先日寒い日中、近くのマンションのゴミ箱を漁る男がいた。「アルミか？アルミならあるで」と私は声をかけた。２kgにも満たないだろうが貯めているのである。だが返って来た答えは違った。「アルミ違う。タバコや」と彼は答えた。シケモクを求めて全てのゴミ袋を逐一あたっていたらしい。袋の結び目を解き、中を調べて、得るものが無ければ結び直して元に戻し次の袋に移る。この繰り返しである。成る程彼の言う通り、彼の手荷物にはアルミ缶の回収を想定させるものはなかった。私はこれでは埒が開かないと思って「ほなお金あげるからタバコ買いや」と言い「今一番安いタバコはなんぼや？」とケチ臭いことまで言った。すると彼は即座に「300円」と答えた。私が知っているのはハイライトが70円～80円の時代である。その後百数十円の時代までは微かに記憶にあるがなんたらいうセブンスターが280円という時代のことはよくわからない。「いこい」とか「若葉」とか「黄金バット」とかは今はないのだろうか。それで私は「高いな」と思わず呟いてしまった。彼は「なら要らんわ。悪いし」と答えた。私は小銭入れを出して300円きっかりを彼の掌に載せた。彼は現金を見るのは久しぶりだったのか、数瞬しげしげと硬貨を見つめていた。私と別れた後、彼はまた別のゴミ箱を漁っていた。それが彼の日課なのだろうと私は思った。それで今日は「日課つながり」で私の最近の「日課」について少し語る。ぁそ。 . . . 本文を読む