「幸せうさぎ」でいてもらうために学ぶ-兎鳥庵さんからの転載-
今日はとってもためになるうさぎと病気についてのお話を、私がいつも楽しみにしてる「ちゅんちきさん」のブログより転載させていただきます。
11月に開催されたうさフェスで受けていらした講習会の内容をまとめたものだそうですが、すごく勉強になるので、私も受ければ良かったかなー?と思ってしまいました。
来年は1つくらいは!!
ちゅんちきさんは(※「ちゅんちき」さんですよー「ちゅんきち」さんじゃなくって)細やかにまとめていらっしゃるんですが、私には難しくて意味がわからない言葉も多いので、(自分が)わかりやすいところを抜粋。笑
絶対、興味が湧くはずなので詳しくはリンクから飛んで本家のちゅんちきさんのブログ「兎鳥庵日記」で是非読んでください。
5本受けられたそうですが4本のみの掲載だそうです。
ちゅんちきさんのブログについては他に書きたいこともあるのですが、それはまたいずれ…
「ウサギの応急手当」 曽我 玲子 先生(GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「よくわかるウサギの目の病気」 曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「ウサギの健康と食事」 林 典子 先生 (ハロー動物病院)
「病気予防の観点からみた飼育法」 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)
「ウサギの応急手当」― いざというとき、あわてないために ―
曽我 玲子 先生(GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
ウサギは、victim (被捕食者)である
・病気のサインを隠しきれなくなるまで隠す。
・病気だと認識した時はすでに深刻な状態。
・様子を見ないこと。
・ウサギの健康状態はすぐに悪化する。
・食欲のないウサギはすぐに手当が必要。
曽我先生お勧めの救急箱の中身、その他用品のご紹介です。
*注射器 : 点眼・投薬・傷口洗浄・強制給餌用
各種サイズを準備しておくと良さそうです。
強制給餌には30mL容量の、先の長いシリンジがお勧めだそうです。
*OXBOW クリティカルケア (強制給餌用フード)
*抗生剤軟膏 (獣医師に相談)
*温め用パッド・温水容器 (ホカロン、ゆたぽん、湯たんぽ)
レンジでチンして使う、ゆたぽんはお勧め。
*赤ちゃん用デジタル体温計
少し高いが、動物用電子体温計 アステック サーモフレックス がお勧め。
入れたときに先っぽが動くので、初心者でも腸を傷つける心配がない。
*耳鏡 (臼歯チェックに使用)
安い(と言っても医療用に比べて)ものがインターネットで購入できるそうです。
*消毒液 (イソジン)
*洗浄液 (蒸留水、生理食塩液)
*ベネバック (腸内環境を整えるプロバイオティクス)
*綿棒、脱脂綿、ガーゼ (傷口の消毒、耳の掃除)
*絆創膏
*止血用パウダー (クイックストップ、片栗粉、小麦粉)
爪切り後の出血の処置。 皮膚には使用しないこと。
クイックストップは少量あればいいので、動物病院で小分けしてもらえればいいが、
購入すれば一生モノ (笑)
片栗粉、小麦粉でも代用できますが、ちゅんちきの経験上、深爪したり折れたりして
大量に出血している場合には無理です。
*ハサミ、毛抜き、爪切り(犬猫用でOK)
*ネット包帯
*コーンシロップ (ハチミツではダメ)
*動物病院で処方された常備薬
*体重計 タニタ デジタルベビースケール BD-585 がお勧め
(最大計量 20kg、最小表示 ~10kg : 10g / ~20kg : 20g 、ホールド機能、風袋引き機能、四点式秤)
※クリティカルケアは動物病院じゃないと入手できません。コーンシロップもインターネットでしか入手できないそうです
お家でできる救急処置はあり、救急箱の用意は必要ですが、
・応急手当は動物病院での治療に代わるものではない
・自己判断に基づく診断は禁物。 獣医師の助言を。
という事は肝に銘じておく必要があります
くれぐれも、そのときになって、あわてて病院を探さないようにとのことです。
・休診日、時間外にも対応してもらえる病院の確保。
・救急病院など緊急時の病院の連絡先は、救急箱のふたに貼っておくこと。
応急手当のお話の内容
1.食欲不振 : 胃腸うっ滞、毛球症の予兆。 軟便、下痢。
2.熱中症、低体温症の際の応急処置について。
3.斜頸になってしまった際、病院に行くまでにできる事。
4.けいれん : てんかん
5.オシッコが出ない、水分をとらない / 増える : 腎不全、尿路結石
6.高い場所からの落下 骨折、脱臼、爪折れ(止血剤がない場合)
わんちゃん、ネコちゃんに噛まれてしまった場合。
7.その他
1. 食欲不振、うっ滞、軟便・下痢
病気のサイン
食べない : 食べにくそう、こぼす、よだれが出る
(何故食べないのか、この見極めは大事ですね)
食べないのか、食べにくいのか、片側で食べているなど
前足の先の毛がもつれている場合は、ほぼ歯の病気
糞が : 大小不同、繋がっている、小さくなった、出ない
下痢
真性の下痢は大人のウサギではまれ。
幼いウサギ : 腸内寄生虫(コクシジウム、回虫、条虫)、腸内細菌叢の問題
子ウサギにおける下痢は突然死を伴う致命的な緊急事態、抗体、適切なpH環境。
親元で3ヵ月過ごしたウサギは丈夫に育つので、そのような子を選ぶと良い。
子ウサギでは、実際に持っていても検便では検出されないケースが多い
2. 熱中症、低体温症
熱中症のとき
・熱源から遠ざけ、日陰や屋内に運ぶ。
・必要に応じてショック状態の確認と手当。
冷水で濡らしたタオルで包む。
体温 43℃で血液が凝固し、死ぬ。
その場合は、病院に行くまでもたないので、その場ですぐ冷やす処置を。
氷嚢や氷を入れたゴム手袋をウサギの両側に置く。
氷水スプレーや保冷剤などで耳や首(頸動脈)を冷やすと効率的。
(きちさんでは、耳の付け根の下辺りを保冷剤で冷やしてやるのが良いと教わりました)
3. 眼振と斜頸
ローリングなどの激しい症状は殆どがパスツレラによるもの。
クルクルと船酔い状態になる。
「3の法則」 というのがあって、症状が出てから病院に来るまでの時間が
・3時間前なら、3日で治る。
