竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

2010年「今年の展望」

2010年01月11日 | 政治
さて1月1日の続きです。
今年はどんな年になるのか。僭越ながら「今年の展望」を10のテーマで考えてみました。

1. 自然エネルギーは普及するのか
国内排出量取引や全量全種類FIT(固定価格買取制度)、環境税の実現はあるか。昨年の政権発足から鳩山総理が掲げる、2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年レベルから25%削減するという目標。本気で実現するのなら次年度の税制改正で環境税が入ることは必至。一般消費者にかけるのではなく、電力会社や製鉄会社などに、排出総量に応じてかけるというのが正しい方法。国内排出量取引や全量全種類FITは法案としてはまとめられるが、有効なものとして実現されるまでには、まだ少し時間がかかる。現状では太陽光発電は倍増以上に増えるが、風力発電やバイオマス、地熱などは足踏み。

2. 普天間基地の代替基地への移転はどうなる
ずばりグアム移転が一番可能性が高い。米海兵隊司令官は日米同盟再編の需要な決定事項は「約8000人の海兵隊員の沖縄からグアムへの移転」と述べ、2006年5月の「再編実施のためのロードマップ」には、「約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する」と明記されている。ヘリ部隊だけを沖縄に残すのは、戦略上意味がない。辺野古が唯一の解決策という強弁は、代替の見返りを求めているだけで、ある段階でドラスティックに変わるだろう。アメリカにとっても、グアムがベストの解決策。

3. 上関原発はじめ原発推進の動向
 柏崎刈羽原発は動かそうとするが小トラブルが続発し所詮動かない。若狭湾の老朽原発をはじめ、福島、女川などトラブルが頻発している。浜岡原発(すでに半分は廃炉が決まっている)も地震警戒などなど、まともに動く原発はほとんど無いだろう。玄海原発ではプルサーマルを強硬しているが、必ず事故停止。原発に頼っていると停電危険ということで大きな転機が訪れるだろう。プルサーマルが中止となれば、六ヶ所村の日本原燃再処理工場の本格運転断念となる。すでに度重なるトラブルで何年も営業運転入りの「延期」が続いているが、高レベル放射性廃棄物のガラス固化工程の運転停止の繰り返しはすでに致命的、取り出したプルトニウムの使い道の説明もつかなくなれば、これ以上のコストと被爆を覚悟して再処理に取り組む意味はない。建設強硬の上関(山口県)や大間(青森県)も、おのずと変化がやってくるだろう。

4. 新型インフルエンザは収束するのか
これが一番予測困難。新型インフルの感染者はここ4週連続で減り続けている。といっても、1週間の累計患者数は約100万人。7月からの累計では1753万人である。死者数はウェブ上でもなかなか情報が見つけられないが、150人を超えていると見られる。(1月3日に奈良県で死亡した幼児が148例目。その後、鳥取、岐阜で死者。)世界での死者は1万2800人くらい。フランスではワクチンが大量に余って政府が責任追及されているかと思うと、ルーマニアでは有名俳優が新型インフルで亡くなり国民がワクチン接種に押しかけているとも。これを収束というべきか、小康状態というべきか。日本でも、タミフルに耐性を持った新型インフルウィルスが30例ほど見つかっている。WHOはまだレベル6を下げてはいない。依然としてパンデミックの状態だ。

5. 大災害の可能性
 これは大地震発生のことを指す。東海地震発生の警戒期間に入ってもう久しい。東南海、南海地震の発生期も重なりトリプル自身の可能性も指摘されている。政権交代期で経済政策や年金福祉政策に頭が集中していて、災害対策に力がまわっていない。往々にしてそんなときに大災害が起こる。1995年の阪神淡路大震災も村山政権が発足して間もない時期に起きた。東海地震は日本の大動脈である東名高速、東海道新幹線の通行停止、浜岡原発の停止、場合によっては放射能災害への対応まで考えておかねばならない。そもそも防災担当の大臣は誰なのか?前原国土交通大臣かな。危機管理対応能力は政権の最も重要な能力であり、対応を誤ると国民の信頼を一気に失う。昨年のブログで、新政権に仕掛けられた4つの時限爆弾として、景気、普天間、年金、新型インフルを上げたが、もう一つこれがあった。

6. 世界、そして日本の景気はよくなるか
残念ながら景気は良くならない。アメリカ経済も、ヨーロッパ経済もどん底である。失業率は両方とも10%を超えた。日本では日本航空問題。どこも経済を支えて来た基幹企業が喘いでいる。それを支えるために公的資金が投入されるが効果は出ない。日本航空は法的整理で良かったと思うが、もっと新規参入を認め空の自由化を図るべきではないのか?日本でも失業率が増え、日航のような年金破綻が増えれば、国内の購買力はどんどん細る。おまけに円高で頼みの輸出はあまり儲からない。良くなる要素はない。
オバマのグリーンニューディールも鳩山25%も、その効力が現れてくるのは来年以降だろう。
 ただ制度設計いかんでは、風力発電やバイオマスなど新たな自然エネルギーや送電網などの周辺設備への投資が増大し、年度後半には景気高揚の兆しが見えるかもしれない。どちらに転ぶかは政策による。

