連日暑い日が続いています。お盆休みに熱中症気味となり、おしっこが3日間でなくて鍼治療に行くと、膀胱と腎臓がまったく動いていないと言われ、両足に熱ーいお灸をすえられて、腎臓も膀胱も、胃腸も肝臓もどうやら復活しました。偉大なり東洋医学です。私は身体の危機を脱しましたが、日本は電力危機がまだ続いているようです。
連日の猛暑、これが地球温暖化現象の一貫であることは、もはや疑っている人はいないでしょう。地球の平均気温は毎年上がり続けています。これに伴いオーストラリアやヨーロッパ南部での乾燥(砂漠化)、日本やアメリカでは台風やハリケーンなど熱帯性低気圧の多発と強大化、そして日本だけでなく中国や北朝鮮を襲っている集中豪雨。さらに北極では海氷が最大規模でとけ、南極の棚氷も解けて海に流れ出しています。日本の猛暑も、そういう現象の中の一つとして起こってきているのです。
したがって今年限りのことではありません。来年もまた来年も、さらに激しさを増して続いていきます。この地球温暖化対策として、化石燃料つまり石油や石炭を使わないことが対策として叫ばれています。代替エネルギーは世界の趨勢は自然エネルギーです。全エネルギー供給に対する自然エネルギーの割合を、EUは2010年に10%、イギリスは2015年に15%、ドイツは2020年に20%というように、意欲的な目標を掲げその達成のための制度・政策形成を行っています。
日本はというと2010年に1.35%。そして、地球温暖化対策の目標達成(6%)のうち2%近くを原発でやろうとしていました。世界中のどこも、こんな無謀な計画は立てていません。一つには原発は建設するまでに時間がかかります(最低10年)。緊急性を要するCO2削減策としてはのんびりしすぎています。アメリカでも原発建設が再開されたというニュースが流されていますが、地球温暖化対策というよりは、老朽化して停止を余儀なくされている多くの原発のリプレイス(置き換え)がせいぜいだろうと思われます。
事故の危険性や毒性の強い放射性廃棄物の発生、その管理には何千年、何万年という持続が求められます。リスクが大きすぎるのです。それでも、原発がないと「電気が止まる」と脅されてきました。
そして新潟の中越沖地震です。これは柏崎刈羽原発の直下で起きた地震です。原発の建屋の下で活断層が動いた。隆起もしたという大変な事態です。よく、この程度の被害で済んだな・・というのが私の正直な感想です。
先日のNHK討論での東京電力副社長の発言でも、現場は大混乱で、とても冷静に原子力の安全を保つという状態ではなかったことを示しています。なにせ発電所なのに、電気に頼って管理しているのですから、地震で電気の供給が絶たれると、もう何が起こっているかわからないという状況だったようです。
原子力推進側の人たちが言う「多重防護」が効いたという状況ではないようです。想定外の連続で、そもそも考えていないのですから対策など施しているわけがない。この程度の被害におさまったのは「強運」しかないのです。
被害は軽微などと言っていますが、原子炉内は調べるまでもなくずたずた傷だらけであることは容易に想像がつきます。その部品の数がどれだけあるのか、配管の総延長(細管まで含めて)がどれだけあるのか想像を絶します。天文学的な数字です。しかも放射能が満ち満ちている。これを1年や2年で検査できるという人がいたら、もう5000万人の年金保険料の調査が1年でできると口からでまかせを言っている人と同じです。
安全を考えるなら柏崎刈羽原発は当分動かない。電力側の立場でさえ無駄な検査コストを考えるなら、ここで廃炉にして、新しく建て直す方が賢明かもしれません。(私は建て直しなんて認めませんが)
さて、原発がなくなると停電するぞと脅していた、その原発が一斉に止まって、日本のとくに首都圏は本当に大停電の危機に瀕しています。電力会社はこの責任をどう取るのか明らかにしていません。抜かない「伝家の宝刀」の「電力需給調整契約」(緊急時には電力供給を停止することを受け入れる代わりに非常に安価な電気を供給するもの)の顧客に、ついに供給停止を求め10何年ぶりかで、これを抜いたようです。
首都圏の電力ピークは8月21日の2時から3時に6000万kWhを超えて6013万kWhとなったようです。東電の設備だけではこれはまかなえず、他の電力会社からの融通電力や、データ改ざん不正で停止を命じられていた塩原揚水発電所を超法規的に動かすとか、上記の伝家の宝刀を抜くとかでしのいだわけです。
東京電力は最大6222万kWhまでの手当がついていると言っていますが、2001年には過去最大の6430万kWhを記録しています。そのときは柏崎刈羽原発はみんな動いていました。これから、9月頭にかけて、もう一度猛暑がぶり返すとどうなるかわからないわけです。
不思議なのは、ことここに至っても、電力会社が原発一辺倒で多様な電源を用意しなかったことを反省し謝罪しないのかということです。原発は一ヶ所に集中立地し、しかもシステムが同じなので、今回のような災害で一斉に停止しますし、システム欠陥が発見されると、他社の原発が発信源であろうと東京電力の原発まで一斉に止まるのです。エネルギーの安定供給という点では、これほど脆弱な電源は実はないのです。
地球温暖化対策だといって強引に増やしてきて、いま一斉に止まって、最悪の石炭火力をフル稼働させています。今年の株主総会での株主提案のさい、私は東電が原発に頼ってCO2排出係数が低くなっていることを自慢していることを挙げ、片方で原発のリスクをかかえていることをキモに銘じよと発言したのですが、まさに言った通りになりました。
CO2排出係数が0.368になり、他社より少なくなったと威張っていたわけですが、これで一気に0.555(環境省平均値)を超えるレベルに跳ね上がるでしょう。自分たちの誤った方針に、早く目をさまし、リスクを分散し、災害にも強い分散型の自然エネルギー活用の道に早く気がついてほしいものと思います。
ちなみに小水力発電や地熱発電を本気で開発すれば、日本は化石燃料なしでも全エネルギーをまかなえるほどの「資源」を持っている。太陽光発電は、日本の日の当たる屋根の4分の1に太陽光発電パネルを敷きつめれば、先ほどの首都圏だけでなく、全国のピーク電力1億8000万kWhを太陽光発電だけでまかなえるというのはNEDOの試算である。
答えは出ているのに、頑迷な電力会社が日本を危機に導いてきたのである。
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