・3日前なら、3週間で治る。
・3週間前なら、3ヵ月で治る。
・3ヵ月前なら、もう治らないかもしれない。
4. てんかん
・てんかんは発作の原因となる脳の電気障害を引き起こす。
・発作は、てんかん性の症状である。
・人間、犬、猫、ウサギに起こることが知られている。
・様々な理由から生じる。
・治療不能な脳の傷が原因だと再発する可能性が高い。
てんかん・発作
・脳の機能に異常。
・深刻な症状の前兆である。
・医学的原因を特定し、適切な治療に役立つ
・低血糖。
・殺虫剤。
・微胞子虫
エンセファリトゾーンなどで脳にダメージがある場合には治らない。
通常のてんかんなら3分以内に発作は治まる。
低血糖による発作なら、コーンシロップでOK。
5. 腎不全
・急性の腎不全と慢性の腎不全がある
・急性の腎不全 :血液感染、心不全、ショック、ストレスなどにより引き起こされる。
・老化 糖尿病 尿路感染
・尿石、尿閉塞が原因
元気がない、食欲がない
・貧血体に酸素を運ぶ赤血球が減るため、疲れやすい
・慢性腎疾患 : 尿が増える 脱水
・尿毒素が血液中に堆積
・ウサギは吐けない
・体重が減る
☆ネザーランドドワーフには腎不全が多い。
バランスウォーターも良いが、含まれている糖が腸内発酵を起こすので、継続して使う場合には、ウサギさんが許容してくれる範囲で薄めて用いると良い。
ウサギの飲水量は 100mL/kg
急性の腎不全は変な草を食べたとか、そんな事でも起こる。
メスは尿道が広いので、結石が大きくなりやすい。
6. 怪我
出血
・固まった血が剥がれると止血できないので、ガーゼは取り外さない。
・頭部の傷 止血のために首を押したり、圧力をかけてはいけない。
・止血できないとき(外科縫合が必要)、皮膚内に異物が入り込んでいるときは、
直ちに病院に運ぶ。
出血 (咬み傷、喧嘩、怪我)
・無菌ガーゼか清潔な布巾などで傷を覆う。
・ぐったりしていなければ、タオルで包んで生理食塩液等で傷を洗う。
・ガーゼに血がしみこんでくる場合には押さえる。
・傷の上の方を押さえ、圧力をかける。
・出血が止まらない場合には、傷口付近を包帯。
・血液の流れは止められないので、ハンカチなどできつく縛りすぎない。
骨折 (びっこ・腫れ・痛み・内出血・骨の突起)
・ウサギを落ち着かせる。
・骨が突起してしまっている場合は、骨が動いたり触ったりしないよう、緩めに包帯し、へらやテープで止める。
・折れた手、足は引っ張らないこと。
・直ちに病院連れて行く。
熱傷、炎症
・水を5分から10分流しながら洗う。
・カラーをつけるか毛布でくるむなどして、患部を掻かないようにする。
7. その他
目の異物
・生理食塩液か水道水で洗い流す (フラッシュ瓶を使うと良い)
・柔らかい布で目の周りの涙、目やに、残った異物のかけらを拭いとる。
・指を目の中に入れない。
・目に損傷があるとき、異物が取れないときには直ちに病院へ。
子宮がん
・2歳でがん年齢。 3歳で子宮がんが多い。
・避妊手術でその心配はなくなる。
・子宮がんは触診で分かるので、手術がイヤな場合は定期健診を。
よりよく長生きさせるために
・日常的、ルーチンな血液検査
・まずは、お誕生日健診、1歳のときに。
・基礎的な正常値をとっておく。
・4歳までは毎年
・血液化学、完全血球測定(CBC)と尿検査
・6歳になったら、年2回の健康診断
「よくわかるウサギの目の病気」
講師 :曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
【ウサギの眼科疾患】
●眼の解剖と生理
・360°の広い視野 片眼の視覚範囲は170-190°
★ ただし、鼻先は見えない。
鼻を近づけヒゲで探りながら牧草を食べるため、最後の方になると粉を吸いこんでいるこれが鼻水、涙の原因に (鼻涙管洗浄を行うと牧草の粉が出てくる)粉を落としてから牧草を与えるようにすると、治る
・1時間に10-12回瞬目 (まばたきが少ない)
・眼の分泌腺 オスの方が多い・繁殖期で多い
●歯牙疾患と眼科疾患の関係
・歯科診察は極めて重要
・顎歯、眼球、鼻涙管が解剖学的に接近している
・歯根の伸長、根尖周囲の炎症は眼の症状
・歯根の位置、形状、構造および眼球や鼻涙管との関係の評価に必要
●眼検査
・左右 眼の大きさと形状
・眼瞼が広いので診察しやすい
・ウサギがおびえると両側の眼球突出
・眼窩の血管洞がうっ滞し、眼球が突出してしまう→ 数分後には認められなくなる
・去勢していないオスの繁殖期の眼は、深層の第三眼瞼が腫れる
・片側の眼球突出は膿瘍や腫瘍など眼窩の病変
・眼球が大きくなる 緑内障が原因
●先天的眼瞼疾患
・眼瞼内反や眼瞼外反
・ネザーランド ドワーフ種に多い
・鼻の短い種類は涙の排泄露が未発達
・下眼瞼の流涙の原因となる
●眼瞼と結膜の疾患 深層の第三眼瞼腺の突出
・眼球内側の第三眼瞼下方より突出
・「チェリーアイ」 深層の第三眼瞼腺
・腺組織が突出
・分泌嚢を保存するため 整復する (アンカー法で埋め込む)
・絶対に切除しない
●結膜炎
・結膜嚢に多くの常在菌が存在
・低換気および尿を多く含んだ床敷
・高蛋白の食餌は窒素排泄物を多くし、アンモニア濃度を上昇させて悪化
・干し草の粉塵
・干し草の種や小さな破片が第三眼瞼下の結膜嚢に入り込む
・ロップイヤー種の大きな耳も原因に
・眼表面を覆うため眼瞼に物理的刺激を与える
●治療
・抗生物質の眼軟膏の局所投与
・結膜炎の根本的原因同定
・眼瞼内反などの眼瞼異常は外科矯正
・結膜の異物は除去する
・換気して新鮮な空気と清潔で乾燥した粉塵のない干し草の敷料を供給する
●流涙症
・涙液量は、結膜炎、角膜炎、角結膜炎、ぶどう膜炎、緑内障などの眼刺激あるいは眼疼痛によって増加
・顔面の皮膚炎は慢性の流涙症に関連
・被毛のもつれ、乾いた流涙痂皮 皮下に二次感染
・上顎切歯の歯根の伸長が原因である流涙症は治療が困難
・切歯の抜糸も効果がない場合がある
・良好に換気された、清潔で乾燥し、アンモニアがない環境
・二次感染の防止には眼軟膏による局所治療 (タリビット眼軟膏が良い)
・手術前のX腺撮影は切歯歯根の異常を診断
●角膜混濁の鑑別診断
・角膜ジストロフィーは実験動物のウサギに多い (高脂肪のペレットのみによる飼育)
・食餌性の角膜脂質症は高脂肪食に関連
・角膜固有層の脂肪変性
・眼内手術後の非特異的な変化
