竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

来年の政治を読む

2007年12月24日 | Weblog

私には今の政治の動きが額面どおりのものとはとても思えません。福田政権成立にあたっては「彼はしたたか」と書きましたし、小沢ー福田会談での大連立構想のときは「小沢の乱心」と書きました。弱みを握られたのだ・・とも。その流れからは与野党の対立、政治的混乱から衆議院解散総選挙というシナリオは見えません。

大連立構想が表向き消されたとはいえ、このときに民主中心の野党政権構想(おそらく共産党は含めていない)という小沢ビジョンも消えたのだと思います。今でも頑張っているではないか・・といわれる方もあるかもしれません。でも、頑張っていたら、テロ特新法の参議院での論議はもっと盛り上がっていたはずです。正直なところ、完全に焦点ぼかしから終息へと民主党は協力しているように見えます。

守屋前次官のゴルフ接待付け問題からはじまった防衛省調達疑惑は確かに小さな問題ではありません。同じ接待疑惑が歴代の防衛庁長官の久間、額賀両氏に波及というのも確かに小さくない問題です。しかし、この法案論議の焦点は、もともと憲法9条の解釈、集団的自衛権の解釈、アフガン攻撃の根拠の正当性(アメリカ同時多発テロへの対応の再検討)、そもそも自衛隊は「貢献」していたのか、そしてやみくもなアメリカ支援の再検討・・というような議論であったはずです。

省庁の調達がらみの汚職問題は防衛省に限らず、他省庁にも蔓延しています。いま話題の止血血液製剤による薬害肝炎を引き起こした厚労省の薬事行政は、キノホルム、クロロキンなどによる薬害をはじめ、あの薬害エイズも引き起こしました。その背景には製薬会社との癒着によるずさんな新薬認可という深い闇があります。これだけ事件を引き起こしながら(国民の生命をずたずたしながら)、その構図はまったく無傷で温存されているのです。

防衛省調達疑惑を言うのなら、これらすべての省庁に蔓延する膿を出すくらいの取り組みが必要なはずです。いかにも防衛省だけが諸悪の根源とでも言うような攻め方は、庶民的なウケは取れるかもしれませんが、ことの本質をえぐれません。

民主党がテロ特新法の参議院審議で本当に行うべきだったのは、この国の安全保障問題の正面からの議論でした。ISAFを持ち出すのなら持ち出せばよい。私が「ホ・ン・ス・ジ」論で書いたのは、まず国民の頭が回転をはじめること、みんなの意識に乗せることでした。これをやれば、民主党内も党内意見の違いや対立が表面化してくるかもしれません。それを避けたのでしょう・・。

民主党は、ISAFには参加しないが、アフガンには自衛隊を派遣という中途半端な「対案」をこの法案にぶつけ、一方で衆議院議決から60日で参院否決とみなすという規程には従順に従って国会の1ヶ月再延長には応じるわけです。だんだん、得意の出来レースになってきたなと思います。

本来はいま、安全保障論議の結果、ガンガンとさまざまな政府法案の問題点が浮き彫りにされ、マスコミの焦点になっていなければなりません。その中で、再延長などもってのほか、この法案は廃案でしょう・・という空気も、参議院の主導権を握っている民主党にはつくれたはずなのです。

そういう空気の中では、与党の公明党はとても再延長と衆議院でのテロ特新法案再議決には乗れなかったでしょう。それでも与党側が再延長と来るなら、参議院審議をどこまででもやるぞと言えば良かったのです。参議院の審議が終わっていないのに、衆議院が勝手に再議、議決をするという構図は国民にどう見えたでしょうか?それこそ、めちゃくちゃな国会運営、めちゃくちゃな与党だな・・ということになり、すでに31%まで落ちてきた福田内閣支持率は10%台まで落ちるかもしれません。

そうなると退陣か解散しかないのです。解散なら政権交代は100%確実でしょう。民主党はそれがわかっているはずなのに、そういう追い込み方をしていないのです。これを民主党の間抜けと見るのか、私が以前に書いたように「密約あり」と考えるかは、皆さんの自由です。

福田内閣は来年の洞爺湖サミットまではどんな支持率になっても続けるつもりでしょう。民主党の牙は抜いてしまったので、何も怖いものがないのです。出来る限り長く続けるでしょう。小沢乱心の記事を書いたとき、民主党の参議院でのテロ特新法審議の仕方で、今後の政治の行方が見えるというような主旨を書いたと思います。まさに表面反対、裏で協力・・という、私が最も危惧した状況になっているようです。

いわばすでに事実上の大連立。民主党は「野党役」のお芝居をしているにすぎない・・というのは言い過ぎでしょうか?この実態にマスコミや多くの人々が気づくのはいつになるのでしょう。

 



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