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調査開始の時点では性転換や環境汚染なんて考えてもみなかった

2020年03月27日 17時34分53秒 | メス化する自然

 

 

毎晩 捜査隊は湖に出てワニを観察した。

結果はそのたびに同じだった。

生体の多くは生殖不能だった。

巣の中の卵の多くは死んでいた。

だが湖の水は汚染されていないはずだ。

サンプルを採取して湖水を調べても

格別な汚染は検出されなかった。

いったい 何が原因でこんな事態が起こったのだろう?

 

研究室へ戻って詳しく調べたところ

ワニの精巣組織に説明のつかない変化が起きており

正常な雄とは全く異なることが判明した。

「調査開始の時点では性転換や環境汚染なんて考えてもみなかった」と

ジレット教授は言う。

「アポプカ湖で何が起きているのか知りたかっただけだ。

だがそこで私たちが見たのは 想像をはるかに超えた事実だった。

湖には何らかの根本的な変化が起きており

それが私たちを再調査に駆り立てた。

動物たちから得たデーターは とにかく奇妙だった。」

 

血液サンプルの分析から 少なくとも原因の一端が分かった。

女性ホルモンのエストロゲンの値が上昇していたのだ。

多くの症例で エストロゲン値は通常の倍だった。

そのうえ オスワニでは雄性ホルモンのテストテトロンの値が低下していた。

いずれにせよ 生殖を支配するホルモンレベルが攪乱されていたのだ。

 

ジレット教授は知る故も無かったが

世界各地で少なくとも六組の調査チームが

人間をはじめとするさまざまな種のオスについて

同じような異変を確認していた。

 

ロンドンでは いくつかの川で 「性を変化させた」魚が発見されていた。

パリのセーヌ川では 「雌性化した」ウナギが

フロリダでは 生殖器官に深刻な奇形を持つヒョウが見つかっていた。

五大湖でも いくつかの生物種で 性的未成熟など

繁殖上の問題が確認された。

 

ジレット教授の調査によって

ジクソーパズルに説得力のある一辺がはめ込まれ

恐ろしい図柄が姿を現そうとしていた。

 

実地調査の結果 教授は

「野生生物に見られるあらゆる現象は人間にも関連している。

人間の生殖に深刻な危機が訪れる可能性があるのは間違いない。」

との結論に達した。

 

                つづく

 

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