2023/8/14付で公開された東北運輸局報第1399号において、JR東日本による専用自動車道工事の施行認可が公示されています。
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/content/000301223.pdf
区間は、陸前高田市矢作町字越戸内地内の2か所および同市竹駒町字大畑地内の1か所で、延長は合わせて30m程度となっています。これは、被災前のJR大船渡線が陸前矢作~竹駒間で気仙川を渡っていた橋梁の両側に相当します。
現地は気仙川の河口から6km程度上流ですが、巨大津波はその距離をものともせず気仙川橋梁を押し流しました。復旧は鉄道ではなくバス専用道を主体としたBRT(バス高速輸送システム)で行うこととなり、竹駒駅付近および陸前矢作駅の手前2km程度の区間はバス専用道に改修されましたが、気仙川前後の区間は河川改修とのからみで長らく工事保留となっていました。
岩手県の公式サイトで公開されている2018年時点の陸前高田市からの震災復興に関する要望と取り組み状況をまとめた資料の11ページ目によれば、陸前高田市の要望
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JR竹駒駅から矢作町字越戸内地内までの専用道化延伸を行うためには、JR東日本が今後実施する気仙川に架かる鉄橋の復旧事業と気仙川の河川改修事業の一体的な事業推進が必要となることから、JR東日本との連携を図りつつ、早期に整備を進めていただくよう、特段のご配慮をお願いいたします。
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に対し、以下のように(2018年時点の)現状が記載されています。
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気仙川河川改修事業は、津付ダム建設中止に伴いダムに代わる治水対策として進めており、概ね30年に1度の洪水に対する河川改修については、津付ダム完成予定であった平成35年度(2023年度)の完了を目標に鋭意取り組んでいるところであります。 専用道化によるBRT運行については、JR大船渡線気仙川橋梁の復旧と当該河川改修の計画・工程調整等が不可欠となることから、JR東日本とも連携し早期の整備に向けて取り組んで参ります。
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その後5年で河川改修事業は概ね順調に進み、GoogleMapの航空写真によればその気仙川橋梁の再建が工事半ばとなっており、ストリートビューによれば既に橋梁とその前後の構造物がほぼ完成していることがわかります。
(1) 気仙川西岸の道路がかつて大船渡線をアンダークロスしていた部分の画像
(2) 上流側の国道343号廻館橋から大船渡線の気仙川橋梁が架かっていた場所を望む画像
今回の公示は、完成済み区間のさらに両側において、かつての線路敷をバス専用道に改修するという意味あいなのでしょう。
ちなみに、かつての大船渡線のうち鹿折唐桑~上鹿折~陸前矢作間はバス専用道化の対象から外されています。内陸部で津波の直接的被害はありませんでしたが、BRTは鹿折唐桑の先から鉄道時代と全く異なる海側の国道45号を経由して陸前高田の市街地に至っており、陸前矢作~竹駒~陸前高田間は支線扱いになっています。
https://tokyostudio.jp/ja/topics/202003141094
鹿折唐桑~上鹿折間は震災以前から運行していた一般路線バスをBRT扱いとしていますが、上鹿折~陸前矢作間には路線バスはありません。宮城・岩手の県境に相当し、峠越えの県道は大型バスが安全に走行可能な道路状況ではなく(ストリートビューの例)、かといって峠の下を通っていた鉄道トンネルをバス専用道に改修するには古すぎ、鉄道時代のルートのトレースは断念となりました。