イージーパワー設立
前のブログで少し触れました通り、この4月に新会社をたちあげました。
「イージーパワー株式会社」という名前です。再生可能エネルギーの発電事業および発電事業のサポートが事業の内容になります。
山梨、千葉で太陽光発電事業を開始することを決めていて、いま資金調達の最中です。
ささやかですが、合計して250kWを超える太陽光発電からスタートします。
新会社は新宿御苑が窓から見える絶好のロケーションの部屋となりました。
桜の頃の写真を冒頭で示しました。
こちらも窓からの景色です。
さて、エナジーグリーン株式会社は「グリーン電力証書」の専業として営業を継続します。
こちらの副社長も兼務で続けております。
さらに今準備中が、電力小売会社。この6月にも立上げ予定です。
ただ、電力小売会社は、いまだに制度・ルールが不確定です。電力広域的系統運営機関が、この4月に立ち上がりましたが、系統運用の詳細ルールはまだ政府の審議会で議論中。あまりにも政策リスクが大きくて、小さな会社が荒波を乗り越えて行けるか、ほんとうに大冒険です。
その荒波の状況を、少しご紹介しましょう。
昨年の秋からの、系統(送電線)への再生可能エネルギー(主には太陽光発電)の接続保留問題は、昨年末に一定期間内の「抑制」(送電線からの接続を切ること)を条件に接続を認めるという形で決着をさせられました。
そのどさくさに紛れて行われたのは「指定電気事業者」の拡大という措置です。
これは「抑制」を無制限無補償(一定期間だけじゃない)で行うことができる「一般電気事業」(東京電力や関西電力など10社)のことで、これまで特例として北海道電力だけだったものを、九州電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力を加えた7社に拡大するというものでした。
これらの電力管内では、設備を設置し、系統接続ができても、365日電気は売れないかも知れない・・という可能性を出現させたということになります。
実際には需給バランスの中で抑制の判断は行われますので、ほぼ抑制などかからないと思われますが・・、不安な事業者はリスク回避のため事業計画を断念しますし、強気でも金融機関融資が得られないという状態になっています。
さて、その次に行われているのが電力システム改革がらみの驚くべき再生可能エネルギーへの攻撃とも思える議論です。
経産省(資源エネルギー庁)は総合資源エネルギー調査会の下に、数多くの電力システムがらみ、エネルギーがらみの分科会、小委員会、ワーキングを作っています。
すべてが連関しているはずなので、きちんと連携した審議を行うべきであるのに、それぞれがテリトリーを制限し、その中でだけの狭い情報、小さな議論をして、逆にその結論が、他の委員会等を規定するという不思議な状況です。
その中で、基本政策分科会の下の電力システム改革小委のさらに下の「制度設計ワーキング」というところが、「FIT電源からの電気は再生可能エネルギーであると表示することはまかりならぬ」という判断を示しました。
この理屈は、再生可能エネルギーとしても価値は、FITの賦課金を負担している全消費者に賦課金の対価として「渡されている」のであり、もう一度再生可能エネルギーの電気であると宣伝するのは「価値の二重使用」であるというもの。
私たちは消費者として、確かに「再生可能エネルギー賦課金」を負担していますが、その価値を使用しているという自覚はありませんが・・。
これは、まだ確定ではありませんが、ワーキングの中でこれに反対する委員は少数であり、そのまま決められる可能性が高いと思われています。
再生可能エネルギーの電気を、新電力がプレミア料金で買取ったりすることに意味がなくなりますし、再エネ100%の新電力などといううたい文句も使えず、消費者が再エネ電気を選択しようとしても、情報が与えられない・・ということになるかも知れません。
さらに今度は新エネルギー小委員会の買取制度運用ワーキングで、再生可能エネルギーの「回避可能費用」の算定方法の見直しという議論が出てきました。
どうも根本的な誤りは、インバランスコスト(需給のアンバランスを調整する費用)は、本来発電する側が負担すべきだという思想のようです。この考えを取る限り、再生可能エネルギーは「負担の大きい電源」となります。
ドイツやスペインや、再エネ先進各国では、このコスト負担は系統運用者がするのが当然ということではないでしょうか?
