竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

原発が招いた電力危機・続編

2007年08月26日 | Weblog

昨日書き忘れたことがあったので、電力危機の続編です。先週、NHKで、電力危機対策を報道する番組を見ました。でも、どう考えても対策になっていないのです。取材方法が悪いのか、それとも電力会社自身がピンボケなのか・・。

その1。東京電力が節電を心がけていると、お昼休みにオフィスが真っ暗になる・・の様子を放送していました。でも、よく考えてみてください。電力ピークは「必ず」13時から15時の間あたりに来ます。12時から13時に電気消しても意味ないのです。

この省エネ策は、むしろ施設全体の電力消費を減らすための対策です。少しでも無駄な時間には電気を使わないという。そして、この対策は、別に今回の電力危機ではじまったものではなく、かなり以前から東京電力も首都圏の主要な会社のオフィスも実施しています。

東京電力を少しヨイショするならば、もう10年も前から丸の内地区の省エネ・ゴミゼロに東京電力は地域を巻き込みながら積極的に取り組んでいるはずです。(詳細データに当たっていませんので不正確です。)少なくとも、このお昼消灯はその一貫としてはじまっているはず。NHKの取材はいかにもピンボケですし、主旨ともずれています。

その2。経済産業省で夜の8時に消灯。これを電力危機対策として紹介。もうお判りですね。夜の8時なんてピーク電力対策と何の関係もありません。

ピーク電力とはその日の最大電力で、その日に電力供給できる発電所をフル動員して対応します。電力需要は朝8時頃から上がりはじめ、お昼にいったん下がって、13時に再び急激に上がりはじめ、午後2時から3時くらいに最大電力を記録、夕方に向けて今度は下がりはじめます。

暑さ寒さではなく、工場やオフィスの営業パターンをそのまま反映しているのです。この時間、一般家庭はお留守とか、少人数ということが多いので、ピークはうちません。一般家庭のピークは夜にやってきます。つまり電力需要のピーク=発電所をフル動員しても足りなくなる「電力危機」=大停電の可能性は、ひとえに産業界が原因です。

経済産業省も、夜8時からの消灯が電力危機対策だといっているのだったら、まったく対策がわかっていないお話にならない役所・・ということになります。

その3。一般家庭でテレビを消してください・・といったって焼け石に水。きちんと産業界をコントロールすることが必要なのです。ところが電力会社は、需要があるなら供給しなければならない(電気事業法で「供給義務」が課せられている)と、ひたすら発電所を、それもほとんど原子力発電所を作り続けてきたのです。

2002年の配管ひび割れ問題で、日本中の原発が一斉に止まった年は、原発依存がもたらした最初の電力危機でした。このときは、自動車会社やビール会社などの大企業に、夏休みをずらしてとるとか、夏場の生産を減らすとか、電力会社も経済産業省も必死で求めて何とか乗り切りました。

実際には冷夏に助けられて、昨日書いた伝家の宝刀「需給調整契約」の顧客の停電などという事態を経験しませんでした。だから今回、東京電力は甘く考えたのではないでしょうか?産業界への要求が中途半端のような気がします。

電力危機対策は、13時から15時、産業界のオフィスビルや工場が電気を止めることが一番です。ある会社は昼休みを2時まで長く取る。そしてある会社は3時から30分の休憩、別の会社は3時30分から30分の休憩・・というように、輪番制でのピークカットを行うか、あるいは午前中を13時までとし、13時から15時までを昼休みとする。その分、夜は1時間延長する。これだけで、じつは電力危機は乗り切れるのです。

経済産業省も東京電力も、その努力もしないで、毎日ひやひやの綱渡りをしています。大停電を引き起こす方が、産業界に大打撃を与えるのに・・。

東京電力の唯一の効果的な方法はCMで流している「電気予報」のみ。じつは、これ、そのネーミングも構想も含めて私が10年くらい前の株主総会で提案したものです。そのときは否決しておいて、いつの間にか採用しているわけです。私に、ひとことのご挨拶もなければ、ましてや企画構想へのお礼も一切ありません。

まあ、それがいま役に立っているということは、大変嬉しいことですが。

 



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1 コメント

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電力危機の本質はという視点で (「太陽光・風力発電トラスト」運営委員、中川です。)
2007-08-28 08:56:20
電力の自由化が止まって甘利が続投して、でも何ら830万kWの電源が喪失した問題の本質をちゃんと問う奴もいなくて・・・。呆れますな。
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