●エンセファリトゾーン症によるぶどう膜炎
・斜頸などの神経症状や腎不全を発症することもある
・Encephalitozoon (微胞子虫) の感染
・眼科疾患の原因となる
・水晶体嚢の破嚢、ぶどう膜炎、白内障が臨床症状であり、これらは若齢のウサギでみられる
・水晶体前嚢が突発的に破嚢し、肉芽種性の水晶体起因性ぶどう膜炎が発症する
・通常は片側性
・組織学的所見として、破嚢した水晶体嚢周囲を中心に炎症がみられる
●白内障
・白内障の明らかな原因は不明
・ウサギにおいては糖尿病は白内障の原因とならない
・ウサギは視覚障害および不安を示さないことが多い
・予防としてアルベンダゾールおよびフェンベンダゾール
・遺伝性、ニュージーランドホワイトに多い
●眼球摘出術
・難治性の緑内障や眼内炎など視覚がなく疼痛をもつ眼疾患に適応
・球後疾患や眼球突出はウサギでよくみられるが、眼球摘出術が適応となる場合がある
・眼内炎は内科治療によく反応するので、眼球摘出は最終手段
・手術方法は他の動物種と同様
・眼窩の分泌腺に隣接している大きな静脈洞が存在
・出血の危険
・ウサギの血液凝固時間は短い
「ウサギの健康と食事」講師 :林 典子 先生 (ハロー動物病院)
●ウサギについて
歯の正常な摩耗を促すためには ― 草を食べる
草にはシリカという研磨物質が含まれていますが、野菜にはそれは含まれていません
ウサギは食糞をしますが、これによってビタミンB、ビタミンK、たんぱく質などを補っています
大きな腸を正常に動かすには、不消化な繊維をたくさん含むものが必要=牧草
体重 1.5kg のウサギで、直径12mmの盲腸便をする
●咬合異常の原因 : 不正咬合の殆どの原因は草を食べないことによるもの
・落下事故・ケージ齧りによる前歯の不正咬合
・草を食べないことによる奥歯の不正咬合
・男の子に第2臼歯の咬合異常が多い
歯が悪ければ、消化器系にも異常が起こります。
太ることによって、腎臓への影響が現れます。
食べ残した盲腸便が体につくと、皮膚疾患になります
●歯が原因でおこる病気
・顔面膿瘍
・流涙 下の歯は眼の方向へと伸びる。細菌感染により、流涙症から涙嚢炎へ
・胃腸の運動低下
●ウサギに優しい食事
・低たんぱく
・高繊維
・低脂肪
・カルシウム制限
●食事の管理
主食 : 牧草
副食 : ペレット、野草、野菜
オヤツ : 野菜、野草、ごく少量の果物
ただし、果物には果糖、二糖類が含まれていてウサギにはよくない
コントロールできる場合にのみ、たまにあげる程度に
チモシーを食べない子にはグラスヘイを与えたがる傾向があるが、茎の長いものをあげてほしい。
柔らかい葉っぱばかりのものではダメ。
野菜、生牧草、野草の適正量は、体重 2.5kg の子で、カップ1杯と覚えると良い。
●ラビットフード (ペレット)
・低カルシウム、高繊維のものを。
・エキスパンドタイプ (荒い繊維、空気でふくらましてあるもの)、
粒の小さいタイプ (顎をよく動かす効果) が良い。
・ハードタイプは粒子が細かすぎるのでお勧めできない。
給餌量 : 1日当たり、体重の 1-1.5%
よく、一握りとおっしゃる方がいるが、それは不安定な量。重量を確認して与えてほしい。
●野菜、果物
・ミックスフード (野菜や果物のチップが入っているフード) はNG
・野菜や果物で糖度の高いものは、胃腸運動の低下、細菌叢異常を生じる恐れがある。
葉物を与えるように。
・野菜のみでは繊維不足を生じる(嗜好品として少量を与える)
・生牧草は野菜と同じ位置づけ。基本は、干した草。
・野草
タンポポ、オオバコ、ハコベなど
ビタミン、ミネラル、発酵可能な繊維、不消化繊維のバランスが良い。
キク科植物のタンポポを好むが、便を軟らかくする作用があるので、オオバコやハコベを少し混ぜてやると良い。よく洗って、水分を拭き取ってから与える。
・トリーツ類 (与えないこと)
油で処理されているもの、炭水化物を多く含むものはダメ。
●管理
・牧草を中心に副食を与える。
・給餌量 (固形物) は、維持期は 体重の3%、 成長期は 体重の5%
・1日2回、野菜は全体の10-15%にとどめる。
・定期的に体重測定。
・絶食はしてはいけない
・急に食事内容を変えない ― ウサギの消化器はデリケート
肥満の子が絶食すると、たちどころに肝臓に脂肪がたまる。
数時間で変化。
ペレットの変更は1ヵ月くらいかけて。
・ウサギは夕方の4時から翌朝8時にかけて、1日量の85%を食べる。
この時間内に2回与える (朝7時、夜6時など)
この間に野菜をあげてもよいが、日中はあまり食べない。
盲腸便が出るのが午前中。
・給餌量、食事内容は体重や便の状態を見ながら調整する。
・食器は、その子に合ったものを、合った高さに。
咥えられない陶器製、もしくは固定式のものが良い。
・ウサギはたくさん水を飲む。 平均飲水量 120mL/kg (イヌは40-60mL)
・冬、飲水量が減っているときはぬるま湯を。 常に新鮮な水を。
・給水器は床置きの場合は、小鳥用のサイフォン式のものが良い。
ウサギ用は飲み口が広いので汚れやすい。
ボトルの場合は、ノズルの先端に入っているボールが2個のもの、
シャフトが付いていて下に降りる構造のものが良い。
ノズルのOリング(ゴム)の寿命は2年。 2年ごとにボトルの交換を。
内部に緑藻が付いて、それが原因でお腹をこわす場合もあるので、1日1回、
ペットボトル用ブラシで洗浄する。
ノズルの詰まりに注意すること。
・食欲低下時は、いつも食べているペレットをふやかして強制給餌する。
ぬるま湯でふやかして、先端をカットしたシリンジを使う。
奥歯の当たるところまで入れる。
ウサギの縄張り内でやると暴れるので、普段、その子が行かないところでやる。
(洗面所、お風呂場など、投薬のときも同様)
・10-15分程度の跳躍運動は、胃腸を動かす効果。
ただし、放し飼いの場合は、いくら運動しても胃腸は動かない。
全部、自分の縄張りになっているので。
生活にメリハリをつける。 抱っこして出して、抱っこして戻す習慣。
適度な刺激になる。
「病気予防の観点からみた飼育法」
講師 : 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)
1.消化管うっ滞
食欲不振、糞の縮小・減少、下痢・軟便
背中を丸める彎曲姿勢をとることがある。
急性症状のときは特に注意!
