イギリスやアメリカでは「母乳」が栄養食品としてブームになっている…! 最近、こんなニュースが飛び込んできました。母乳にはアミノ酸やミネラルなどが豊富に含まれていますし、何より「究極の自然食品」。そのことに目をつけたアスリート志向の成人男性たちが、母乳を扱うサイトから続々と母乳を購入しているそうです。
でも、母乳を飲むと本当に効果があるのでしょうか? 何より本当に安全なのでしょうか…。ちょっと疑問に思いますよね。
そこで今回は、母乳を始め、世の中にあふれている「これ、本当に効くの? 安全なの?」と、つい思ってしまうようなサプリ&栄養食品について取り上げていきましょう。
◆身体にいいのは間違いないけど「母乳」を飲むのは危険!?
まず、冒頭で紹介した「母乳」からお話ししましょう。母乳にはカルシウム、リン、マグネシウムなどの栄養素だけでなく、人間の免疫力アップに役立つ成分も豊富に含まれています。おまけに消化吸収も抜群なので、無理なく無駄なく人間の身体に取り込むことができます。ですから、おそらく大人が飲んだとしても身体に良い影響があることは間違いありません。だからこそ、欧米で愛飲する男性が増えたのでしょう。
ただ、安心して飲めるのか…というと、それについてはかなり疑問が残ります。
その昔、日本でも乳母制度がありましたが、現在ではほとんど確立されていません。アメリカや一部のヨーロッパ地域には「母乳バンク」と呼ばれるシステムがあります。これは、もともと病気などが原因で自分の母乳を赤ちゃんにあげられない女性が利用するために作られたものですが、安全性が今ひとつ証明されていないのです。母乳を提供した女性が何らかのウイルスをもっている場合、その母乳を飲めば感染する可能性が大いにあります。
きちんとした医療機関を経たものなら殺菌されていますが、私的な母乳バンクの場合、そういった管理がどこまで行われているのかはっきりしません。ですから安易に母乳を入手して飲むことは、あまり賢い考えとはいえないでしょう。…とはいえ、日本ではまず母乳を入手すること自体が困難なので、あまり心配する必要はないのですが。
◆「炭」を食べると毒素を出してくれるっていうけど…
「炭」を飲んだり食べたりすると、体内の毒素を吸着して排出してくれる…。こんな話を聞いたことはありませんか? 実際、「炭パウダー」「炭サプリメント」といった商品もたくさん市場に出回っています。
どうしてこのような説が生まれたのかというと、腎臓病の治療のひとつに微粒子の炭(球型吸着炭)の薬を用いることがあるからです。医療の場で使われるくらいだから普通の炭でも効果があるだろう、ということになったのだと思いますが、もちろん炭なら何でもいいわけではありません。
医療用に開発されたものは活性炭素と言い、色々な物質を吸着します。形も性質も特殊で、安全性・効果が立証されたもの。でも、普通の炭はそうではありません。飲んだり食べたりしたところで体内の毒素を吸着してくれるかどうかは、かなり疑問が残ります。それどころか、「食べ過ぎると腸の壁を傷つける」「安全性に疑問が残る」という専門家の指摘もあるので、体内浄化と称して大量に摂取するのはやめたほうがいいでしょう。「じゃあ竹炭で色をつけたクッキーやケーキもダメなの?」と思うかもしれませんが、あくまで食用のものを少量食べる程度なら問題ありません。
◆効果がある「水素水」「水素サプリ」は、実はほんの一部
夢のアンチエイジング商品として話題になっている「水素水」や「水素サプリメント」。美容やダイエットにはもちろん、脳梗塞や糖尿病、認知症にも一定の効果があったと報じられ、そこに目をつけたさまざまなメーカーが「水素を含んでいる」とされる水やサプリメントを販売しています。
ところが、「週刊文春」の調査によると、ほとんど効果がない、つまりは水素がほとんど含まれていないものも多く出回っていることがわかりました。
水素水の場合、アルミパウチタイプのものであれば一定の効果が期待できるほどの水素含有量があるそうですが、アルミ缶の場合はメーカーによってまちまち。ペットボトルに至っては、まったく水素は検出できなかったそうです。
サプリメントもメーカーによって品質がバラバラ。悲しいことに「効果がある」と判断できるほどの水素濃度があったのは、たった1社だけだったとか。
もしあなたがある程度の効果を期待して水素水もしくは水素サプリメントを摂ろうと思っているなら、メーカーやブランドについてきっちり情報を集めたほうがいいかもしれません。
◆今や「買う側」が賢く&厳しくならなければならない時代
現代は、いろいろな健康法やサプリメントが登場しては消え、また新しいものが次々ともてはやされる時代。いかにも効きそう!と思わせるキャッチコピーのものは確かに多いですが、効果や安全性は自分でしっかり確かめないと、誰も責任を取ってくれません。決して安くはない金額を出すのですから、買う側の私たちも賢く&かつ厳しい目をもって、愛用すべき商品を選びたいものです。
<参考資料>
*1)COURRiERJapon http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43590
*2)週刊文春WEB http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2469
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150724-00000005-mocosuku-hlth
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