富山県の南西部にある南砺市は、歴史的に隣接する石川県金沢市との関係が深く、鉄道では高岡経由で遠回りになることもあり、両地を結ぶ路線バスが盛んに運行されてきました。
かつては名金急行線(名古屋と金沢を郡上八幡・白川郷経由で結ぶ急行バス、「さくら道」のエピソードで有名)の一部分として福光<現在の南砺市役所の所在地>と金沢を国道304号経由で結ぶ国鉄バスが運行されており、国鉄分割民営化後は西日本JRバスが引き継ぎましたが、近年は便数の削減が相次ぎ、2022年初時点では1日4往復にまで減らされていました。
そして、同社は2022年2月に「大部分の区間の6月限りでの廃止」を発表し、その前段階として4月からは1日1往復と最低限の便数に削減しています。
https://www.nishinihonjrbus.co.jp/upload/news/content/20220701kanazawa.pdf
運行最終日の6月30日とその前日には、金沢駅発18:30の福光行の便の乗客先着50名様に「ありがとう乗車証(硬券)」を配布するとのことです。
しかし、これをもって南砺市と金沢市を結ぶ路線バスがなくなるわけではありません。
富山県高岡市に本社をおく加越能バスはかつて砺波市と金沢市を福光経由で結ぶ路線バスを運行しており、福光~金沢間は国鉄バス~JRバスと同じ国道304号経由のルートでした。
しかし、北陸新幹線開業を機に、南砺市の要望で2015年3月から別ルート<主要地方道金沢井波線経由>のバスの実証運行を開始しました。
https://www.city.nanto.toyama.jp/cms-sypher/www/info/detail.jsp?id=13942
2016年4月からは「南砺市井波~福光駅~金沢大学中央~金沢駅」のルートで本格運行に移行し(従来の国道304号経由の路線は2016年9月限りで廃止)、2022年6月現在は1日6往復運行中です。
http://www.kaetsunou.co.jp/regular/nanto-kanazawa/
つまり、南砺市と金沢市を結ぶバスは、7年間をかけて新旧交代を果たすわけですね。