東博史 知りて敬服 明治人
東博 創立150周年記念国宝展
最近放映されている東京国立博物館創立150周年記念国宝展の紹介テレビ番組の一つで、日本の「博物館」の祖である東博が、薩摩藩出身の吉田久成氏のパッション、熱い心で明治5年(1872年)に創設されたということを初めて知りました。
吉田氏は1865年に薩摩藩英国留学生15名を率いて英国留学に出発。1867年のパリ万国博覧会にも参加。このヨーロッパ滞在中に大英博物館などを見学し、当時日本にはなかった博物館事業の重要性を認識したとのことです。1868年の維新改革以降の廃仏毀釈の流れの中で多くの美術品が破壊、また海外に流出していくのを惜しみ、国家財政が極めて厳しい中で、博物館創設の必要性を政界に訴えました。そして、種々の困難を乗り越えて明治5年に東京・湯島聖堂大成殿を「文部省博物館」として「湯島聖堂博覧会」を開催したとのことです。
明治維新直後は新しい国家作りに国を挙げて取り組んでいる中、日本の国の文化財を収集保護して国民に展覧するという即時的に利益をもたらさない事業に、時の政府は極めて冷淡であったろうと想像されます。そのような中で博物館創設のために国家から資金を引き出したのが、明治人、岩田氏の能力と熱い心であり、彼が存在していなかったら、日本の博物館作りはもっと遅れていたであろうと思われます。
明治の人はたいしたものです。感謝、敬服であります。