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第5章 パンドラの箱
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折から 環境保護運動は7年前に出版されたレイチェル・カーソンの
『沈黙の春』に勢いを得て その最盛期に合った。
カーソンは「原始人がこん棒で投打するように荒々しく
化学物質の集中砲火が生命の構造に浴びせられている。
この構造は一方で壊れやすく繊細でありながら
その一方では強靭かつ柔軟で 思いがけない反発力に飛んでいる。
化学物質の利用を管理する側の人々は
こういった生命の驚異的な能力を無視し・・・・
彼らが歪めている自然が持つ巨大な力を前にして へりくだることを知らなかった。」
と書いている。
人類は無知とどん欲さによって自然の巨大な力を自分たちに向けて暴走させてしまったが
今それを急いで始末しなければならない という考えをカーソンらは表明した。
燃える川は人が犯した過ちの象徴となった。
その後数年のうちにDDTの使用は禁止され 河川への工業用排水の投棄に
新しい基準が設けられ 排水処理設備が建設され ほかにも数多くの向上が達成された。
にもかかわらず 野生生物の被害は 解決してはいなかったのだ。
80年代後半に コルボーンは五大湖とその周辺に生息する野生生物の健康に
関する研究を しらみつぶしに調べ上げた。
確かに湖水の農業・工業の廃棄物濃度は 以前よりはるかに低下していたが
データーが増えるにつれて コルボーンは湖の状態に深い関心を抱くようになった。
「様々な調査をしている生物学者たちから およそ正常とはいいがたい報告が伝わってきました。
ミンクの絶滅 孵化しない卵 鵜に見られるクロスビルと言われるくちばしの変形や目の欠損
蟹足と呼ばれる足の奇形 本来なら熱心に巣を見張るはずの抱卵中の親鳥が
無関心という不可思議な現象・・・そこかしこになにかしら
深刻な問題の存在を示す兆候がありました。」
生態系は数十年にも及ぶ化学物質の総攻撃による痛手から 目をみはるばかりの回復を遂げた。
状況が大きく向上したのは明らかだ。だが とコルボーンは考えた。
もし湖が「クリーン」なら
何故生物学者たちから 野生生物の健康被害がこれほど多く報告されるのだろう?
そして その症状は なぜこれほど多様なのだろう?
「環境の回復を宣言するのは時期尚早であり 湖は本当にクリーンになったのだろうかという
疑念を抱きました」とコルボーンは報告した。
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本が品切れ状態だそうです
肉を食うな!とか・・
それは困るとか思いながら
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