発生機序
・ストレス ⇒ 胃腸の機能低下 ⇒ 食欲不振
・食事 繊維が少ない
・異食 (壁紙、ペットシーツなど)
・毛球
・水分不足
・運動不足
日常、気をつけること
・30分-1時間程度の運動
・水分摂取 生野菜など水分を含むものを与える
・繊維質 (牧草)
・異食の防止
・ストレスの軽減
季節により気をつけること
・ブラッシング
◎ ウンチの形、量
2.不正咬合
・先天性のものは、下顎突出症 (受け口) など。
治療はできない。 このような個体は繁殖に使用しない。
・後天性のものは、目にすることが多い。
事故、ケージ齧り(齧れないようにケージの内側にバーベキューの網などをはると良い)、
不適切な食事、代謝性の骨異常 (バランスの良い食事、質の良いペレットを選ぶ)
などによる。
3.ソアホック
足の裏の血行が悪くなることにより起こる。
進行すると膿瘍や骨髄炎などになることもある。レッキスや大型種に多い。
●原因
・環境 : 汚れた床、トイレ
金網の床
・運動 : 同じ姿勢でずっといる
・肥満 : 足裏にかかる重量の増加
・ストレス : スタンピングの増加
●予防
・有効な対処法はない。
・ポイントはなるべく早く気付いてあげること。
・柔らかい床材 : 低反発マット (齧らない場合) 、厚く敷いた牧草
完璧な床材はない。 試行錯誤の対処になる。
うさぎのしっぽさんの 「OKYスプレー」 を床に吹き付けることで、予防になる(グレード1、2まで)
・生体要因 : 運動させる、ダイエット、ストレス軽減
4.熱中症
ウサギにとって理想的な温湿度 : 18-28℃、40-60%
1日の温度の最高と最低の差が10℃以内がストレスのない環境。
●症状
・口を開けてハーハー呼吸する
・よだれ
・発作、昏睡 : こうなると助けるのは困難
●予防
・温湿度に注意する。 最高最低の記録できる温度計を置く。
・風通しを良くする。
・いつでも飲水できるように
・ダイエット (太りすぎに注意!)
・体温が高いことに気づくこと
・長毛種ではサマーカットも有効
5.尿石症
特徴
犬猫はカルシウムの殆どを糞便で排泄する (尿は2%) が、ウサギは45-60%を尿から排泄する。
●原因
・高カルシウム食 (アルファルファなど)
・飲水不足
・肥満 :運動不足が大きな要因。
膀胱にカルシウムが沈殿しやすく、固まりやすくなる。
・トイレやケージの汚れにより、オシッコをガマンする。
・カルシウム、ミネラルを含むサプリメントの摂取
症状
・濃いペースト状の尿
・頻尿
・排尿困難 (長くトイレに座っている)
・血尿
・歯ぎしり、背中を丸める (痛み)
●予防
・チモシー主体の低カルシウム食
・十分な飲水、生野菜
・十分な運動
◎症状が進んでからの来院が多い。
気づきにくいのはトイレ材にも原因があるのではないか。
濃い色のチップだと尿の色が分からないので、なるべく色の分かるものを使ってほしい
6.子宮疾患(特にダッチ、ヒマラヤンに多い)
なりにくいのは、レッキス、ベルジアンヘア。
3歳以上で50-80%の確率。
●症状
・初期症状はない
・血尿 (出血性分泌物)
・持続的偽妊娠
・のう包性乳腺炎、しこり
・お腹の張り、腹部膨満
●血尿
ウサギにはポルフィリン尿というオレンジ色の尿があり、血尿と見分けにくい。
見た目では分からないので、尿試験紙で潜血の有無を確認する。
●予防
・避妊手術 (卵巣・子宮とも摘出) が唯一の予防。
6ヵ月を越えれば手術できる。 是非、お勧めしたい。
・全身麻酔が怖いという人は、早期発見に努める。
自宅で気付くのは難しいので、病院で定期健診を受けること。
レントゲン、超音波検査で確認する。
●まとめ
・その子、その子に合った飼育法を探すことが大切。
・気づければ防げる病気も多いので、正しい知識を持って。
・ウサギは症状を隠しやすい動物なので、日頃からよくコミュニケーションをとること。
このブログ左の「ブックマーク」にも書いていますが、ちゅんちきさんは元実験うさぎのダッチさんたちやジャパニーズホワイト(日本白色種)さんたちと暮らされています。
捨てられてしまったうさぎさんや繁殖場からのレスキューうさぎさんの家族探しも大切ですが、このような
「人の為にお仕事をした」うさぎさん達のことも、理解し考えていかなきゃならないな、と思っています。
特にジャパニーズホワイトは大型ですから、その子たちとの生活(お世話も経済も)は大変には違いありません。
食べる量や排泄の量だけ考えても、大変さは想像つくと思います。
そんな子たちと仲良く暮らしているちゅんちきさんのことをいつも「すごいなー」と思って見ています。
きっと丁寧で優しい方なんだろうなーっと思っていつも拝見させていただいています。
今回のこの記事の転載許可の際も、きっとこれだけまとめるのは大変だったでしょうが快く承諾いただけました。
ちゅんちきさん、本当にありがとうございました☆
今日はとってもためになるうさぎと病気についてのお話を、私がいつも楽しみにしてる「ちゅんちきさん」のブログより転載させていただきます。
11月に開催されたうさフェスで受けていらした講習会の内容をまとめたものだそうですが、すごく勉強になるので、私も受ければ良かったかなー?と思ってしまいました。
来年は1つくらいは!!
