南海電鉄は2024/8/9付で、和歌山県白浜町に本社をおき路線バス・高速バス・貸切バス事業を営む「明光バス」を2024/10/1付で南海電鉄の子会社とすることを発表しました。南海電鉄は現時点でも同社の株式の17.6%を保有していますが、2024/10/1以降は出資比率が72.9%となります。
https://www.nankai.co.jp/lib/company/news/pdf/240809.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF097WX0Z00C24A8000000/
明光バスは現時点では近鉄グループですが、グループとして保有する同社の全株式を南海電鉄に譲渡するので、資本関係は一切なくなります。
https://files.microcms-assets.io/assets/b5bb8ced8fa1487390ad071605410061/74d050c91d4443dc8cc6b0313fa3e06c/20240809hd3.pdf (近鉄グループホールディングス社の2024/8/9付リリース)
ただ、双方のリリース文に両グループが「和歌山県、奈良県及び三重県にまたがる紀伊半島エリアにおける観光事業機会の創出・強化を念頭に、両者間のさらなる連携の実現に向けて取り組んでまいります」という文言があり、事業面では今後も近鉄グループとの関係が継続することでしょう。
ちなみに、日本独自の経営モデルである「鉄道会社を核としバス・タクシー・流通・不動産・観光など各種事業を展開する企業グループ」がもっとも躍動していた昭和30~40年代には、紀伊半島において主に交通・観光の分野で南海と近鉄のせめぎあいが見られました。明光バスはもともと南紀白浜の観光振興に心血を注いだ小竹岩楠が創業した独立系の会社でしたが、両社が自社陣営に加えようと競合した結果最終的に近鉄傘下になったものの、南海電鉄もその過程で買収した株式を手放さず現在に至っています。
また、2024/8/6付ブログ記事「南紀白浜空港の超立派なロビーラウンジレポート(前)」で触れたとおり、明光バスの車両の一部は近鉄バスのお下がりを色を塗り替えずにそのまま使用しています。今後は、「南海バスのお下がりを色を塗り替えずにそのまま使用」することになるのでしょうか?