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カリフォルニア・スタンダード大学
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ビスフェノールAについて詳しく調べてみると 謎は明らかになった。
ビスフェノールAの分子構造は DESと非常によく似ていた。
DESはきわめて強力な合成エストロゲンで かつて 流産を防ぐ目的で妊婦に投与され
生まれてきた女の子の一部に 思春期以降になって珍しい種類の膣がんを起こした。
「両方ともビフェノール化合物だ」とフェルドマンは説明する。
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文献を調べてみると ビスフェノールAは
ポリカーボネート樹脂の製造に広く使われていることがわかった。
ポリカーボネート樹脂は透明で硬いプラスチックで 無害と信じられており
プラスチックの中でも もっとも丈夫なものの一つだ。
こういった特質から用途は広く さまざまなソフトドリンクや水の容器
病院や研究所で使用するプラスチック製品などに使われている。
「くだいて説明すれば ビスフェノールAを真珠のつぶとすれば
ポリカーボネート樹脂は真珠のネックレス全体に例えられる。
ビスフェノールA分子が長く連なって ポリカーボネート樹脂プラスチックが出来ている」
とフェルドマンは言う。
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信じられないような偶然だが この同じ時期に
サンプターのチームがプラスチックからエストロゲンを様作用を示す科学物質を
もう一つ発見していたために 議論はいっそう白熱した。
この三番目の化学物質のグループは フタル酸化合物という。
こうなると まるでプラスチックから溶け出るエストロゲン様化学物質は
いくらでもあるようだが これまでは誰もこのことに気づいていなかった。
調べてみようともいう気にもならなかったのだ。
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1995年の夏には 実験の結果が明らかになった。
プラスチックに含まれるこれらの三種類の化学物質 オクチルフェノール ビスフェノールA
フタル酸ブチルベンジルはいずれも 生まれたラットに顕著な影響を及ぼしていた。
精巣は5~13%小さく 精子数は10~21%も少なかった。
彼らは『エンバイロンメンタル・ヘルス・パースペクティブ』に
載せた論文にで 次のように論じた。
環境エストロゲン暴露と男性の精子数減少とのつながりについては
直接的な証拠はないものの 研究からは間接的な証拠が得られており
それによれば ある種のエストロゲン様化学物質をラットに投与すると
・・・精巣のサイズ縮小や精子生産の減退を招く。
ラットではこれらの影響は9週間以内の暴露で起きているが
それは人間では数年間の発達期間に相当し「少なくとも理論的な可能性としては
人間では同種の影響がラットの場合よりも大きく出現すると考えられる」
この科学論文が綿密に再検討されMRCの広報部が発表後の反響への対策を準備している間に
マスコミは はやくもこれをかぎつけた。
スキャケベクの衝撃的な研究が公表されてから シャープはことあるごとに
マスコミからコメントを求められるようになっていた。
1995年10月
『サンデイ・タイムズ』は科学誌への論文発表を前に
「化学物質が精子減少の原因」と書き立てた。
まもまくこれは世界中で大ニュースとなった。
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