ちゅんちきさんは(※「ちゅんちき」さんですよー「ちゅんきち」さんじゃなくって)細やかにまとめていらっしゃるんですが、私には難しくて意味がわからない言葉も多いので、(自分が)わかりやすいところを抜粋。笑
絶対、興味が湧くはずなので詳しくはリンクから飛んで本家のちゅんちきさんのブログ「兎鳥庵日記」で是非読んでください。
5本受けられたそうですが4本のみの掲載だそうです。
ちゅんちきさんのブログについては他に書きたいこともあるのですが、それはまたいずれ…
「ウサギの応急手当」 曽我 玲子 先生(GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「よくわかるウサギの目の病気」 曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
「ウサギの健康と食事」 林 典子 先生 (ハロー動物病院)
「病気予防の観点からみた飼育法」 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)
「ウサギの応急手当」― いざというとき、あわてないために ―
曽我 玲子 先生(GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
ウサギは、victim (被捕食者)である
・病気のサインを隠しきれなくなるまで隠す。
・病気だと認識した時はすでに深刻な状態。
・様子を見ないこと。
・ウサギの健康状態はすぐに悪化する。
・食欲のないウサギはすぐに手当が必要。
曽我先生お勧めの救急箱の中身、その他用品のご紹介です。
*注射器 : 点眼・投薬・傷口洗浄・強制給餌用
各種サイズを準備しておくと良さそうです。
強制給餌には30mL容量の、先の長いシリンジがお勧めだそうです。
*OXBOW クリティカルケア (強制給餌用フード)
*抗生剤軟膏 (獣医師に相談)
*温め用パッド・温水容器 (ホカロン、ゆたぽん、湯たんぽ)
レンジでチンして使う、ゆたぽんはお勧め。
*赤ちゃん用デジタル体温計
少し高いが、動物用電子体温計 アステック サーモフレックス がお勧め。
入れたときに先っぽが動くので、初心者でも腸を傷つける心配がない。
*耳鏡 (臼歯チェックに使用)
安い(と言っても医療用に比べて)ものがインターネットで購入できるそうです。
*消毒液 (イソジン)
*洗浄液 (蒸留水、生理食塩液)
*ベネバック (腸内環境を整えるプロバイオティクス)
*綿棒、脱脂綿、ガーゼ (傷口の消毒、耳の掃除)
*絆創膏
*止血用パウダー (クイックストップ、片栗粉、小麦粉)
爪切り後の出血の処置。 皮膚には使用しないこと。
クイックストップは少量あればいいので、動物病院で小分けしてもらえればいいが、
購入すれば一生モノ (笑)
片栗粉、小麦粉でも代用できますが、ちゅんちきの経験上、深爪したり折れたりして
大量に出血している場合には無理です。
*ハサミ、毛抜き、爪切り(犬猫用でOK)
*ネット包帯
*コーンシロップ (ハチミツではダメ)
*動物病院で処方された常備薬
*体重計 タニタ デジタルベビースケール BD-585 がお勧め
(最大計量 20kg、最小表示 ~10kg : 10g / ~20kg : 20g 、ホールド機能、風袋引き機能、四点式秤)
※クリティカルケアは動物病院じゃないと入手できません。コーンシロップもインターネットでしか入手できないそうです
お家でできる救急処置はあり、救急箱の用意は必要ですが、
・応急手当は動物病院での治療に代わるものではない
・自己判断に基づく診断は禁物。 獣医師の助言を。
という事は肝に銘じておく必要があります
くれぐれも、そのときになって、あわてて病院を探さないようにとのことです。
・休診日、時間外にも対応してもらえる病院の確保。
・救急病院など緊急時の病院の連絡先は、救急箱のふたに貼っておくこと。
応急手当のお話の内容
1.食欲不振 : 胃腸うっ滞、毛球症の予兆。 軟便、下痢。
2.熱中症、低体温症の際の応急処置について。
3.斜頸になってしまった際、病院に行くまでにできる事。
4.けいれん : てんかん
5.オシッコが出ない、水分をとらない / 増える : 腎不全、尿路結石
6.高い場所からの落下 骨折、脱臼、爪折れ(止血剤がない場合)
わんちゃん、ネコちゃんに噛まれてしまった場合。
7.その他
1. 食欲不振、うっ滞、軟便・下痢
病気のサイン
食べない : 食べにくそう、こぼす、よだれが出る
(何故食べないのか、この見極めは大事ですね)
食べないのか、食べにくいのか、片側で食べているなど
前足の先の毛がもつれている場合は、ほぼ歯の病気
糞が : 大小不同、繋がっている、小さくなった、出ない
下痢
真性の下痢は大人のウサギではまれ。
幼いウサギ : 腸内寄生虫(コクシジウム、回虫、条虫)、腸内細菌叢の問題
子ウサギにおける下痢は突然死を伴う致命的な緊急事態、抗体、適切なpH環境。
親元で3ヵ月過ごしたウサギは丈夫に育つので、そのような子を選ぶと良い。
子ウサギでは、実際に持っていても検便では検出されないケースが多い
2. 熱中症、低体温症
熱中症のとき
・熱源から遠ざけ、日陰や屋内に運ぶ。
・必要に応じてショック状態の確認と手当。
冷水で濡らしたタオルで包む。
体温 43℃で血液が凝固し、死ぬ。
その場合は、病院に行くまでもたないので、その場ですぐ冷やす処置を。
氷嚢や氷を入れたゴム手袋をウサギの両側に置く。
氷水スプレーや保冷剤などで耳や首(頸動脈)を冷やすと効率的。
(きちさんでは、耳の付け根の下辺りを保冷剤で冷やしてやるのが良いと教わりました)
3. 眼振と斜頸
ローリングなどの激しい症状は殆どがパスツレラによるもの。
クルクルと船酔い状態になる。
「3の法則」 というのがあって、症状が出てから病院に来るまでの時間が
・3時間前なら、3日で治る。
・3日前なら、3週間で治る。
・3週間前なら、3ヵ月で治る。
・3ヵ月前なら、もう治らないかもしれない。
4. てんかん
・てんかんは発作の原因となる脳の電気障害を引き起こす。
・発作は、てんかん性の症状である。