7. 中国、韓国、北朝鮮との関係はどうなるのか
これは普天間基地問題やアフガニスタン攻撃などの日米関係ともからむ。日本がアジア重視でいくのか、アメリカ重視でいくのか、それによって各国の対応も変わるだろう。民主党は明確に中国との連携を重視するという方向性を打ち出している。アメリカにとっては苦々しいだろうが、そのアメリカも日本より中国をアジア外交の中心と考えている。すでに日米で中国と向き合うという時代は消えたのだ。中国近海で日米軍事演習などすべきではない。中国、韓国そしてインド、東南アジアは、今後の日本経済を支える大きな市場である。しかし従来のようにテレビや自動車ではあるまい。環境技術、自然エネルギー技術、耐震技術など、コスト競争ではなく質で競争できるもので進出すべきだろう。彼らにとって確かなものと思えるメリットを供給できてはじめて信頼も成立する。それは北朝鮮に対しても同じである。

8. COP16(気候変動枠組条約)は新合意を生み出せるか
今年は失敗と伝えられたコペンハーゲンでのCOP15だが、枠組みの中にアメリカと中国を立たせることには成功している。確か今年の1月までに各国の対策が出てくることになってもいる。COP16はメキシコシティで今年開催される。COP15は大量の温室効果ガス排出国の中国、インドなどと他の途上国の立場の違いを明確にしたし、20数カ国だけで枠組みを決めることに大多数の国が「ノー」を突きつけ、今後の議論がどのような形で進められるべきかが明確になった。今後の気温上昇を2℃以内に押さえるということも合意されている。国際交渉は大事なときには少しずつ一歩づつ進むことも当然ある。2012年以降の対策を決定するには、まだ1年の猶予もある。京都議定書の弱点であったアメリカと中国の枠組みへの参加、先進国では2020年までに25%以上の削減を目標とするなど、効果ある対策に結実するだろう。

9. 参議院選挙結果と鳩山政権の行方は
今年は7月に参議院選挙がある。この選挙のポイントは民主党が単独で参院の過半数を制するかということだ。今の国民世論はまだ民主党に過半数をとらせようと言うものだ。ただこれから通常国会がはじまる。鳩山総理自身の政治資金問題、小沢幹事長の政治資金と秘書の逮捕、そしてガソリン暫定税率の継続などの公約違反問題など、厳しい追及が待っている。
野党の自民党の追求より、マスコミ等の暴露合戦など、外野席からの追求のほうが厳しいだろう。それらへの対応如何では、乗り切ったとしても国民の信頼を失う恐れもある。普天間問題が辺野古を回避すれば、社民党の得点が上がるだろうし、景気が少しでも回復の兆しを見せれば、亀井大臣の国民新党が株を上げるかもしれない。半年後の国民世論がどうなっているかはまったく見えない。みんなの党や平沼新党、また自民党から別れた第三、第四の新党なども生まれているかもしれない。新党は参議院選では分は悪いのだが。まあ小沢逮捕もあるかもしれないし、何が起こるかは全くわからない。

10. アメリカはどうなるか(経済と軍事)
さてアメリカである。アメリカ経済に好転の兆しは見えない。経済がどん底になっている状態でアフガンへの増派だ。孫崎亨著「日米同盟の正体」によれば、アメリカは米ソ対立が消え去ったとき、経済に重点を移すか、世界最強の軍隊の維持を続けるか、二つの選択肢があったという。アメリカは後者を選んだ。そのためにはソ連に変わる仮想敵が必要で、それがイラン、イラク、北朝鮮であった。世界最強の軍を維持するには、それらの脅威が現実のものだと常に国民に思わせねばならない。
ブッシュ(父)時代からオバマまで、アメリカはこの基本方針を変えていない。アフガニスタンのタリバンとイラクは何の関係もないが、9.11事件後の2002年1月、ブッシュ(子)は一般教書でテロとの戦いの相手を十数カ国に広げ、「ハマスやヒズボラ、イスラム聖戦、ジャイシェ・ムハマドなどのテロリストの地下組織」とその訓練施設を壊滅すると宣言したのだ。この方針を変えない限り、アメリカの全世界での戦闘は終わらない。そしてその軍事費もとてつもない。やがて軍がアメリカを食いつぶす。日本はこんな船に一緒に乗ってはいけない。




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