東京都小金井市の佐藤和雄市長が12日にも辞職する見通しだ。1日に市長が提出した退職申出書について同市議会は同日午後に審議し、賛成多数で同意した。辞職理由については、同市が現在直面する「ごみ処理危機」への責任を取るためとみられる。
■「市長が辞職しても解決しない」
小金井市では可燃ごみ焼却施設の老朽化にともない、2007年4月以降、周辺自治体や衛生組合に可燃ごみの処理を依頼する状態が続いている。
今年4月の市長選で佐藤氏は、ごみ発生の抑制や可燃ごみの非焼却処理などを公約に掲げて初当選した。しかし選挙公報で、ごみ処理委託にともなう費用が4年間で20億円増加した点を「ムダ遣い」と指摘したことが周辺自治体の反発を招いた。
市長は謝罪し撤回したものの、追加のごみ処理受入が決まらず、11月中旬にも現時点での契約受入量の8000トンに届く見通しだ。
佐藤市長を応援してきた市議会の片山薫議員は「ごみは分別と資源化でもっと減らせる。ここで市長が辞職しても、市民の意識が変わらなければ小金井のごみ問題は解決しない」と話す。
■市民がコンポスト自作
問題の解決に向けて動き始めた市民もいる。小金井市に越して1年という女性は、今回のごみ処理危機を知り、土の中の微生物に生ごみを分解させるコンポスト(ごみ処理装置)を自宅に設置。神奈川県葉山町などで普及が進むコンポスト「バクテリア・デ・キエーロ」の仕組みを勉強し、古い本棚を利用して自作した。
キエーロは分解に電気などを使用せず、簡単に作れるのが特徴だ。悪臭や害虫も発生しにくいという。
「問題が切羽詰っているのに、市民の危機感が伝わってこない。市長の謝罪とごみ受け入れ要請も大事だけれど、市民の意識を高める働きかけも大事では」。女性は近々、自身が関わる市民グループの仲間とともに「キエーロ」のワークショップを開こうと準備を進めている。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年11月1日