・人間、犬、猫、ウサギに起こることが知られている。
・様々な理由から生じる。
・治療不能な脳の傷が原因だと再発する可能性が高い。
てんかん・発作
・脳の機能に異常。
・深刻な症状の前兆である。
・医学的原因を特定し、適切な治療に役立つ
・低血糖。
・殺虫剤。
・微胞子虫
エンセファリトゾーンなどで脳にダメージがある場合には治らない。
通常のてんかんなら3分以内に発作は治まる。
低血糖による発作なら、コーンシロップでOK。
5. 腎不全
・急性の腎不全と慢性の腎不全がある
・急性の腎不全 :血液感染、心不全、ショック、ストレスなどにより引き起こされる。
・老化 糖尿病 尿路感染
・尿石、尿閉塞が原因
元気がない、食欲がない
・貧血体に酸素を運ぶ赤血球が減るため、疲れやすい
・慢性腎疾患 : 尿が増える 脱水
・尿毒素が血液中に堆積
・ウサギは吐けない
・体重が減る
☆ネザーランドドワーフには腎不全が多い。
バランスウォーターも良いが、含まれている糖が腸内発酵を起こすので、継続して使う場合には、ウサギさんが許容してくれる範囲で薄めて用いると良い。
ウサギの飲水量は 100mL/kg
急性の腎不全は変な草を食べたとか、そんな事でも起こる。
メスは尿道が広いので、結石が大きくなりやすい。
6. 怪我
出血
・固まった血が剥がれると止血できないので、ガーゼは取り外さない。
・頭部の傷 止血のために首を押したり、圧力をかけてはいけない。
・止血できないとき(外科縫合が必要)、皮膚内に異物が入り込んでいるときは、
直ちに病院に運ぶ。
出血 (咬み傷、喧嘩、怪我)
・無菌ガーゼか清潔な布巾などで傷を覆う。
・ぐったりしていなければ、タオルで包んで生理食塩液等で傷を洗う。
・ガーゼに血がしみこんでくる場合には押さえる。
・傷の上の方を押さえ、圧力をかける。
・出血が止まらない場合には、傷口付近を包帯。
・血液の流れは止められないので、ハンカチなどできつく縛りすぎない。
骨折 (びっこ・腫れ・痛み・内出血・骨の突起)
・ウサギを落ち着かせる。
・骨が突起してしまっている場合は、骨が動いたり触ったりしないよう、緩めに包帯し、へらやテープで止める。
・折れた手、足は引っ張らないこと。
・直ちに病院連れて行く。
熱傷、炎症
・水を5分から10分流しながら洗う。
・カラーをつけるか毛布でくるむなどして、患部を掻かないようにする。
7. その他
目の異物
・生理食塩液か水道水で洗い流す (フラッシュ瓶を使うと良い)
・柔らかい布で目の周りの涙、目やに、残った異物のかけらを拭いとる。
・指を目の中に入れない。
・目に損傷があるとき、異物が取れないときには直ちに病院へ。
子宮がん
・2歳でがん年齢。 3歳で子宮がんが多い。
・避妊手術でその心配はなくなる。
・子宮がんは触診で分かるので、手術がイヤな場合は定期健診を。
よりよく長生きさせるために
・日常的、ルーチンな血液検査
・まずは、お誕生日健診、1歳のときに。
・基礎的な正常値をとっておく。
・4歳までは毎年
・血液化学、完全血球測定(CBC)と尿検査
・6歳になったら、年2回の健康診断
「よくわかるウサギの目の病気」
講師 :曽我 玲子 先生 (GROW-WING ANIMAL HOSPITAL)
【ウサギの眼科疾患】
●眼の解剖と生理
・360°の広い視野 片眼の視覚範囲は170-190°
★ ただし、鼻先は見えない。
鼻を近づけヒゲで探りながら牧草を食べるため、最後の方になると粉を吸いこんでいるこれが鼻水、涙の原因に (鼻涙管洗浄を行うと牧草の粉が出てくる)粉を落としてから牧草を与えるようにすると、治る
・1時間に10-12回瞬目 (まばたきが少ない)
・眼の分泌腺 オスの方が多い・繁殖期で多い
●歯牙疾患と眼科疾患の関係
・歯科診察は極めて重要
・顎歯、眼球、鼻涙管が解剖学的に接近している
・歯根の伸長、根尖周囲の炎症は眼の症状
・歯根の位置、形状、構造および眼球や鼻涙管との関係の評価に必要
●眼検査
・左右 眼の大きさと形状
・眼瞼が広いので診察しやすい
・ウサギがおびえると両側の眼球突出
・眼窩の血管洞がうっ滞し、眼球が突出してしまう→ 数分後には認められなくなる
・去勢していないオスの繁殖期の眼は、深層の第三眼瞼が腫れる
・片側の眼球突出は膿瘍や腫瘍など眼窩の病変
・眼球が大きくなる 緑内障が原因
●先天的眼瞼疾患
・眼瞼内反や眼瞼外反
・ネザーランド ドワーフ種に多い
・鼻の短い種類は涙の排泄露が未発達
・下眼瞼の流涙の原因となる
●眼瞼と結膜の疾患 深層の第三眼瞼腺の突出
・眼球内側の第三眼瞼下方より突出
・「チェリーアイ」 深層の第三眼瞼腺
・腺組織が突出
・分泌嚢を保存するため 整復する (アンカー法で埋め込む)
・絶対に切除しない
●結膜炎
・結膜嚢に多くの常在菌が存在
・低換気および尿を多く含んだ床敷
・高蛋白の食餌は窒素排泄物を多くし、アンモニア濃度を上昇させて悪化
・干し草の粉塵
・干し草の種や小さな破片が第三眼瞼下の結膜嚢に入り込む
・ロップイヤー種の大きな耳も原因に
・眼表面を覆うため眼瞼に物理的刺激を与える
●治療
・抗生物質の眼軟膏の局所投与
・結膜炎の根本的原因同定
・眼瞼内反などの眼瞼異常は外科矯正
・結膜の異物は除去する
・換気して新鮮な空気と清潔で乾燥した粉塵のない干し草の敷料を供給する
●流涙症
・涙液量は、結膜炎、角膜炎、角結膜炎、ぶどう膜炎、緑内障などの眼刺激あるいは眼疼痛によって増加
・顔面の皮膚炎は慢性の流涙症に関連
・被毛のもつれ、乾いた流涙痂皮 皮下に二次感染
・上顎切歯の歯根の伸長が原因である流涙症は治療が困難
・切歯の抜糸も効果がない場合がある
・良好に換気された、清潔で乾燥し、アンモニアがない環境
・二次感染の防止には眼軟膏による局所治療 (タリビット眼軟膏が良い)
・手術前のX腺撮影は切歯歯根の異常を診断
●角膜混濁の鑑別診断
・角膜ジストロフィーは実験動物のウサギに多い (高脂肪のペレットのみによる飼育)
・食餌性の角膜脂質症は高脂肪食に関連
・角膜固有層の脂肪変性
・眼内手術後の非特異的な変化
●エンセファリトゾーン症によるぶどう膜炎
・斜頸などの神経症状や腎不全を発症することもある
