A Moveable Feast

移動祝祭日。写真とムービーのたのしみ。

王子、滝野川

2006年01月31日 | 街の底で
 この地は、江戸名所図会に「松橋弁財天窟」、広重の名所江戸百景に「王子 瀧の川」として描かれている。大正の頃の写真も見ることが出来た。
 それらを参照すると、川が蛇行してできた渓谷の下流に松橋が架かり、水辺に弁財天を祀った石窟、その上流に滝が落ちている。茶店や水遊びをする人も見られる。崖上にあるのは金剛寺である。
 江戸期には、夏場の避暑のための行楽地でもあり、紅葉の名所としても賑わった。
 台風による水害を防ぐために昭和50年、護岸が行われ、全くその面影は失われてしまった。最初は両岸ともに完全なU字排水溝型の護岸だったが、近年水辺に降りられるようなすり鉢状の公園に改修されている。
 しかし何事も失ったものは戻らない。かつての江戸の行楽地とは、似ても似つかぬものと言わざるを得ない。
 小林清親も当地を描いているようだが、これはまだ見ない。

NIKON FE, 4Omm/F2.0