本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

対立軸、その他。

2007-07-29 12:17:09 | 社会
 『闘争の最小回路 南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(廣瀬純、人文書院、2006年)より

「政治経済エリートたちは、マス・メディアと結託して、『劇場』をできるだけ大きくすることを企てる。(略)彼らは、自分たちだけで『舞台』を独占し、ぼくたちを『観客席』に追いやろうと企てる。『アクターはおれたちだけだ。お前たちはオーディエンスに過ぎない。舞台に上がってくるな』。こうして、彼らはぼくたちをとことんまで受動化させようとするのである」

「マス・メディアが、すべての政治的な出来事をエリートたちのあいだのコンフリクト(対立・衝突)という偽の表象のもとに語り伝え、また、それによって、ぼくたちをたんなる『観客』の立場へ押しやろうとすることは、実のところ、当のエリートたちがまさに望んでいることそのものです。エリートたちの掛け金は、つねに、自分たちだけで『政治の舞台』を独占し、他の者たちだけをできるだけ『観客席』に留まらせることにあります。対立を演じるふたつのエリート・グループは、ぼくたちを『観客席』に留まらせ、自分たちだけが『舞台』上のアクターであるかのように見せかけるために、互いに相手のグループを必要としているのであり、この意味で、どんなに激しく対立しているように見えたとしても、両者のあいだにはより深いレヴェルにおいてひとつの密やかな合意があると言えるのです」

直売所や「鳴子の米プロジェクト」、棚田オーナー制など、この10数年のあいだの日本の農村の変化と、続々南米に脱アメリカ・オルターグローバリズムの政権を誕生させている「新たな社会運動」に共通するものを見ていると、代理制をはじめとする「近代国民国家」の変容まで見えてくるような気がしている。

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 ↑ 以上『2007-07-28 08:57:11甲斐良治「対立するかのように見える民主・自民の「農政」主張だが」』からの孫引きでした。

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 舛添氏「満身創痍」全治4週間

 政治活動費の二重計上が発覚した赤城農相に対しては、自民党比例代表候補の舛添要一氏(58)が27日、東京都内での街頭演説で、「(選挙戦は)きょう(27日)とあす(28日)しかない。そういう時に、何でバカな大臣が後ろから弾を撃ってくるのか。選挙が終わったらケジメをつけさせる」と批判した。

 また、22日に大阪で演説した際、暴漢に襲われた件で、医師の診断書を公表。診断書によると、腰椎(つい)捻挫、腰随神経損傷で全治4週間。脚には治療のため80本のはりを刺しており「満身創痍(い)だけど、最後まで一生懸命やる」と述べた。
[ 2007年07月28日付 スポニチ紙面記事 ]

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 *↑ 舛添さん、悪いことは言わない。この際宗旨替えしてさつきさん共々他党へ移りなさい。w

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 日本は絶対に原子力を手放さない――フィナンシャル・タイムズ
2007年7月28日(土)21:02
(フィナンシャル・タイムズ 2007年7月26日初出 翻訳gooニュース) FT東京支局長デビッド・ピリング

マグニチュード6.8の地震に見舞われた新潟県刈羽村の住民の多くは、家を失った。身内を亡くした人たちもいる。にもかかわらず、地震発生直後に多くの人たちが真っ先に気にしたのはひとつ。村の近くにあるあの原子力発電所から立ち上っている、巨大な黒煙はいったい何だ?――という一点だった。元町議会議員の武本和幸さんはそう言う。

原発から黒煙がもうもうと立ち上るあの映像は、日本中を震撼(しんかん)させた。世界最大規模の巨大な柏崎刈羽原子力発電所で稼働中だった4つの原子炉は、設計どおりに自動停止した。しかし原子炉以外の部分では、安全対策と安全確保の手順に重大な欠陥があった。

どたばた警察コメディではあるまいに、原発で初期消火にあたった4人は十分に火を消すことができなかった。その理由は、おっとびっくりまさかそんな、消火用水の水道管が地震で破損していたからだという。地元の消防隊は、被災者の救援活動に忙殺されていたため、出火から2時間近くたってようやく、原発に到着する始末だった。そしてその後の調査で、日本の電力供給の3割近くを担う原発全55基の内、消火体制の整っている原発はひとつもないことが判明した。

ロンドンのハイド・パークの2倍強もの広さがある柏崎刈羽原発は、中越沖地震ほどの規模の揺れに耐えられる造りにはなっていなかった。設計時に想定した揺れの強さについては、1号機は273ガルだったが、実際の揺れは680ガルにも達した。

その結果、放射性物質を含む水が海に漏れ出し、放射性物質が大気中にも放出されるなど、個別に発生した損傷や不具合などのトラブルは63件に上った。柏崎刈羽原発を操業する東京電力と、経済産業省原子力安全・保安院は共に、漏れた放射能の量は「極めて微量」で、人体はや周辺環境への影響はないと説明し、住民の不安を解消しようとしている。漏れ出した放射能の影響は確かにそうなのかもしれない。しかし東京電力は当初、放射能漏れはないと発表していただけに、彼らの言うことを信頼していいのかどうか。

