竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

北朝鮮とイスラエルの重み

2006年07月16日 | Weblog

国連・安全保障理事会での北朝鮮決議が全会一致で採択された。

この決議は北朝鮮にミサイル発射実験の即時停止を求め、6カ国協議への無条件・即時復帰を促している。一方、加盟国に北朝鮮へのミサイル開発技術の移転阻止などを要請している。日米が求めた国連憲章第7条に基づく制裁という内容は削除された。

制裁条項は削除されたが、日米首脳とも全会一致は意味あることとして、この決議を評価し、拉致被害者の会の横田さんらも一定の評価をしたと伝えられている。

北朝鮮は、それでも決議には従わない・・といっている模様だが、国連憲章第7条に基づく制裁に「拒否権」を発動しても反対するとした中国とロシアがなぜそう主張したのかは、日本のマスコミにはあまり流されていない。

7月15日付け日経新聞の「金総書記が中国首相にメッセージか」という記事の中で、トウカセン国務委員が訪中中の中馬弘毅行政改革担当相に「七章への言及は受け入れられない。最後は軍事的手段に行き着くからだ」と語ったとの内容がわずかにあった。

中ロの説得には何も成果がなかったと報道される中で、北朝鮮側からは何らかの反応が届けられていたことをうかがい知ることができる。ただし、その内容はまだ明らかにされていない模様だ。

「最後に軍事的手段に行き着くからだ」という中国首脳の言葉は重い。

イラクで徹底的な破壊と殺戮を行った米軍にとって、舞台が中東から東アジアに移るだけかもしれないが、アメリカによる制裁の発動は日本が戦場になることを意味するからだ。

北朝鮮を攻撃するミサイルや出撃する部隊は、すべて日本の米軍基地内にある。北朝鮮が攻撃するのは、日本の米軍基地。その数百メートル離れないところに住宅街があることは、沖縄や厚木や岩国に行ったことがある人ならすぐわかる。

これは現実なのである。安倍氏や麻生氏は、そういう現実感覚を持っているのだろうか。

韓国も中国もロシアも東アジアの一員として、この最悪の事態を避けたいのは当然である。アメリカの制裁に反旗を翻せば、ミサイルはそちらに飛ぶこともあるからだ。

そんな事態は武器商人は喜ばせるかもしれないが、日用品や農産品など普通の経済活動を行っている企業にとっても大打撃である。こんなことも安倍氏や麻生氏はわからないのだろうか?

日本のマスコミで、制裁とはそういうことも覚悟してやるのですよ・・という議論を展開したところが1社でもあっただろうか?こういうのを、本当の「平和ボケ」というのかも知れない。

テポドンとスペースシャトルが打ち上げ競争を競っていた7月5日、中東ではイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への侵攻と隣国レバノンへの侵攻がはじまっていた。日本では、こちらのニュースはほとんど報じられていなかった。

やっと最近になって、レバノンのベイルート空港が爆撃されるにいたって、これは大変なことだ・・という報道もはじまったが、この始まりは6月22日に遡る。そのときにはイスラエル首相とパレスチナ・アッバス議長の1年ぶりの会談と、和平は一気に進むかという気配さえ見えていたのだ。

ところが6月25日、ガザ地区でパレスチナ武装勢力なるものがイスラエル兵と交戦し二人を殺害、一人を拉致して、イスラエルに拘束されている人の解放などを要求する。まがりなりにも和平へと進んでいる状況で、この行為はまったく解せない。和平を破壊しようという行為としか見えない。

これに対しイスラエル軍はガザ地区に侵攻し、6月27日、完全封鎖する。

奇妙なことだが、同日、パレスチナの政権党であるハマスが「イスラエルの生存権への同意」を行っている。まるで、ガザ地区で立てこもっている武装勢力は、関係のない跳ね上がりで、むしろアッバス首相の和平路線を入れてイスラエルとの対話の準備をするかのように。

ところがイスラエル軍は、ガザ地区の空爆を開始し、さらに6月29日、ハマスの閣僚を大量拘束、30日には内務省も空爆する。7月2日には首相府も空爆である。イスラエルは武装勢力ではなく、ハマスを明確に標的にして攻撃を開始したのである。

これに対し、国際社会は、イスラエルに対し国連人権理事会での非難決議を7月6日に上げている。これも日本ではほとんど報道されていない。安全保障理事会では、例によってアメリカが拒否権を発動するから決議は上げられないのである。

イスラエルはこれを無視し、(むしろ軍部の独走なのかもしれないが・・)、7月12日にレバノンに侵攻し、13日にはベイルート空港を空爆した。

そして石油が再び高騰をはじめ、株価が下落し、世界経済がゆれはじめた・・。

レバノン侵攻では4日間で100人の死者が出ている。もちろんほとんどが一般人である。戦闘員ではない。

イスラエルの論理の理解できないことは、国家の安全のためには他国の一般人も平気で犠牲にして良い・・というに等しい作戦行動をとることである。それが、国連安保理では一度も非難されない。もちろん制裁も加えられない。こんなことがまかり通っているうちに、すぐに軍事力に訴えれば良いかのような意識が育ってしまったのでは・・と感じてしまう。

ここを変えないと、中東の和平はやってこないだろう。

ミサイルを7発撃ったが一人も殺してはいない北朝鮮(過去の拉致問題は別として)、民間人を含めた無差別攻撃で4日間で100人(パレスチナ側も入れればもっと)を殺したイスラエル、まず真っ先に国連安保理で非難されなければいけないのは、いったいどっちだろう。

いまさらだが、今日の国連決議に世界のゆがみを感じてしまう。

 



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