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結局 彼らは次のような研究方法を選んだ。エストロゲン様化学物質はどのようなメカニズムによって
精巣のサイズや精子の数の不可逆的な現象を起こすかというと もっとも考えられるのは
精巣で形成されるセルトリ細胞の数を減らすことによってである と彼らは推論した。
胎児期から少年時代にかけて形成されるセルトリ細胞の数が少ないほど
成人した後の精巣が小さく 精子数も少なくなる。
そこで彼らはセルトリ細胞がつくられる時期に アルキリフェノールが
哺乳類にどのような影響を及ぼすかを評価することにした。
そのために生まれたばかりのオスのラットを使って 生後三週間
飲み水に微量のオクチルフェノールを加える実験をした。
またもう一つの実験では この条件に加えて メスのラットに
妊娠中から八あるいは九週間にわたって同じ飲み水を与え
ラットが生まれる前からこの物質にさらされるようにした。
どちらのケースも 添加されるエストロゲン様化学物質の量は
水1リットルあたり1ミリグラムという微量とした。
「化学物質の量はごく低いレベルに抑えた」とシャープは説明する。
「人間が暴露していると考えられる程度のレベルだ。
明らかに もしこのような条件下で 人間の暴露期間と比較して
はるかに短い期間でラットに影響が出るなら 当然ながら
人間に影響が出てもおかしくない」
リチャード・シャープは結果は否定だろうと確信していた。
このようなごく微量を たった三週間程度与えただけで
何らかの影響が出るとは考えにくかった。
すでにマスコミが この研究をかぎつけ
研究室にはしばしば問い合わせの電話がかかってきていた。
こうしてシャープらの研究が進行する一方で
驚いたことに カリフォルニアの科学者たちが
別のエストロゲン様化学物質が
プラスチックから溶け出していることを
偶然から発見していた。
この化学物質もまた
人間へ重大な影響を及ぼすと考えられた。
全く予想外の発見だったため
カリフォルニアの研究チームは
しばらく研究の方向を変えなければならなかった。
それは科学者たちを震撼させる汚染問題だった。
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