2024.06.19 09:30
経済的に追い詰められた―西大陸・戦狼外交・人質外交・脅威・共産党独裁・権力闘争・孫子の兵法―中国、手あたり次第のラブコール=微笑外交=も袖にされ
Milton Ezrati Contributor
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I consult on economics and investment strategy and serve as chief economist for the NY-based communications firm, Vested.
I am a contributing editor for The National Interest and an affiliate of the Center for the Study of Human Capital and Economic Growth at the University at Buffalo (SUNY).
In my long career in finance, I have held positions as portfolio manager, director of research, and chief investment officer.
My most recent book, Thirty Tomorrows, takes up the question of how economies can meet the challenge of globalization and aging demographics.
I hold an MSS in mathematical economics from Birmingham University in England and a BA in economics from the State University of New York at Buffalo.
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中国
政府は破れかぶれになっているに違いない。
国内経済も貿易も投資の流れも状況は見るからに思わしくなく、かつて世界を席巻した中国ビジネスへの熱狂は、米国でも欧州でも日本でも潮が引くように冷めつつある。米
国政府は対中貿易で対決姿勢を強め、欧州連合(EU)や日本も米国ほどではないにしろ中国離れを加速させている。
こうした中、中国の指導者たちはここ数カ月というもの、分野を問わず先進国の実業家や政治家を口説こうと躍起だ。
こうした中、中国の指導者たちはここ数カ月というもの、分野を問わず先進国の実業家や政治家を口説こうと躍起だ。
習近平国家主席は米国のビジネスリーダーたちを2度にわたって歓待し、中国がいかに彼らを高く評価しているかをアピールした。
欧州を歴訪した際にも同様のもてなしをした。
ごく最近では李強首相を韓国・ソウルに派遣し、日韓の経済界に対してはもちろん、両国首脳にも積極的なメッセージを伝えた。
しかし、反応はいずれもあからさまな拒絶ではなかったにしろ、温かさはほとんど感じられないものだった。
中国政府が必死になる理由ははっきりしている。
国内では深刻な不動産危機が収束する気配もなく、住宅購入や建設活動が停滞し、家計資産の目減りなどを理由に消費者は財布のひもを固く締めている。
これに加えて、民間企業を敵視する習政権の以前の政策が響き、民間投資や事業拡大、雇用も停滞。対中貿易規制や、積極的なサプライチェーンの多角化と中国からの生産移転により、輸出の遅滞も起きている。
経済を下支えできる要因が内外に見当たらないがゆえに、中国政府は現状「魅力攻勢」としか評しようのない外交姿勢を取らざるを得なくなっているのだ。ねらいは、かつて中国の急速な発展を後押しした外資の熱意をいくばくかでも取り戻し、経済を活性化させることにある。
経済を下支えできる要因が内外に見当たらないがゆえに、中国政府は現状「魅力攻勢」としか評しようのない外交姿勢を取らざるを得なくなっているのだ。ねらいは、かつて中国の急速な発展を後押しした外資の熱意をいくばくかでも取り戻し、経済を活性化させることにある。
習主席は昨年11月、米サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で米財界人と会談し、中国には豊かなビジネス環境があり外資を歓迎していると太鼓判を押した。
今年に入ると、さらに多くの米ビジネスリーダーを北京に招待し、同じメッセージを伝えた。
その直後には欧州歴訪でも同様の売り込みを行った。
米国でも欧州でも人々は習主席を好意的に迎え、礼儀正しく友好的に接したが、さほど実質的な成果にはつながらなかった。
投資の流れも貿易も大して回復していない。
直近では、韓国と日本に対しても同じような働きかけをしている。
李首相はソウルで韓国の尹錫悦大統領、日本の岸田文雄首相と2019年以来となる3カ国首脳会談を行い、日中韓の貿易促進と対中投資を呼びかけた。
李首相が日韓首脳に約束した内容は多くの点で欧米諸国に提示したものと同じだったが、さらに一歩踏み込み、2012年に浮上した後ほとんど停滞していた日中韓自由貿易協定(FTA)の交渉再開を提案した。
東アジア3カ国の絆を強調することで、日韓のいずれか、または双方を米国との緊密な経済・外交関係から引き離そうとしているようにも見えた。
ソウルでも誰もが非常に礼儀正しかったが、李首相が目的を達成できたとは思えない。
貿易やクリーンエネルギーなどの分野で協力を推進するといったお決まりの美辞麗句が踊った以外に、具体的な会談の成果と呼べるものはなかった。
李首相は、経済・投資・貿易を安全保障や外交から切り離すことを主張したが、会談では安全保障問題をめぐって温度差が露呈した。
尹大統領と岸田首相はともに、北朝鮮のミサイル発射実験をはじめとする敵対的行為に歯止めをかけるため中国の協力を求めたが、李首相は韓国側に「貿易の政治化」をしないよう(自国のふるまいを棚に上げて)警告した他は、北朝鮮問題に言及しなかった。
岸田首相は台湾周辺で中国が最近行った軍事演習に懸念を表明し、「台湾海峡の平和と安定」が日本と国際社会にとって「極めて重要だ」と李首相に伝えた。
李首相が求める貿易と投資に関する進展はもちろん、ましてや3カ国のFTA推進など、安全保障問題をある程度解決しなければ望めないことが痛いほど明らかになった。
中国がこれまで貿易面で高圧的な態度に出たりせず、譲歩を要求したり制裁的措置を取ったりもしていなかったならば、経済・投資・貿易を安全保障・外交から切り離すといった提案は必ずやもっと生産的な展開を生んだはずだ。
中国は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに際して重要な物資の輸出を停止し、中国に進出している外国企業に対しては独自技術や企業秘密を中国のパートナー企業と共有するよう要求した。
外交問題をめぐり、日本への制裁措置としてレアアース(希土類)の対日輸出を禁止したこともある。
今、中国政府はこうした過去のふるまいの代償を支払わされており、必死のほほえみ外交は望む結果を得られていない。
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