そして、その調整費用も含めて「賦課金」として、消費者全員に負担を分配するということです。
これまでの日本では、PPS(小売側)が、供給計画通りに行かない場合はインバランスコストを負担させられていました。
今回、電力システム改革の中で、新電力(小売側)はインバランスコスト負担を回避できることになりました。(特例供給2)
「調整は系統運用者」という考え方が出てきたのですが、代わりに発電側に負担を求めるという、理不尽な結論となっています。
しかも、その負担を「すべての再エネ発電者」(家庭用太陽光まで)求めようという考え方のようです。
結局「系統運用者」はコストを負担しないわけで、リスクを回避したい発電者は、小売会社側がインバランスリスクを取ってくれる「特例供給1」を選択して、「調整力」(大きな化石燃料の発電所)を多く持っている現在の一般電気事業者(東京電力など)と契約するしかないという追い込み方です。
新電力から再エネ電気を買おうとする消費者の選択権を、事実上つぶそうというわけでしょう。
その上で、FIT価格との差額を算出するための「回避可能費用」は「スポット市場」もしくは「1時間前市場」の価格とするという考え方が示されています。
これまでの「回避可能費用」は、石油の炊き減らし費用ベースで、いわば最低レベルだったのですが、それを需給調整価格(おそらく最高レベル価格)に変えようということでしょうか。
この議論は、また別の小委員会でとなっているので、定かではないが、これでは電力小売側がまったく事業計画を作れなくなる恐れがあります。
そしてきわめつけが、基本政策分科会の長期エネルギー需給見通小委員の「エネルギーミックス骨子案」
この4月28日に小委員会で示されました。
原発比率をどうするか、再生可能エネルギー比率をどうするか、そして地球温暖化対策のCO2削減目標をどうするか・・ということがテーマです。
この4月28日に、原発20~22%、再エネ22~24%、LNG27%、石炭26%、石油3%という骨子案が公表されました。
再エネには水力が9%程度含まれ、この大部分は大型ダムと思われますので、これを除いた再エネ割合は13~15%程度となります。
原発を20%以上にするには、現在停止している原発を(廃炉が決定したものを除き)すべて再稼働し、なおかつ60年運転延長し、さらに建設中の3基(大間、東電東通1、中国島根3)も運転開始に持ち込まないと達成不可能な数字です。
実質15%程度の再エネ目標は、諸外国と比べてずいぶん見劣りのするものです。
そこで、多くの団体が、再エネ目標が低すぎる、原発数値は非現実的、結局石炭に頼ってCO2激増になる・・などの批判的声明を出しています。
これほど重要な政策決定はパブコメにかけられるのが通常ですが、下記のように「意見箱」なるものが置かれていて、もしかすると、これをパブコメに変えるかも知れないという情報もあります。
そこで、ともかくも「意見箱に意見を出そう!」と呼びかけることになりました。
正式にパブコメがかけられれば、同じ意見をもう一度パブコメに出していただいても構いません。
まずは、この連休中に、下記「意見箱」にたくさんの意見を送っていただきたいと思います。
骨子案等は、意見箱のページからリンクができるようになっています。
長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱
http://www.enecho.meti.go.jp/notice/topics/031/
ほんとうに、再生可能エネルギーを取り巻く状況は激しく動いています。
そのほんとうの理由は、このまま電力システム改革が進み、発送電分離等に進んで行けば、必ず再生可能エネルギー、とくに風力発電が、原発はもちろんのこと天然ガスや石炭とも置き換わって行くであろうという、既存電力会社(膨大な設備を保有していて、それが無駄になる)の危機感であろうと思います。
そんなバカな・・といわれる方は、そのあたりを今月5日発売の月刊「自治研」に書きましたので、あわせてお読みいただけると幸いです。
では、本日はひとまず。
前のブログで少し触れました通り、この4月に新会社をたちあげました。
「イージーパワー株式会社」という名前です。再生可能エネルギーの発電事業および発電事業のサポートが事業の内容になります。