・Encephalitozoon (微胞子虫) の感染
・眼科疾患の原因となる
・水晶体嚢の破嚢、ぶどう膜炎、白内障が臨床症状であり、これらは若齢のウサギでみられる
・水晶体前嚢が突発的に破嚢し、肉芽種性の水晶体起因性ぶどう膜炎が発症する
・通常は片側性
・組織学的所見として、破嚢した水晶体嚢周囲を中心に炎症がみられる
●白内障
・白内障の明らかな原因は不明
・ウサギにおいては糖尿病は白内障の原因とならない
・ウサギは視覚障害および不安を示さないことが多い
・予防としてアルベンダゾールおよびフェンベンダゾール
・遺伝性、ニュージーランドホワイトに多い
●眼球摘出術
・難治性の緑内障や眼内炎など視覚がなく疼痛をもつ眼疾患に適応
・球後疾患や眼球突出はウサギでよくみられるが、眼球摘出術が適応となる場合がある
・眼内炎は内科治療によく反応するので、眼球摘出は最終手段
・手術方法は他の動物種と同様
・眼窩の分泌腺に隣接している大きな静脈洞が存在
・出血の危険
・ウサギの血液凝固時間は短い
「ウサギの健康と食事」講師 :林 典子 先生 (ハロー動物病院)
●ウサギについて
歯の正常な摩耗を促すためには ― 草を食べる
草にはシリカという研磨物質が含まれていますが、野菜にはそれは含まれていません
ウサギは食糞をしますが、これによってビタミンB、ビタミンK、たんぱく質などを補っています
大きな腸を正常に動かすには、不消化な繊維をたくさん含むものが必要=牧草
体重 1.5kg のウサギで、直径12mmの盲腸便をする
●咬合異常の原因 : 不正咬合の殆どの原因は草を食べないことによるもの
・落下事故・ケージ齧りによる前歯の不正咬合
・草を食べないことによる奥歯の不正咬合
・男の子に第2臼歯の咬合異常が多い
歯が悪ければ、消化器系にも異常が起こります。
太ることによって、腎臓への影響が現れます。
食べ残した盲腸便が体につくと、皮膚疾患になります
●歯が原因でおこる病気
・顔面膿瘍
・流涙 下の歯は眼の方向へと伸びる。細菌感染により、流涙症から涙嚢炎へ
・胃腸の運動低下
●ウサギに優しい食事
・低たんぱく
・高繊維
・低脂肪
・カルシウム制限
●食事の管理
主食 : 牧草
副食 : ペレット、野草、野菜
オヤツ : 野菜、野草、ごく少量の果物
ただし、果物には果糖、二糖類が含まれていてウサギにはよくない
コントロールできる場合にのみ、たまにあげる程度に
チモシーを食べない子にはグラスヘイを与えたがる傾向があるが、茎の長いものをあげてほしい。
柔らかい葉っぱばかりのものではダメ。
野菜、生牧草、野草の適正量は、体重 2.5kg の子で、カップ1杯と覚えると良い。
●ラビットフード (ペレット)
・低カルシウム、高繊維のものを。
・エキスパンドタイプ (荒い繊維、空気でふくらましてあるもの)、
粒の小さいタイプ (顎をよく動かす効果) が良い。
・ハードタイプは粒子が細かすぎるのでお勧めできない。
給餌量 : 1日当たり、体重の 1-1.5%
よく、一握りとおっしゃる方がいるが、それは不安定な量。重量を確認して与えてほしい。
●野菜、果物
・ミックスフード (野菜や果物のチップが入っているフード) はNG
・野菜や果物で糖度の高いものは、胃腸運動の低下、細菌叢異常を生じる恐れがある。
葉物を与えるように。
・野菜のみでは繊維不足を生じる(嗜好品として少量を与える)
・生牧草は野菜と同じ位置づけ。基本は、干した草。
・野草
タンポポ、オオバコ、ハコベなど
ビタミン、ミネラル、発酵可能な繊維、不消化繊維のバランスが良い。
キク科植物のタンポポを好むが、便を軟らかくする作用があるので、オオバコやハコベを少し混ぜてやると良い。よく洗って、水分を拭き取ってから与える。
・トリーツ類 (与えないこと)
油で処理されているもの、炭水化物を多く含むものはダメ。
●管理
・牧草を中心に副食を与える。
・給餌量 (固形物) は、維持期は 体重の3%、 成長期は 体重の5%
・1日2回、野菜は全体の10-15%にとどめる。
・定期的に体重測定。
・絶食はしてはいけない
・急に食事内容を変えない ― ウサギの消化器はデリケート
肥満の子が絶食すると、たちどころに肝臓に脂肪がたまる。
数時間で変化。
ペレットの変更は1ヵ月くらいかけて。
・ウサギは夕方の4時から翌朝8時にかけて、1日量の85%を食べる。
この時間内に2回与える (朝7時、夜6時など)
この間に野菜をあげてもよいが、日中はあまり食べない。
盲腸便が出るのが午前中。
・給餌量、食事内容は体重や便の状態を見ながら調整する。
・食器は、その子に合ったものを、合った高さに。
咥えられない陶器製、もしくは固定式のものが良い。
・ウサギはたくさん水を飲む。 平均飲水量 120mL/kg (イヌは40-60mL)
・冬、飲水量が減っているときはぬるま湯を。 常に新鮮な水を。
・給水器は床置きの場合は、小鳥用のサイフォン式のものが良い。
ウサギ用は飲み口が広いので汚れやすい。
ボトルの場合は、ノズルの先端に入っているボールが2個のもの、
シャフトが付いていて下に降りる構造のものが良い。
ノズルのOリング(ゴム)の寿命は2年。 2年ごとにボトルの交換を。
内部に緑藻が付いて、それが原因でお腹をこわす場合もあるので、1日1回、
ペットボトル用ブラシで洗浄する。
ノズルの詰まりに注意すること。
・食欲低下時は、いつも食べているペレットをふやかして強制給餌する。
ぬるま湯でふやかして、先端をカットしたシリンジを使う。
奥歯の当たるところまで入れる。
ウサギの縄張り内でやると暴れるので、普段、その子が行かないところでやる。
(洗面所、お風呂場など、投薬のときも同様)
・10-15分程度の跳躍運動は、胃腸を動かす効果。
ただし、放し飼いの場合は、いくら運動しても胃腸は動かない。
全部、自分の縄張りになっているので。
生活にメリハリをつける。 抱っこして出して、抱っこして戻す習慣。
適度な刺激になる。
「病気予防の観点からみた飼育法」
講師 : 成毛 淳人 先生 (シンシア動物病院)
1.消化管うっ滞
食欲不振、糞の縮小・減少、下痢・軟便
背中を丸める彎曲姿勢をとることがある。
急性症状のときは特に注意!
