2024/1/12付ブログ記事「終点の1つ手前で降りると970円→終点で降りると200円という謎の?バス」の続報です。
この路線(福井鉄道バスの白木線)に実際に乗車してきましたので、報告します。運賃表はこちら
敦賀駅前で発車を待つ白木線バス。
僅かな乗客を乗せて敦賀駅を発車し、市街地を延々と走ります。23分経過した国立病院バス停でも運賃はまだ200円でしたが、自治体の境界を越えた北田口バス停で運賃は一気に200円から一気に540円に跳ね上がりました。その先は終点の手前まで美浜町内なので、運賃は軽やかにアップしていきます。
北田口から先は、敦賀半島の西側の若狭湾に面した風光明媚な道を北上していく・・・と思いきや、立派なバイパストンネルに突入し、それが何本も続きます。一般に路線バスはバイパスができても集落のある(=乗客のニーズがある)旧道を通ることが多いのですが、ここでは、旧道の道幅が決して狭くないにもかかわらずずっとバイパス経由で、半島西側では最大の集落となる菅浜についても、バス停はバイパス上に設置されていました。
付近のGoogleMapはこちら
この主要地方道佐田竹波敦賀線のバイパスですが、福井県が「原子力災害制圧道路」として整備したもので、2012年度の事業開始から8年で全区間開通しています。
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/douken/gensiryokuseiatudouro/seiatsudouro.html
バイパスが終わり、ようやく海岸沿いに出ます。「ダイヤ浜」というバス停がありますが、ここは大阪のタクシー会社「日本タクシー」を中核とする企業グループが開発した海水浴場です。しかし近年は海水浴客の減少や施設の老朽化で営業規模を縮小しており(参考=日本タクシーグループの北港観光バスのサイト内に残る2019年夏の営業案内)、2020年度以降は営業していないようです。
その次の「水晶浜」バス停の前には規模が大きく広大な駐車場を持つ水晶浜海水浴場があり、こちらは2023年夏も普通に営業していたようです。
そうこうするうちに、海の向こうに美浜原子力発電所が見えてきました。指呼の先に見える現役の原子炉はなかなかの迫力です。
バスは寄り道する形で丹生の集落に入ります。ここの住民は毎日すぐ間近に原子炉を見ながら生活しています。
漁港のはずれでUターンして改めて白木を目指します。その時点の運賃表はこちら。
しかし、トンネルを抜けて敦賀市に入ると、運賃表は妙ちくりんな表示になりました(「白木もんじゅ前」は終点の1つ手前のバス停)・・・ 隣の集落までバスに乗るよりも、遥か彼方の敦賀駅まで乗る方が運賃が安いわけです。
終点の白木バス停に佇むバス。砂浜の向こうに見えるのは廃炉作業中の高速増殖炉「もんじゅ」です。
この白木の集落は、やはり「原子力災害制圧道路」として整備され2020年3月に開通した延長3863mの敦賀半島トンネルができるまでは、陸路ではいったん隣の美浜町内を経由しなければ敦賀市の中心部や他の市内の集落に行くことはできず、小中学生も美浜町立の学校に通っていました。