/フィルハーモニア管弦楽団/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバー、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア合唱団、トリエステ・ヴェルディ劇場合唱団、ブダペスト・フランツ・リスト音楽院室内合唱団、リュブリャナ音楽アカデミー合唱団、ザグレブ音楽アカデミー合唱団、トリエステ“ジュゼッペ・タルティーニ”音楽院&ウディネーゼ“ヤコポ・トマディーニ”音楽院の学生たち、タチアナ・セルジャン(ソプラノ)ダニエラ・バルチェッローナ(メゾ・ソプラノ)サイミール・ピルグ(テノール)リッカルド・ザネッラート(バス)
[合唱指揮]クリスティアーノ・デロステ、パオロ・ヴェロ、ペーテル・エルデイ、マルコ・ヴァトヴェチ、ヤセンカ・オストイッチ、マウリツィオ・デル・ジュディーチェ、ドメニコ・ヴェッロ
[収録]2014年7月6日レディプーリア軍事墓地(イタリア共和国フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州レディプーリア)
[映像監督]ファブリツィオ・ジュットゥーゾ・アライーモ