発生機序
・ストレス ⇒ 胃腸の機能低下 ⇒ 食欲不振
・食事 繊維が少ない
・異食 (壁紙、ペットシーツなど)
・毛球
・水分不足
・運動不足
日常、気をつけること
・30分-1時間程度の運動
・水分摂取 生野菜など水分を含むものを与える
・繊維質 (牧草)
・異食の防止
・ストレスの軽減
季節により気をつけること
・ブラッシング
◎ ウンチの形、量
2.不正咬合
・先天性のものは、下顎突出症 (受け口) など。
治療はできない。 このような個体は繁殖に使用しない。
・後天性のものは、目にすることが多い。
事故、ケージ齧り(齧れないようにケージの内側にバーベキューの網などをはると良い)、
不適切な食事、代謝性の骨異常 (バランスの良い食事、質の良いペレットを選ぶ)
などによる。
3.ソアホック
足の裏の血行が悪くなることにより起こる。
進行すると膿瘍や骨髄炎などになることもある。レッキスや大型種に多い。
●原因
・環境 : 汚れた床、トイレ
金網の床
・運動 : 同じ姿勢でずっといる
・肥満 : 足裏にかかる重量の増加
・ストレス : スタンピングの増加
●予防
・有効な対処法はない。
・ポイントはなるべく早く気付いてあげること。
・柔らかい床材 : 低反発マット (齧らない場合) 、厚く敷いた牧草
完璧な床材はない。 試行錯誤の対処になる。
うさぎのしっぽさんの 「OKYスプレー」 を床に吹き付けることで、予防になる(グレード1、2まで)
・生体要因 : 運動させる、ダイエット、ストレス軽減
4.熱中症
ウサギにとって理想的な温湿度 : 18-28℃、40-60%
1日の温度の最高と最低の差が10℃以内がストレスのない環境。
●症状
・口を開けてハーハー呼吸する
・よだれ
・発作、昏睡 : こうなると助けるのは困難
●予防
・温湿度に注意する。 最高最低の記録できる温度計を置く。
・風通しを良くする。
・いつでも飲水できるように
・ダイエット (太りすぎに注意!)
・体温が高いことに気づくこと
・長毛種ではサマーカットも有効
5.尿石症
特徴
犬猫はカルシウムの殆どを糞便で排泄する (尿は2%) が、ウサギは45-60%を尿から排泄する。
●原因
・高カルシウム食 (アルファルファなど)
・飲水不足
・肥満 :運動不足が大きな要因。
膀胱にカルシウムが沈殿しやすく、固まりやすくなる。
・トイレやケージの汚れにより、オシッコをガマンする。
・カルシウム、ミネラルを含むサプリメントの摂取
症状
・濃いペースト状の尿
・頻尿
・排尿困難 (長くトイレに座っている)
・血尿
・歯ぎしり、背中を丸める (痛み)
●予防
・チモシー主体の低カルシウム食
・十分な飲水、生野菜
・十分な運動
◎症状が進んでからの来院が多い。
気づきにくいのはトイレ材にも原因があるのではないか。
濃い色のチップだと尿の色が分からないので、なるべく色の分かるものを使ってほしい
6.子宮疾患(特にダッチ、ヒマラヤンに多い)
なりにくいのは、レッキス、ベルジアンヘア。
3歳以上で50-80%の確率。
●症状
・初期症状はない
・血尿 (出血性分泌物)
・持続的偽妊娠
・のう包性乳腺炎、しこり
・お腹の張り、腹部膨満
●血尿
ウサギにはポルフィリン尿というオレンジ色の尿があり、血尿と見分けにくい。
見た目では分からないので、尿試験紙で潜血の有無を確認する。
●予防
・避妊手術 (卵巣・子宮とも摘出) が唯一の予防。
6ヵ月を越えれば手術できる。 是非、お勧めしたい。
・全身麻酔が怖いという人は、早期発見に努める。
自宅で気付くのは難しいので、病院で定期健診を受けること。
レントゲン、超音波検査で確認する。
●まとめ
・その子、その子に合った飼育法を探すことが大切。
・気づければ防げる病気も多いので、正しい知識を持って。
・ウサギは症状を隠しやすい動物なので、日頃からよくコミュニケーションをとること。
このブログ左の「ブックマーク」にも書いていますが、ちゅんちきさんは元実験うさぎのダッチさんたちやジャパニーズホワイト(日本白色種)さんたちと暮らされています。
捨てられてしまったうさぎさんや繁殖場からのレスキューうさぎさんの家族探しも大切ですが、このような
「人の為にお仕事をした」うさぎさん達のことも、理解し考えていかなきゃならないな、と思っています。
特にジャパニーズホワイトは大型ですから、その子たちとの生活(お世話も経済も)は大変には違いありません。
食べる量や排泄の量だけ考えても、大変さは想像つくと思います。
そんな子たちと仲良く暮らしているちゅんちきさんのことをいつも「すごいなー」と思って見ています。
きっと丁寧で優しい方なんだろうなーっと思っていつも拝見させていただいています。
今回のこの記事の転載許可の際も、きっとこれだけまとめるのは大変だったでしょうが快く承諾いただけました。
ちゅんちきさん、本当にありがとうございました☆