・・・略・・・
シャープとマクラクランは まったくちがう病気とデーターをもとに独自の道を進んでいながら
基本的には同じ考え方をしていたのだ!
「何しろ興奮したのは どのようにしてエストロゲンが前立腺がんの素因となる変化を引き起こすのか
マクラクラン説のそのところだった」とシャープは回想する。
「私たちが停留精巣や精巣がんを説明したメカニズムと まったく同じなんだ。
一生のうちの特定の時期 エストロゲンがさまざまな異常を誘発すると考えられる
胎生期にすべてが結びついた。
この問題は男性の生殖や不妊ばかりでなく
もっと広範囲な影響を及ぼしているのではないか
という大きな疑問が心の中にみるみる広がり始めた。
ジクソーパズルを埋める情報が増えれば増えるほど
自分たちが考えていることは単なる空想の産物ではなく
現実にありうることなのだと実感したよ」
このころには 謎のエストロゲンの出所に関する論文が
ぞくぞくと彼のオフィスへ届けれるようになっていた。
「はたせるかな 最初に目を通した論文の一つにこう書いてあった。
現代人は文字通り『エストロゲンの大海』に生活しており
4~50年前よりはるかに大量のエストロゲンにさまざまなルートを通じてさらされている」
とシャープは言う。
食生活の変化や 1050年代のDESをはじめとする
家畜を太らせるための合成エストロゲンの使用。
ピルや医薬品の使用に関する論文もあった。
男の子が思春期になるまで分裂し続けるセルトリ細胞に
エストロゲンが影響を及ぼすという仮説を築くためには
この50年間に変化したエストロゲンのルートを
すべて調べ上げなければならなかった。
その途中で 偶然にも 彼らは驚くべき資料に遭遇した。
金曜の晩 帰宅しようとオフィスを出たシャープは
乳汁分泌と生殖の専門家であるアラン・マクニーリィ教授に出くわした。
「車に乗り込んだとたん 急にひらめいた」とマクニーリィは回想する。
「いうまでもなく赤ん坊にとってエストロゲンの
主要な暴露ルートの一つにミルクがある 母乳も重要だが 粉ミルクはそれ以上だ。
戦後 母乳で赤ん坊を育てる人が減ったため
西欧ではほとんどの赤ん坊が途中から人工栄養に切り換えられ
はじめから粉ミルクの場合も多い。
そこで 慌てて車から降りてリチャードに大声で聞いた。
『おーい リッチ ミルクはどうだろう 赤ん坊の体内へ直接入るだろ?
調べてみたほうがいいんじゃないだろうか』」
「そういわれて すぐピンときた」とシャープは言う。
「粉ミルクの大部分は牛乳で作られている。
牛乳のエストロゲンに何か変化が起きているのだろうか?」
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