2024/10/1付ブログ記事「 「くまモンのICカード」は年間3億円の赤字→全国交通系ICカード撤退は事業再生の好機?」の続報です。
上記ブログ記事で、
>一方、交通事業者側は「くまモン!Pay」には相変わらず一切言及していません。
と書きましたが、熊本市当局が作成した資料で「くまモン!Pay」のことに言及されているのを発見しました。
熊本市議会の令和6年第2回定例会予算決算委員会のうち、2024/6/19に開催された都市整備分科会において熊本市交通企画課が提出した資料がそれです。
https://kumamoto-shigikai.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=47&id=1163&sub_id=2&flid=5153
公共交通キャッシュレス決済環境構築費助成(くまモンのICカードシステムは維持しつつ、全国交通系ICカードの代わりにクレジットカード決済とQRコード読取端末を導入する費用について、多様な決済手段に対応するなど、利用者の利便性向上に伴う公益性の観点から、県と協調補助する)を議会で通すための資料という位置づけです。助成対象は九州産交バスをはじめとする熊本県内で路線バスを運行する各社です。
この中で、くまモン!Payは「スマホ内蔵型のキャッシュレス決済手段」として、スマホ内蔵型クレジットカードと同列に扱われています。2024年夏時点では全国相互利用対象交通系ICカードのスマホ版<具体的にはSuica・PASMO・ICOCA>のみが該当していたのが、2024/11/16からしばらくの間は該当なしとなり、両サービスが開始となる2025年春の時点では二者択一となるわけですね。合わせて、企画乗車券については紙ベースからQRコード化するように書かれています(松江市のように完全切り替えかどうかは未定と思われますが)。
ちなみに、上記資料の最後にある「▼運賃の支払手段(利用者別)」の図を見ると、あたかも「熊本県内にはJR九州の在来線が存在しない」かのように描写されています。JR九州の在来線のうち利用客の多い鹿児島本線の荒尾~熊本~八代間および豊肥本線の熊本~肥後大津間では2024年夏時点も2025年春以降もSUGOCAをはじめとする全国相互利用対象交通系ICカードが利用可能です。そして、門司港~博多~久留米間の全駅および鹿児島県の指宿枕崎線の一部区間では確かにタッチ決済に対応していますが、熊本県内における対応駅はありません。また、JR九州におけるQRコード決済対応は、「自動券売機で乗車券を購入する場合にQRコード決済が可能」レベルであり、「ワンマン列車の車内で路線バスの如くQRコード決済が可能」な仕組みではありません。「券売機がない駅では駅提示のQRコードを読取り、お降りになる駅で乗車証明書を係員に提示ください」という仕組みは熊本県外の一部で導入されていますが、最終的には運賃を現金で支払うこととなるのでキャッシュレス決済ではありません・・・