山梨、千葉で太陽光発電事業を開始することを決めていて、いま資金調達の最中です。
ささやかですが、合計して250kWを超える太陽光発電からスタートします。
新会社は新宿御苑が窓から見える絶好のロケーションの部屋となりました。
桜の頃の写真を冒頭で示しました。
こちらも窓からの景色です。
さて、エナジーグリーン株式会社は「グリーン電力証書」の専業として営業を継続します。
こちらの副社長も兼務で続けております。
さらに今準備中が、電力小売会社。この6月にも立上げ予定です。
ただ、電力小売会社は、いまだに制度・ルールが不確定です。電力広域的系統運営機関が、この4月に立ち上がりましたが、系統運用の詳細ルールはまだ政府の審議会で議論中。あまりにも政策リスクが大きくて、小さな会社が荒波を乗り越えて行けるか、ほんとうに大冒険です。
その荒波の状況を、少しご紹介しましょう。
昨年の秋からの、系統(送電線)への再生可能エネルギー(主には太陽光発電)の接続保留問題は、昨年末に一定期間内の「抑制」(送電線からの接続を切ること)を条件に接続を認めるという形で決着をさせられました。
そのどさくさに紛れて行われたのは「指定電気事業者」の拡大という措置です。
これは「抑制」を無制限無補償(一定期間だけじゃない)で行うことができる「一般電気事業」(東京電力や関西電力など10社)のことで、これまで特例として北海道電力だけだったものを、九州電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力を加えた7社に拡大するというものでした。
これらの電力管内では、設備を設置し、系統接続ができても、365日電気は売れないかも知れない・・という可能性を出現させたということになります。
実際には需給バランスの中で抑制の判断は行われますので、ほぼ抑制などかからないと思われますが・・、不安な事業者はリスク回避のため事業計画を断念しますし、強気でも金融機関融資が得られないという状態になっています。
さて、その次に行われているのが電力システム改革がらみの驚くべき再生可能エネルギーへの攻撃とも思える議論です。
経産省(資源エネルギー庁)は総合資源エネルギー調査会の下に、数多くの電力システムがらみ、エネルギーがらみの分科会、小委員会、ワーキングを作っています。
すべてが連関しているはずなので、きちんと連携した審議を行うべきであるのに、それぞれがテリトリーを制限し、その中でだけの狭い情報、小さな議論をして、逆にその結論が、他の委員会等を規定するという不思議な状況です。
その中で、基本政策分科会の下の電力システム改革小委のさらに下の「制度設計ワーキング」というところが、「FIT電源からの電気は再生可能エネルギーであると表示することはまかりならぬ」という判断を示しました。
この理屈は、再生可能エネルギーとしても価値は、FITの賦課金を負担している全消費者に賦課金の対価として「渡されている」のであり、もう一度再生可能エネルギーの電気であると宣伝するのは「価値の二重使用」であるというもの。
私たちは消費者として、確かに「再生可能エネルギー賦課金」を負担していますが、その価値を使用しているという自覚はありませんが・・。
これは、まだ確定ではありませんが、ワーキングの中でこれに反対する委員は少数であり、そのまま決められる可能性が高いと思われています。
再生可能エネルギーの電気を、新電力がプレミア料金で買取ったりすることに意味がなくなりますし、再エネ100%の新電力などといううたい文句も使えず、消費者が再エネ電気を選択しようとしても、情報が与えられない・・ということになるかも知れません。
さらに今度は新エネルギー小委員会の買取制度運用ワーキングで、再生可能エネルギーの「回避可能費用」の算定方法の見直しという議論が出てきました。
どうも根本的な誤りは、インバランスコスト(需給のアンバランスを調整する費用)は、本来発電する側が負担すべきだという思想のようです。この考えを取る限り、再生可能エネルギーは「負担の大きい電源」となります。
ドイツやスペインや、再エネ先進各国では、このコスト負担は系統運用者がするのが当然ということではないでしょうか?
