幼い頃亡母に作って貰った『アブラゲご飯』というのを作ってみた。私が知っている中では一番質素で簡略な混ぜご飯である。炊き込みご飯の一種だが出し汁の他には具材には細かく刻んだ油揚げを入れるだけだ。薄口の醤油味の出し汁が美味く出来れば当然ご飯も美味しく出来上がる。このご飯の由来を考えると、元々は鶏肉の炊き込みご飯が下地になっているのだが、昔の農家では(節約のためか単に間に合わせのためか知らないが)鶏肉の代わりに油揚げを使っていたのである。鶏肉だけではなく、これに人参、ゴボウ、コンニャクなどを加えれば本格的な炊き込みご飯になるが、流石の私もそこまで凝った食事は作らないし、だいたいが子供の頃から鶏肉よりは油揚げの方が好きな、安上がりな餓鬼んちょだったのである。アブラゲご飯は時々思い出しては作ってみるのだが、子供の頃食べた美味しい味にはまだ一度も到達したことがない。
油揚げご飯を作るにはまず米と醤油と油揚げが必要だが、肝心かなめの油揚げがセブンイレブンにもローソンにも見当たらなかったのである。以前は確かに置いてあったのだが売れ筋ではなかったのだろう。コンビニは競合店が不採用とした商品など即刻自分の所でも不採用にしてしまう。阪急ストアに行ったのもそれがきっかけになっている訳だ。