何よりおまけに、今回の地震が起きるまで東京電力は、柏崎刈羽原発の間近くに断層はないと主張していたのだ。今回の地震で、震央(震源の真上)から原発までの距離は16キロ。さらに、余震などを分析した結果、地震の断層が、原発の地下まで延びている可能性が高いことも判明した。

こうして次々と明らかになる新事実は、反原発派にとっては援護射撃のようなものだ。原発に反対する人たちは、地球上で最も地殻変動が活発な場所のひとつにある日本で原発を作るなど、狂気の沙汰だと主張しているからだ。神戸大学都市安全研究センターの石橋克彦教授(地震学)によると、日本は全国どこでも巨大地震に見舞われる危険があるのだという。6500人が犠牲になった1995年の阪神大震災は、それまで地震の危険は低いと信じられていた大都市を襲った。石橋教授は、地震と地震による核・放射能事故が引き起こす複合的災害(原発震災)で数百万人が犠牲になる危険があると警告している。

地球上にある原発の1割を、地球上で最も地震の活発な地域のひとつに押し込めるのは、果たして賢明なことなのか。原子力発電そのものが大嫌いだというわけでなくても、これにはいささか首をひねりたくなる。しかし原子力政策の担当者たちは、過剰反応はしないほうがいいと話す。まず第一に、中越沖地震から学ぶべき教訓は、原発の危険性ではなく、むしろその逆かもしれないという指摘だ。柏崎刈羽原発の設計想定よりも2倍以上の最大加速度で地面が揺れたが、原子炉は正常に自動停止した。トラブルが起きたのは、基幹部分ではなかった。大気中に漏れた放射性物質の量は、保安院などの発表によると、「東京~ニューヨークを飛行機で往復する間に宇宙から浴びる放射線の1000万~100万分の1の量」に過ぎなかった。

国際的な原子力の専門家は、最新の設計技術を使えば、想像できる最大規模の地震にも耐える原発を造るのは可能だと話す。自動停止と冷却機能、漏えい遮断などの機能がある限り、チェルノブイリ型の事故はほとんど不可能なのだという。

ポイントは2つある。第1は、規制・監督の問題だ。民間事業者はどう見ても、安全性について手抜きをしてきたし、地震発生の可能性をありえないほど低く見積もっていた。これまでのやり方を見ても、日本の経済界は本当のことを隠すのが得意だ。それだけに、政府が徹底的に監視し、積極的に監督機能を果たさなくては、事故防止のためあらゆる手を尽くしていると国民を説得できない。

第2のポイントは、もっと根本的な問題だ。そもそも日本は原子力産業をもつべきなのだろうか? ここで問題になるのは、石油や天然ガスをほとんど持たない日本にとって、原子力発電のない生活は考えられないということだ。

自分たちは資源の乏しい国――。日本人が抱えるこの根深い強迫観念こそ、1930年代の日本を突き動かし、そして破滅へと追い込んだ帝国主義的野望の最大要因だった。自分たちには資源がないという日本人のこの強迫観念がいかに根強いものか、日本の外ではあまり理解されていない。たとえば海外の自由貿易主義者たちは、日本の農産物関税が高すぎると批判しているが、日本国内の議論はそれよりむしろ、カロリーベースで40%しかない食料自給率をどう引き上げるかに移りつつある。

日本は資源に乏しい国だというこの強烈な恐怖は、実は一部で言われるほど、合理性を欠いたものではない。いったん危機が起きれば、国内に食糧とエネルギーが入ってこなくなるという、そういう弱点を日本は抱えているのだ。ということはつまり、日本政府はこれから、原発の安全性向上のために徹底した見直し作業に入るが、そもそも日本が原子力産業をもつべきかどうかは、これからも議論されないままということになる。

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 *この人の評論は本当に鋭い。まったく、「配水管が地震で壊れたから消火出来なかった」(!)とは何たる言い草だろうか。これは殆ど「落語ネタ」である。
 わが原発群はそもそもマグニチュード8クラス、関東大震災クラスの地震が来てもビクともしない「筈」だったのではないか?!
 東電等、電力会社側はそう言って、過疎の町や村に原発誘致を承諾させて来た。そんなに安全なら東京都庁の隣りにでも作ったらいいのだ。なんで金を餌に過疎の町や村を苛めるのか?!

 「科学者の良心を信用しろ」「誰も悪意で脆弱な耐震構造の原発など作らない」と「良識ある(?)」人々は言うのだが、現実に起こっている事象はこれらの「性善説的擁護」を無化し嘲笑っているかの如くである。
 ここでも我々は「誰の言うことを信じたらいいのかわからない」という極めてシビアな現実に直面せざるを得ないのである。



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1 コメント

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Unknown (toshiki)
2007-07-29 15:47:04
安倍内閣、前代未聞の問題だらけですね。
これに懲りない国民もどうかと思いますが。赤城さんこれは犯罪でしょう。
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