北海道の函館市周辺や渡島半島一円で路線バスを運行する函館バスは、2024/12/1に長距離路線を中心とする運賃の大幅値上げを実施します。
http://www.hakobus.co.jp/files/2024/1201_unchinhenko/20241002_release_unchin.pdf
このたびの運賃変更は、すでに認可を受けた上限運賃の範囲内での変更となります。とありますが、その割には値上げ幅が大きく、中には2倍を超える区間もあります。これは、認可された賃率に対し以下の理由で政策的に運賃を抑制していた区間について、正規の賃率に近い運賃に設定し直すもので、いわば「安すぎる運賃の是正」です。
1.鉄道線と並行する区間
2.鉄道線が廃止された区間の代替バス
3.鉄道線が廃止された区間と競合関係にあったバス
リリース文にない路線の新運賃も公式サイトで公開されたのを機に、解説します。
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1.鉄道線と並行する区間
函館駅前~森駅前~八雲駅前~長万部駅前間の路線(1日4往復)の場合、並行するJR函館本線を意識して中長距離区間の運賃を抑制していましたが、JRの相次ぐ値上げにより函館バスのほうがすっかり割安になってしまっていたのを是正します。
・函館駅前~森駅前間=920円→1600円(JR1130円)
・函館駅前~八雲駅前=1650円→2500円(JR1890円)
・函館駅前~長万部駅前間=1900円→3500円(JR2420円)
函館駅前~木古内駅前~知内出張所間の路線も、並行する道南いさりび鉄道<もとJR江差線で、北海道新幹線函館開業に伴い第三セクターに転換>よりも割安な運賃を是正します。
・函館駅前~知内出張所間=950円→1900円 ※木古内~知内出張所間は鉄道と並行しない
・函館駅前~木古内駅前間=820円→1700円(鉄道1170円)
・五稜郭駅前~木古内駅前間=820円→1600円(鉄道980円)
一方、函館駅前~新函館北斗駅前間の場合、並行するJR函館本線の運賃は440円なのに対しバスは720円とすでに割高ですが、25%アップの900円となります。これでも他の路線に比べ割安な設定になっていたからです。
2.鉄道線が廃止された区間の代替バス
(1) 木古内駅前から福島・松前方面の路線
国鉄分割民営化の直前に廃止された赤字ローカル線・松前線の廃止代替バスに相当しており、その際に低廉に設定した運賃を以下のように是正します。
・木古内駅前~知内元町間=390円→500円
・木古内駅前~福島間=890円→1350円
・木古内駅前~松城<松前町の中心部>間=1300円→2000円
(2) 木古内駅前から江差方面の路線
2014年に廃止された赤字ローカル線・江差線の廃止代替バスに相当しており、その際に低廉に設定した運賃を以下のように是正します。
・木古内駅前~湯ノ岱間=850円→1100円
・木古内駅前~佐中橋<上ノ国町役場の最寄り>間=970円→1600円
・木古内駅前~中歌町<江差町役場の最寄り>間=1250円→1900円
(3) 長万部から今金・北檜山・瀬棚方面の路線
国鉄分割民営化の直前に廃止された赤字ローカル線・瀬棚線の廃止代替バスに相当しており、その際に低廉に設定した運賃を以下のように是正します。
・長万部駅前~今金間=1100円→1700円
・長万部駅前~北檜山間=1300円→1900円
・長万部駅前~上三本杉間=1450円→2100円
・今金~北檜山間=390円→550円
3.鉄道線が廃止された区間と競合関係にあったバス
(1) 函館から江差方面の路線
途中経由地は旧江差線と全く異なりますが、函館~江差間では競合していた関係で非並行区間も含め低廉に設定した運賃を以下のように是正します。
・函館駅前~厚沢部間=1750円→2000円
・函館駅前~柳崎<乙部・熊石方面への乗換地点>間=1850円→2300円
※柳崎~乙部・柳崎~熊石間の運賃はそれぞれ370円・1300円で変わらず
・函館駅前~中歌町<江差町役場の最寄り>間=1900円→2500円
(2) 函館から今金・北檜山・瀬棚方面の路線
かつては函館本線と瀬棚線を乗り継いで鉄道で行けた関係で低廉に設定した運賃を以下のように是正します。
・函館駅前~今金間=2400円→3900円
・函館駅前~北檜山間=2600円→4200円
・函館駅前~上三本杉間=2750円→4500円