北朝鮮は1日、11月21日に打ち上げた軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1号」の運用を正式に開始する。
衛星軌道への進入には成功したとみられ、北朝鮮メディアは連日、各国の主要施設の撮影に成功したと強調している。
一方、これまでに写真などは公開されておらず、偵察衛星としての撮影能力は不明のままだ。
韓国の専門家は「2~3カ月の経過観察が必要だ」と指摘する。
北朝鮮は衛星発射の翌日から、日米韓の米軍基地や米ホワイトハウスの撮影に成功し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が逐一確認したと報道。
秒単位で撮影時間を公表し、正常の軌道で周回していることを強調した。
米宇宙軍が運営する人工衛星の追跡サイトでも番号が付与されるなど、軌道進入時に問題は生じなかったとの評価が定まりつつある。
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〇北朝鮮衛星に番号付与=米宇宙軍、軌道進入確認か2023年11月24日ソウル時事
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/b880439befadb2b21dcc0ced3a8235dc
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/b880439befadb2b21dcc0ced3a8235dc
〇北朝鮮偵察衛星1号MALLIGYONG-1の軌道6要素諸元例
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/6eff4eb331fa8b003b31900ca6491faf
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今後は、偵察衛星としての性能が焦点となる。「ここまで撮影状況を誇示する以上、近く写真を公開するのではないか」(韓国の民間シンクタンク、21世紀軍事研究所の柳成燁(リュ・ソンヨプ)情報分析官)との見方もあるが、保安上の理由から写真や映像は非公開とするのが各国の偵察衛星の一般的な運用となっている。
北朝鮮も明らかにしない可能性は高い。
韓国紙東亜日報は11月27日、北朝鮮が5月に打ち上げに失敗し、韓国軍が回収した衛星の残骸検証で、日本製の旧式商業用カメラが装着されていたことが判明したと報じた。
韓国国防当局が調査当時「偵察衛星として軍事的に利用できる性能は全くない」との見方を示したのを裏付けた形だ。
これに対し、韓国の偵察衛星開発にも携わる韓国航空大学の張泳根(チャン・ヨングン)教授は「打ち上げに失敗した(5月と8月の)過去2回は試験発射だったとみるべきで、今回の衛星の性能を軽視すべきではない」と主張する。
張氏は、衛星の構成部品が海外から北朝鮮に流入した状況の分析などを基に、写真の解像度を「2~3メートル」(縦横2~3メートルの物体を点として認識)程度と推定。
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〇北朝鮮偵察衛星Malligyong 1の外観と諸元例
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/8b7a210a9c5ff3923488d7620f54fe55
https://blog.goo.ne.jp/globalstandard_ieee/e/8b7a210a9c5ff3923488d7620f54fe55
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欧米の「0・3メートル」水準には遠く及ばないが、解像度が1メートルまで改善されれば、戦闘機の機種などの区別も可能になるという。
張氏は「打ち上げ後の数カ月で部品の欠陥が判明する場合も多く、今回が成功と言えるか様子を見る必要がある」とした上で、「今後ロシアの技術支援を受け、北朝鮮の衛星の性能が急速に高まる流れは揺るがない」と強調。
北朝鮮は来年にも数基の偵察衛星を追加発射する方針を明らかにしており、「衛星5基が運用されれば、特定の基地が2時間おきに監視される」と警戒を強めた。(ソウル 時吉達也)
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