9月14日付の中国新聞に、広島県呉市内の幅僅か100m強の狭い海峡「音戸の瀬戸」の両岸を結ぶ「日本一短い定期航路」が存続のピンチとなっている旨の記事が掲載されました。
長年生活の足として呉市の補助を受けて運航してきたものの、利用者の減少と船の老朽化から存続の危機となり、クラウドファンディングで資金を集めてようやく2隻の船を修繕したものの、いくばくもなく台風襲来などで2隻とも運行不能な状態に陥って7月19日午後から運休中です。
https://www.city.kure.lg.jp/soshiki/28/ondo-tosen.html
船の修理のメドは立たず、運航主体としては廃業の意向とのこと。
その「音戸の瀬戸」には、現在2本の橋が架かっています。
海峡は重要な航路でもあることから、架橋の大前提は「下を商船が通れること」です。
最初に架橋されたのは高度成長が始まった1961年で、その「音戸大橋」は船の通れる高さ(23.5m)を稼ぐ必要がある一方両側とも土地の余裕がないため、取り付け部はループ式や螺旋式となり、当時の最新の技術をもって建設されました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/97/ondo-bridge.html
しかし、音戸大橋は橋本体にも取り付け部にも歩道はなく、安全面と上り下りの面倒さから、自転車や徒歩の場合は従来通り渡船の利用がメインとなりました。
そして交通量の増大から自動車にとっても2つ目の橋が必要となり、2013年に「第二音戸大橋」が開通しました。
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/97/2nd-ondo-bridge.html
こちらは両岸の高台同士を結んでいるため勾配は緩く、橋の上にも歩道が設けられており、自転車や徒歩でも安全かつ楽になりました。
当然、渡船の利用は大きく減少し、存続の危機に至ったわけですね・・・ おそらく、直接音戸の瀬戸に面した集落相互間の行き来、そして観光客以外の利用はほぼなくなっていたものと思われます。