巨大山門 いにしへ人の心しのばる
東大寺南大門
天平創建時(8世紀)の門は平安時代に大風で倒壊し、現存のものは鎌倉時代(13世紀)に再建され、国内最大の山門とのことです。
これまでの旅で訪れたお寺で結構多くの山門は見ていたのですが、今回、この山門の巨大さに圧倒されたせいか、これを造り維持してこられた人々の宗教心の深さに思いを新たにしました。同時に、初めて次のような疑問が湧いてきました。西洋には日本の山門のように宗教的意味を持たせた「門」はあるのだろうか、少なくとも私が訪れた欧米の土地にはなかったように思います。立派な門としてはパリで凱旋門を見ましたが、宗教的意味は持たされていないようです。
インターネット情報による私なりの勝手な解釈によれば、仏教とキリスト教における聖域(=神聖にして犯してはならないとされる区域)の範囲の差から「門」の位置付けが異なっているのかな、と思いました。
仏教における聖域は金堂、五重塔などの建物を内包する境内全体で、この聖域を境内の境界線で守る役割を期待されて東、西、南の方角に山門が造られます。東大寺南大門には阿形、吽形のこれまた巨大な金剛力士二体が門の両サイドにでんと構えておられます。
キリスト教における聖域は教会堂という建物内部だけで、従って仏教的意味での「山門」はなく、教会堂への出入口だけがある、ということなのでしょうか。
旅は自分の未知をも教えてくれる、これもまた旅の楽しさの一つかな、と思います。
大仏殿の前に江戸時代に建立された「中門」があります。南大門と比べると小ぶりですが、それでも大きく、しかも朱色が綺麗に残っていまして、南大門、大仏殿の往時の色彩を連想させてくれます。