そして、その調整費用も含めて「賦課金」として、消費者全員に負担を分配するということです。
これまでの日本では、PPS(小売側)が、供給計画通りに行かない場合はインバランスコストを負担させられていました。
今回、電力システム改革の中で、新電力(小売側)はインバランスコスト負担を回避できることになりました。(特例供給2)
「調整は系統運用者」という考え方が出てきたのですが、代わりに発電側に負担を求めるという、理不尽な結論となっています。
しかも、その負担を「すべての再エネ発電者」(家庭用太陽光まで)求めようという考え方のようです。
結局「系統運用者」はコストを負担しないわけで、リスクを回避したい発電者は、小売会社側がインバランスリスクを取ってくれる「特例供給1」を選択して、「調整力」(大きな化石燃料の発電所)を多く持っている現在の一般電気事業者(東京電力など)と契約するしかないという追い込み方です。
新電力から再エネ電気を買おうとする消費者の選択権を、事実上つぶそうというわけでしょう。
その上で、FIT価格との差額を算出するための「回避可能費用」は「スポット市場」もしくは「1時間前市場」の価格とするという考え方が示されています。
これまでの「回避可能費用」は、石油の炊き減らし費用ベースで、いわば最低レベルだったのですが、それを需給調整価格(おそらく最高レベル価格)に変えようということでしょうか。
この議論は、また別の小委員会でとなっているので、定かではないが、これでは電力小売側がまったく事業計画を作れなくなる恐れがあります。
そしてきわめつけが、基本政策分科会の長期エネルギー需給見通小委員の「エネルギーミックス骨子案」
この4月28日に小委員会で示されました。
原発比率をどうするか、再生可能エネルギー比率をどうするか、そして地球温暖化対策のCO2削減目標をどうするか・・ということがテーマです。
この4月28日に、原発20~22%、再エネ22~24%、LNG27%、石炭26%、石油3%という骨子案が公表されました。
再エネには水力が9%程度含まれ、この大部分は大型ダムと思われますので、これを除いた再エネ割合は13~15%程度となります。
原発を20%以上にするには、現在停止している原発を(廃炉が決定したものを除き)すべて再稼働し、なおかつ60年運転延長し、さらに建設中の3基(大間、東電東通1、中国島根3)も運転開始に持ち込まないと達成不可能な数字です。
実質15%程度の再エネ目標は、諸外国と比べてずいぶん見劣りのするものです。
そこで、多くの団体が、再エネ目標が低すぎる、原発数値は非現実的、結局石炭に頼ってCO2激増になる・・などの批判的声明を出しています。
これほど重要な政策決定はパブコメにかけられるのが通常ですが、下記のように「意見箱」なるものが置かれていて、もしかすると、これをパブコメに変えるかも知れないという情報もあります。
そこで、ともかくも「意見箱に意見を出そう!」と呼びかけることになりました。
正式にパブコメがかけられれば、同じ意見をもう一度パブコメに出していただいても構いません。
まずは、この連休中に、下記「意見箱」にたくさんの意見を送っていただきたいと思います。
骨子案等は、意見箱のページからリンクができるようになっています。
長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)に関する意見箱
http://www.enecho.meti.go.jp/notice/topics/031/
ほんとうに、再生可能エネルギーを取り巻く状況は激しく動いています。
そのほんとうの理由は、このまま電力システム改革が進み、発送電分離等に進んで行けば、必ず再生可能エネルギー、とくに風力発電が、原発はもちろんのこと天然ガスや石炭とも置き換わって行くであろうという、既存電力会社(膨大な設備を保有していて、それが無駄になる)の危機感であろうと思います。
そんなバカな・・といわれる方は、そのあたりを今月5日発売の月刊「自治研」に書きましたので、あわせてお読みいただけると幸いです。
では、本日はひとまず。
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